ラブストーリー

「東京ラブストーリー」第8話 ネタバレ感想 | 1991年・冬ドラマ

東京ラブストーリー

前回、三上とさとみは別れを決断した。
それを知ったリカは不安になった。
そして焦ったのか、リカは今から完治の故郷の愛媛に行こうと言い出す。
急なことで完治は応えられない。なぜそんなにリカが急ぐのか理由がわからず、いつものわがままだろうと彼はあまり気に留めなかった。

それよりも別れたさとみが気になっていた。
完治は友だちとして優しく接していたが、さとみはこらえきれず彼にもたれかかって泣いた。
三上から忠告された。リカは完治を心から好きだ、と。
完治はそんなことはわかってる。けれどさとみが…と悩んでいたところ、愛媛行きのエアチケットを見つける。
あの日愛媛に今から行こうと行ったリカは本気だったのだと知った。
完治はリカを抱きしめた…
という場面で終わりました。

完治はどんな思いでリカを抱きしめたのでしょうか。
8話の感想と脚本を分析していきます。

「東京ラブストーリー」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

赤名 リカ――鈴木保奈美
スポーツ用品メーカー「ハートスポーツ」の事業部の社員。
ロサンゼルス帰りの帰国子女。さっぱりとした性格、はっきりとした物言いで仕事もできる。
恋愛も積極的で完治と結ばれたのだが、完治が片思いしていたさとみの存在は大きく…

永尾 完治――織田裕二
「ハートスポーツ」の営業部の社員。
高校時代から同級生のさとみに片思いをし、東京で5年ぶりに再会を果たす。だがさとみは親友の三上と付き合うことに。
そして積極的にアプローチされたリカと恋人同士になるのだが、三上とさとみが別れたと知り…

関口 さとみ――有森也実
幼稚園の先生。
完治の高校の同級生。東京で高校の同窓会があり5年ぶりに再会。
ずっと好きだった三上と付き合っていたのだが、女性問題から別れを決意。完治に優しく励まされるうち…

三上 健一――江口洋介
文教大学医学部生。
完治の高校の同級生。さとみと付き合っていたのだが、度々女性問題を起こす。そして同じ研究生の尚子と抱き合っているところを見られて、ついに別れることに。ひどく傷心中…

長崎 尚子――千堂あきほ
文教大学医学部生で、資産家の娘。
真面目で優等生だが少し影がある。不真面目な三上を毛嫌いしていたが、通じ合う部分があり惹かれている…

和賀 夏樹――西岡徳馬
「ハートスポーツ」の営業部の部長。
仕事ができ、頼れる完治とリカの上司。リカと不倫していた過去がある…

渡辺 昇――中山秀征
「ハートスポーツ」の営業部の社員。
完治の同僚。噂好きで、リカと和賀の不倫を噂して広めている…

第8話あらすじ(ネタバレあり)

愛媛行きのエアチケットを見つけた完治は、リカがそこまで本気だったのだと知った。
そしてたまらず彼女を強く抱きしめた。
翌日、どうしてあんなに強く抱きしめたのかとリカは聞いた。
さとみと何かあったのだろうと考えたからだった。
「ホント、関口とは何でもないんだからな」と完治。
「知ってるよ」とリカは微笑んだ。

リカの同僚の緑は二人を心配していた。
「好きになれば好きになるほど、男は安心して離れてっちゃうんだから」
「そんなのさ、そうなっちゃったらそうなっちゃったでしょうがないよ」とリカ。
「あんまり愛が重すぎると、永尾くん、つぶれちゃうよ?」
「……」

尚子は三上に結婚の日取りが決まったと話した。
「やめちまえ、結婚」と三上。
尚子は動揺する。
「俺がさとみにフラれたのは君のせいだ」
「え……」
三上は不敵な笑みを浮かべて去っていった。

さとみはすっかり元気になっていた。
「恋は盲目って、よく言ったものね、終わった途端、色んなことがハッキリ見えてきちゃった」
「もう彼のこと忘れた?」と同僚。
「忘れる」と、さとみの決心は固い。

リカは和賀部長に、夜誘われた。
リカに新しくできるロサンゼルス支社行きの話が持ち上がっている。
和賀はリカを推薦したいという。
リカは少し困った顔をした。

三上は完治の家の近くに引っ越してきた。
ばったり買い物帰りの三上とリカが会った。
いまいち元気のないリカに気づき、三上はまた完治をからかってるのかと注意する。
「愛があっても、愛し方が間違ってるとさ」
「人が人を好きになるのに、正しいとか間違ってるとか、そんなの」
「無いよな。ないけど、おまえの愛情って重いからさ」
「もっと上手に人好きになれたらなあ」

その頃、完治は同級生の結婚式の二次会に参加していた。
やたら明るいさとみに戸惑う完治。
帰宅すると、リカが誰かと電話で盛り上がっていた。
ようやく長話が終わり切ると、電話の相手が完治のお母さんと知った。
「おまえ、何考えてんだよ!」と怒った。
リカは訳がわからないといった顔をする。
完治は田舎者の親が結婚するんじゃないのかって勘違いするだろ、だからもう電話に出るなと言った。

三上はさとみのところへ自分の荷物を取りに行く。
さとみは意外に明るい応対をする。部屋を出ていく三上に自分が編んだマフラーを渡した。
「俺はおまえのそんな笑顔が好きだったんだ、付き合ってた間は見れなかったからさ」
さとみは切なく微笑んだ。「悪いことばかりじゃなかった」
「ありがとう」と、三上は合鍵を置いて出ていった。

翌日、完治はリカに今夜の予定を聞いた。
リカは今日中に済ませないといけない仕事があるというと、完治はそれならいいんだと話を切り上げた。
ところがリカのところへさとみから電話がかかる。
今夜二人にご飯を奢る約束していたが、少し遅れそうなのと言われる。
リカは完治から三人で会うなんて約束を聞いていなかった。ショックを受けた顔をした。
そして完治を探しに行ったが、彼はもう向かっていた。

そんなリカのもとに、和賀部長が来る。
ロサンゼルス支社の件が正式にリカに決まった。
「……」
さっそく同僚たちはリカを祝った。

何も知らない完治は夜遅くまでさとみに付き合った。
そしてさとみは、大切に持っていた完治と三上が卒業式にくれた第二ボタンを川に向かって捨てた。
「どうしたんだ?」と完治。
「私はもうあの頃の私じゃないから」
「……」
「三上くんが好きになってくれた、永尾くんが好きになってくれた、私はもういないの……汚れちゃった」
「バカ言うなよ! 関口は汚れてなんかない」
「……」
「俺にはあの頃のまま、憧れの的だよ」

完治は家に帰り、さとみのことを考えていた。
インターフォンが鳴る。酔ったリカが同僚を連れて来た。
完治がむっとしていると、同僚たちは逃げるように帰る。
「リカは転勤のことで永尾くんと積もる話もあるだろうし」
完治は、リカがロサンゼルスに行くことを知った。
「俺、一言も聞いてないぞ」と怒る。
リカは話そうと思った。けれど言えなかった。
「カンチ、私に黙ってることない?」
完治はさとみのことがバレていたのだと気づいたが、何も答えなかった。
リカは走って家を出ていった。

完治はリカになんとか追いついたが、踏切を挟んで二人は向かい合った。
「カンチは、さとみちゃんと二人きりで会いたかったんでしょ?」
「……」
「私がいない方がって……思ってたんでしょ?」
「……」
「ねぇ、答えてよ、カンチ!」
完治が答えないまま、二人の間に電車が通り過ぎる。
もうリカの姿はなかった。

帰ると、完治にさとみから電話がかかった。
リカは完治に電話したがつながらない。
そして和賀に電話をし、彼はやって来た。

感想とシナリオ分析

ようやく完治の葛藤が見れて、がぜん話が面白くなってきました。
やはり完治はさとみがどうしても忘れられない。
リカのことももちろん好きなのだが、好きだった時間が長すぎた分、さとみには勝てないのかもしれない。
それは完治自身も制御できずに戸惑っている。

理性ではリカを好きにならないといけない。
しかし本能ではさとみを求めてしまう。
その葛藤がありありと見えたこの回は本当に面白かった。

まず同級生の二次会の幹事をすることになった完治が、高校時代の名簿を見ながら連絡をとっていると、さとみの番になる。
ところがリカが来て電話を飛ばそうとするので、勝手にリカはさとみに電話をした。
慌てた完治が電話を取り上げると、聞こえてきたのは天気予報だった。
完治はリカのイタズラに激怒する。
「あいつがどんな思いして三上と別れたか」
そんな優しい完治を一貫してリカは好き。でもそれは友情だと思ってるから許せること。
さとみにする優しさは友情だよね?と確認するように、リカは彼を見つめて、
「好きだよ、カンチ」と言った。

しかし完治は「好きだよ」とは返さず、リカの肩を引き寄せた。
彼はどうしても、好きだよ、が言えない。

次に、バーで、完治と三上が会う。すっかり明るくなったさとみの印象を、
「昔の関口みたいだったろ」と完治。
「昔の関口みたいだった」と三上。
「おまえ、さとみの気持ち悟るのは昔から得意だったからな。リカが初めてだろ? 何考えてるかわからなくて、振り回されるなんてよ」
「……」
「だから好きになったんだろうけど」

完治はここでも複雑な顔をするだけで、肯定する言葉を言えない。
リカに対する気持ちを言わなきゃ、とわかっているがどうしても言えない。
これが彼の本当の心情なのだが、自分でも認めたくない。

そして最後、踏切を挟んでリカは問うた。
「カンチは、さとみちゃんと二人きりで会いたかったんでしょ?」
「……」
「ねぇ、答えてよ、カンチ!」

完治は最後まで答えられなかった。
その葛藤は、誰でも恋愛末期になると経験する。
だからようやく完治に共感できた。彼のつらい気持ちも理解できた。
前回のラストでリカを強く抱きしめた気持ちもわかった。
しかし完治は答えを出さなければならない。
9話でどう決断するのか気になります。

素晴らしかったセリフ

迷惑をかけた二人に、さとみがご馳走するという話を完治はリカにしなかった。
リカはロサンゼルスの転勤が決まったことよりもその悩みの方が大きかった。
そして同僚たちを連れ、完治の家に来た。
リカの転勤を知った完治は、「自分勝手すぎるんだよ」とリカのやることなすことに腹を立てた。
「違うよ、カンチの私を見る目が、変わっちゃったんだよ」
完治はリカの言葉の真意がわからない。

「サヨナラ言わなきゃいけないかもしれないって――そう思うと怖かったんだよ」

リカが同僚たちを連れてきたのは、転勤の話で別れ話になるからではなく、完治の心がさとみに向かっているその現実を一人では受け止められそうになく、怖かったのだ。