サスペンス

「水曜日の情事」第9話 ネタバレ感想 | 2001年・秋ドラマ

水曜日の情事

前回、詠一郎とあいが離婚して1年が過ぎた。
詠一郎はあいの存在感がいつも体にまとわりついているような一年だった。
一方のあいは家をリフォームし、仕事に精を出している。
あいのいない間に、かつての家に足を踏み入れた詠一郎は、元妻にも未練があるのではないかと密かに思う。
そして詠一郎はあいに会って、強引にキスをした。
ところがあいは拒絶し、詠一郎が逃げるように去ると、出くわした耕作に言われた。
「俺……あいさんが好きです。結婚してほしいって言うつもりです」
詠一郎はその宣言をただ受け止めるしかなかった。

これで詠一郎とあいは全てが終わったかに見えた。
が、あいは元夫にキスをされた唇に触れて涙をこぼした。その涙の意味は…
9話の感想と脚本を分析していきます。

「水曜日の情事」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

佐倉 詠一郎(35)――本木雅弘
大手出版社・文洋書店の文芸編集者。
エネルギッシュな仕事ぶりから「行動隊長」とあだ名を持つ敏腕編集者である。
自他共に認める愛妻家だったが、妻の親友の操と不倫し、それが発覚して離婚。だが元妻を忘れられず…

佐倉 あい (33)――天海祐希
詠一郎の妻。小さなリフォーム会社を経営。
詠一郎と温かな「家庭」を築いていくことが彼女の夢だったが、夫と親友の不倫が許せず離婚。夫婦で築いた家をリフォームし心機一転した矢先、詠一郎からキスをされ…

天地 操  (33)――石田ひかり
あいの小・中・高と学生時代の親友。
詠一郎と隠れて不倫していたがあいに気づかれ、二人は離婚。結果的に詠一郎が操の家に移り住むことになったのだが、二人の関係に一抹の不安を感じている…

前園 耕作 (29)――原田泰造(ネプチューン)
ハードボイルド新人賞に輝いた、若手有望株のアクション小説家。
文壇バー『ソル』のホステスの由香子と付き合っている一方、詠一郎と離婚したあいに惹かれていて彼女との結婚を望む…

岡島 明洋 (31)――谷原章介
あいの弟。CM音楽などを作曲している若手ミュージシャン。
あいがコツコツ貯蓄していた会社設立資金を持ち逃げして疎遠に。だが詠一郎の仲立ちで仲直りする。恋人のハコと結婚し子供も生まれた…

浜崎 由香子(22)――伊東美咲
文壇バー『ソル』のホステス。
恋人の耕作が、詠一郎の元妻あいに惹かれていることに気づき、女の武器を使って引き止めようとするのだが裏目に出てしまう…

小暮 志麻子(33)――木村多江
文壇バー『ソル』のママ。
常連の詠一郎をよく知っている…

沖野 晶午 (32)――北村一輝
インテリアデザイナー。
公私共に、あいの良きアドバイザーであり、親友でもある。恋愛対象は男…

都山 ハコ (20)――金子さやか
明洋の妻。
義姉のあいの家で子育て中…

第9話あらすじ(ネタバレあり)

詠一郎が去った後、あいのもとに耕作が来た。
「あいさんを捨てた男ですよ!」
あいは涙し、少しまだ未練があるようだ。

あいとキスしてしまった詠一郎が家に帰ると、操はうとうとしながら待っていた。
詠一郎の様子に操はピンときた。そして、不意打ちのようにキスをする。
その後、二人でおでんを食べながら詠一郎は思った。
「この幸せで、どうして男は満足できないんだろう……」
互いにベッドで眠ったふりをして腹の探り合いをする詠一郎と操だった。

翌日、耕作はあいの会社を訪れたがおらず、晶午が対応した。
「愛してるでしょ、先生、あいつを」と晶午は尋ねた。
「愛してます」
「分かるでしょう、あいの心にぶら下がってるものに」
「佐倉詠一郎のことですか」
「あと50年も寄り添っていかなきゃいけないんです、30代の夫婦は」
「たかが一年の道草、たかが50分の1、ってわけですか」
「しばらく見守ってあげましょうよ」
「見守るなんて、もうたくさんだ……」と耕作は言った。

あいの家に、操がやってきた。風邪を引いてるあいを見舞う。
晶午と一緒に暮らしていると知ると、
「じゃあ、独り暮らしの寂しさは大丈夫ね」
あいは少しピリッとする。
操は詠一郎と会っているか尋ねた。あいはさらりと嘘をつく。
「まるで一年前と真逆だね。疑う妻と、疑われる女」とあい。
操は思った。「会ってるんだ、やっぱり……」と。

その頃、詠一郎は仕事に精を出していた。
『女の戦いがまた始まってるなんて、俺は思いもよらなかった』

カフェで由香子は耕作に会い、親と会ってほしいと言った。
だが「会えない」と冷たく断る。
由香子が詠一郎とあいの話を始めると、耕作は席を立った。
「あたしは前園耕作の女です! 前園耕作はあたしの男だから、誰も近寄らないでください!」
と、由香子は叫んだ。泣く彼女をおいて「ごめん」と耕作は去った。

そんな中、あいが手がけた耕作のマンションの改装が終わった。
そこへ詠一郎が現れた。そして土下座した。
「先生、頼む。恋愛小説を出版させてくれ。書いてください!」
その勢いに耕作は思わず笑って、「書きますよ」と了承する。

あいも引越し祝いを持ってやってきた。
「この部屋でどんどん傑作を書いてね」
「あいさんのために、僕、書きます」
すると由香子がやってきて、ドアの向こうで聞いていた。
耕作も気づき、ならば聞かせてやろうと続けた。
「今、恋愛小説が書きにくい時代って言われるのは、なぜだかわかりますか?」
「教えて」
「男と女の間を引き裂くカセが少ないからです。今みたいな自由な時代では、どうしても不倫をモチーフにしがちです」
愛さなきゃいけない女が身近にいるのに、別の女を愛する物語は詠一郎だけじゃない。
今の自分もそうだと耕作は言った。
そんな二人が手を組んで、恋愛小説を作ることにした。
「あいさんの心を打つ恋愛小説、書いていいですか」
あいは頷いた。
「読んでくれますね?」
「待ってる」
由香子はそっと去っていった。

その頃、詠一郎は操とバーにいた。
「なあ、操」
「うん?」
「結婚しようか」
「危険」
操は冷静だった。
「あなた、一年前に答えたでしょ。わたしのどこが好きかって訊いたら、体だって。愛人と繋がっているのは体の愛にすぎない」
体の愛は一生ものではない。いずれ年老いていくから。
「だから絶対敵な何かを探さなきゃいけないの」
と、プロポーズを断った。

その帰り、操は詠一郎におんぶしてもらう。
それをあいは見てしまった……
一年前と反対のシーンだ。

詠一郎は作家の溝口の家を訪れていた。
溝口の妻が家のリフォームをしたいという。
あいに頼みたいのだができるかと問われ、詠一郎は「別れても親友ですから」と言った。
「別れた男と女が、本当に親友になれるのか?」と溝口。
詠一郎はあいに連絡し、伝えた。あっさりと電話を切る。

あいは昨夜の光景を思い出し、ある衝動が芽生えていた。
そして詠一郎は岡島家のポストに書類を届けた。
だがいないと聞いていた家に誰かがいる様子。
チャイムを鳴らすと仕事でいないはずのあいが出てきた。
そしてあいは詠一郎を家に招いた。

詠一郎とキスした翌日に、操が来た話をした。
「女と女の戦い……」
「……」
「もう始まってるんじゃないか? 操はそんなやりとり一言も話さなかった」
「……」
「こうして仕事がらみで会ったことも、操には秘密にするつもりだろ。どんどん秘密と嘘が増えていく」
「……」
「何のための秘密や嘘だ? 操を傷つけたくないから。私たちの根っこのためだから。女の友情のためだから」
詠一郎は気づいた。なぜ予定を変更して、あいが家にいたのか。
「悪あがきでも、俺……試そうと思ってる」
「何を」
「俺とやり直さないか」
「!……」
あいは抵抗をする。
「心の中を見せてくれよ!」
「もううるさい」
「言えよ、待ってたんだろ、俺を!」
「待ってなんて……」
「あい、こっち向けよ! あい!」
あいは葛藤し、心が破裂した。
「待ってたわよ、あなたの言う通りよ、これで満足!」
あいの涙が噴き出した。
「あなたが会いに来てくれるのを私は待ってた。私は独りだった。独りぼっちだった!」
「やり直そう、あい」
と、詠一郎は抱きしめた。
だがあいは「帰って」と押し返した。
「いなくなって! お願いだから、いなくなって、頭が変になりそう、本当に帰って、お願いだから、いなくなって」
詠一郎は何もできず後ずさった。
『振り出しに戻ることが、また過ちを積み重ねることだとしても……あい、俺、お前を愛してる』

感想とシナリオ分析

この回のシナリオタイトル『逆転不倫』は神回です。
作者はこれをやりたかったのかと思いました。
この発想はありそうでなかった。
いや、でも現実世界でよりを戻すなんてよくある話なので普遍的なのかもしれません。

彼らの今の状況はいびつです。

事の発端は、あいと操の過去から始まっている。
二人の友情が強すぎたため、男を巡っての決裂はあいを後悔させた。
これが彼女のわだかまりとなっていた。
そして操は誤解を抱えたまま十数年を経て、あいと再会をした。
あいはその贖罪意識から、操に夫の詠一郎を差し出した。
これがそもそもの歪みを生んだ。
詠一郎は何も知らずに、ずるずると操の沼にはまっていった。
晶午の言葉を借りると、
「詠一郎さんっていう生涯愛する男性を見つけても、あいにとってはまず、女の友情が全てだったんです」

結局、あいと詠一郎は離婚をした。
でも一年を経ても、あいは元夫を思い続けていた。
また、詠一郎も元妻を思い続けていた。
しかし、そこに立ちはだかるのは、操だ。
二人がよりを戻そうとすると、再び振り出しに戻ってしまう。
あいは夫を差し出して禊をしたのに、同じことをしてはまた贖罪意識が生まれかねない。
その状態で詠一郎と一緒になるのはあいにとって幸せではない。
でも、彼を愛している。
「頭が変になりそう。いなくなって」
は、あいの心の叫びだ。

しかしそこには詠一郎もいる。彼の思いもある。
「一度きりの人生で後悔したくないんだ。傷つけてしまう人間への償いは、必ずする」
だからやり直したい。
胸が痛くなる恋愛ドラマだ。
10話で詠一郎とあいはどうなるのか、気になります。

素晴らしかったセリフ

バーで詠一郎は操にプロポーズした。
ところが操は返事をせず、詠一郎を結婚という檻に閉じ込めたら、かえって逃げ出そうとすると答えた。
「妻の座なんて何の役にも立たない」
「俺ってそんなに危険?」

「わたしが探しているのは……絶対的な愛!」