ラブストーリー

「東京ラブストーリー」最終話 ネタバレ感想 | 1991年・冬ドラマ

東京ラブストーリー

前回、完治はリカに別れを告げた。
するとロサンゼルス転勤を辞退し、リカは姿を消した。
完治はリカを探しに愛媛へ向かう。
彼女との日々を振り返り、やがてリカが愛媛にいる証拠を見つけた。
だが彼女はどこにもいない。
諦めかけていたとき、リカが完治の前に現れた。
二人はどんな言葉をかわすのか、彼らの今後は…?
最終話の感想と脚本を分析していきます。

「東京ラブストーリー」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

赤名 リカ――鈴木保奈美
スポーツ用品メーカー「ハートスポーツ」の事業部の社員。
ロサンゼルス帰りの帰国子女。さっぱりとした性格、はっきりとした物言いで仕事もできる。
だが完治との恋愛はなかなかうまくいかず、ついに別れを告げられた…

永尾 完治――織田裕二
「ハートスポーツ」の営業部の社員。
高校時代から同級生のさとみに片思いをし、東京で5年ぶりに再会を果たす。
さとみがフリーになってから、恋人リカへの気持ちが薄れ、ついに別れを告げた。
するとリカが姿を消し、故郷の愛媛へ探しに行くと…

関口 さとみ――有森也実
幼稚園の先生。
完治の高校の同級生。東京で高校の同窓会があり5年ぶりに再会。
ずっと好きだった三上と付き合っていたのだが、女性問題から別れを決意。完治に優しく励まされるうち、好きだと思いを告げた…

三上 健一――江口洋介
文教大学医学部生。
完治の高校の同級生。さとみと付き合っていたのだが、同じ研究生の尚子と抱き合っているところを見られて別れることに。その尚子は婚約者がいるが、一夜を共にする。しかし彼女は結婚してしまう…

長崎 尚子――千堂あきほ
文教大学医学部生で、資産家の娘。
真面目で優等生だが少し影がある。不真面目な三上を毛嫌いしていたが、通じ合う部分があり惹かれる。三上のことが好きなのだが、親が決めた人と結婚した…

和賀 夏樹――西岡徳馬
「ハートスポーツ」の営業部の部長。
仕事ができ、頼れる完治とリカの上司。リカと不倫していた過去がある…

渡辺 昇――中山秀征
「ハートスポーツ」の営業部の社員。
完治の同僚。噂好きで、リカと和賀の不倫を噂して広めている…

最終話あらすじ(ネタバレあり)

完治の母校の校庭に、姿を消したリカが現れた。
「カンチ! ここでいいんだよね?」
「みんな心配してる」
「別れた女に何か用でもあった? ウソウソ、ねぇ、案内して、カンチの生まれた街。赤い糸は、ぷっつり切れちゃったけどさ、約束は約束でさ」

完治はリカを案内した。
そして昔の友の話をする。近所のみんなが友だちだった。
一方のリカは転校ばかりで友だちができてもすぐにお別れだった。
「だからね、一緒にいられる間は精一杯楽しくしてなきゃって」
二人は神社へ行き、リカは完治にハンカチを借りた。
「洗って返すね」

リカは完治に聞いた。
「カンチさ、ロスに行かせようって、説得するためにここに来たの?」
「それもあるけど、それだけじゃない」
「行くよ、私。私、ロスに行く、決めた」
「……」
「顔に書いてるよ。もう君じゃないんだ、ってさ」
そう言って、ロス行きを乾杯するために缶ビールを買いに立ち去ろうとする。
「リカ。もっと楽に生きろよ」
「……カンチもね」
と、振り返ると走ってリカは完治に抱きついた。
だが完治は抱きかえせない。リカはそっと離れて、
「駅で待ってる」
4時48分の電車に乗る。
「あと一時間、それまでに気が変わったら、来て? それでもダメだったら……私、そのままいなくなるから」
「……」
「最後のお願い。会いたからサヨナラ言わないよ?」
と、背を向けて去っていった。
悩む完治だった。

ホームで待つリカ。
海岸で悩む完治。彼は時計を見て、走って向かった。
48分の電車に間に合う。ホームに入ってきて見回したが、リカはいない。
車両の中を確認してもいない。電車は走り去った。
完治は駅員に尋ねると、リカは一本前の電車に乗って去っていた。
「!……」
リカが立っていた場所に、完治が貸したハンカチが……
『バイバイ カンチ』と口紅で書かれていた。

リカは車内で写真をを見つめながら、完治と過ごした日々を振り返り、涙した。

その頃、三上がアパートに帰ると、結婚してハネムーンに出かけた尚子がいた。
「何してんだよ、そんなとこで」と三上。
「捨ててきちゃった」と尚子。
「何を?」
「全部」
三上は笑った。
「笑わないでよ」
「笑うよ。最低だな、おまえ」
「あなたと同じくらい」
二人は笑い、抱き合った。

完治が会社に出社すると、リカがロスへ出発したと知らされる。
屋上に出た完治は遠くを見つめた。
その夜、完治はさとみと会った。
「……リカ、ロスに行った」
「……」
二人は黙ったまま歩き、完治は一人で家に帰る。

郵便の中に一枚のハガキ。
リカからの手紙、それはお別れのメッセージだった。
彼女は完治に案内されている最中に書いたようだ。
『今が愛しいよ、カンチとお別れする、今この時を、やっぱり愛しく思えるから、私のこれからは、きっと大丈夫って思えます』
完治は夜をさまよう。
『サヨナラは言いません、約束もしません、でも、また会えるよね。赤名リカ』
「……」
『追伸――元気ですか?』

それから3年後。
完治は熱血営業マンぶりが板についていた。
和賀部長はそんな彼の姿を見て、
「今のお前なら、赤名とうまくやっていけたんじゃないか」
「まだ、どこにいるかわからないんですか?」
リカはロス支社を半年でやめていた。

そしてロビーでさとみが待っていた。
友人の結婚式へ向かう。
友人は、三上と尚子だった。
だが親族が参加しない結婚式だと聞く。
ところが式の途中で、尚子の両親が現れた。
三上は深く頭を下げた。
笑顔になる完治とさとみ。

その帰り、完治の靴紐がほどけ、さとみが直していた。
何気なく雑踏の中に目をやる完治。
「!」
じっと目を凝らして見ると――リカだった。
「どうしたの?」
さとみもリカに気づいた。だが、リカは気づかず通り過ぎる。
「リカ!」
リカは立ち止まり、二人を見た。
「よっ! 永尾くんじゃない」
「あ、あぁ」
「さとみちゃんも、久しぶり」
と、さとみの薬指に指輪があるのを見る。
「もしかして二人は……」
「結婚したんだ」
「やっぱり」と笑った。
するとさとみが気を利かせ、
「久しぶりに会ったんだから、同窓会したら?」

そして二人で話した。
照れくさくて、リカは電話のマネをした。
「もしもし?」
「(微笑んで、取る)はいはい」
「美しさに磨きがかかったでしょ?」
「かかった、かかった」
「ちょっとはさ、惜しいことしたかなって思ったりした?」
「ちょっとはな」と笑いあった。
「いい奥さんもらったね」
「そっちは?」
リカは首を傾げた。「一人には慣れてるから」
「そんなもん慣れるなよ」
「あの時の私がいるから、今の私がいる。ちゃんと自分に言ってあげられる。よくやったね、って」
「今なにしてる?」
「大丈夫、何をしてても、私は私だから」
リカは完治の食事も連絡先も断った。
「また何年後かに」

リカを見送る完治。
「バイバイ」
「バイバイ」
「またな」
「またね」
「そのうちさ」
「そのうちね」
徐々に距離を取る二人。
「これじゃいつまて経っても帰れないね」
「いつだったか、こんなことあったよな?」
「じゃあさ、いつかみたいに、せーので後ろ向こう」
二人はせーので背を向けて歩き出す。
完治が先に振り返った。リカは背を向けて歩いていった。
完治は諦めて歩く。
「カンチ!」
リカは笑顔で大きく手を振り、去っていった。

感想とシナリオ分析

完治とリカの恋の失敗の一端に、リカのやや特異な性格があったのは否めない。
人との距離感が下手な人は、30年前のリカよりも昨今の方が多い気がする。

リカが今の気持ちを大事にするのは、別れの多い幼少期を過ごしてきたからだと理解できた。
明日が同じように訪れる保証はどこにもない。
だから彼女は全力で今を楽しく、目の前の人を愛する。
「あの子と最後に会った時、私笑ってたかなってさ。二度と会えないかもしれないんだから、なるべく笑顔でいなきゃって思うんだ」
そんな生き方をするリカに、完治は「もっと楽に生きな」と言った。

そしてリカは、駅で待っていると言いながら、完治を待たずに去った。
最後の別れのときもリカは笑顔だった。
彼女が完治に抱きついた時に、彼は抱き返さなかった。
その彼の気持ちを汲み取り、彼女は約束の電車の一本前に乗って去っていた。

おそらくリカは優しい完治は来ると思った。
だがその時に笑顔でいられないと考えた。
だから彼女は一人で消えた。
そうやって、小さい頃からいつも別れを経験していた。
リカのそういう考えや気持ちがようやくわかったとき、彼女の本当の優しさに触れた気がした。

そして3年後、リカと完治は偶然再会した。
「好きになったこと、好きになってくれたこと、いつもここ(胸の中)で元気してる」
彼女は辛いことも糧にして、今を楽しく生きる。
今度こそ、リカの元から去らない、いい人に出会えることを応援したくなるラストでした。

素晴らしかったセリフ

リカが去ってから3年後、完治はさとみと結婚し、三上も幸せになった。
リカはどうやら独り身らしい。
完治が暗に早く次を見つけろと言っているような雰囲気になると、リカは言った。

「一生のうちに人好きになることなんて、そうそうあるもんじゃないから、好きになったらあっという間だけどさ。でも、だから、永尾くん、好きになれたこと、大切に思ってる、思えるよ」

リカはもう少し時間がかかりそうだが、きっと次はいい人に巡り会える気がする。