サスペンス

「水曜日の情事」第8話 ネタバレ感想 | 2001年・秋ドラマ

水曜日の情事

前回、詠一郎とあいは一緒に離婚届けを提出した。
その姿を見届けようと操は隠れて二人の様子をうかがった。
すると詠一郎が、「あいを一生愛することを誓います」と絶叫する場面に遭遇する。
それは夫婦の約束を破ったときに行われる罰ゲームで、詠一郎は一つのけじめとして行ったのだが、操には意味がわからなかった。

あいは夫婦で暮らした家をもらうことになった。
そしてリフォームをするという。
そんなあいを心配するのは耕作…
彼は彼女に惹かれているが、それに気づいたホステスの由香子が引き止めようと彼とベッドを共にした。

それぞれの関係はどうなるのか、8話の感想と脚本を分析していきます。

「水曜日の情事」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

佐倉 詠一郎(35)――本木雅弘
大手出版社・文洋書店の文芸編集者。
エネルギッシュな仕事ぶりから「行動隊長」とあだ名を持つ敏腕編集者である。
結婚3年目で自他共に認める愛妻家だったが、妻の親友の操と不倫し、それが発覚して離婚することになった…

佐倉 あい (33)――天海祐希
詠一郎の妻。小さなリフォーム会社を経営。
詠一郎と温かな「家庭」を築いていくことが彼女の夢だったが、夫と親友の不倫が許せず離婚。夫婦で築いた家をリフォームをすることに…

天地 操  (33)――石田ひかり
あいの小・中・高と学生時代の親友。
詠一郎と隠れて不倫していたがあいに気づかれ、二人は離婚。結果的に詠一郎が操の家に移り住むことになったのだが、二人の関係に一抹の不安を感じている…

前園 耕作 (29)――原田泰造(ネプチューン)
ハードボイルド新人賞に輝いた、若手有望株のアクション小説家。
文壇バー『ソル』のホステスの由香子とベッドを共にした一方、詠一郎と離婚したあいに惹かれている様子…

岡島 明洋 (31)――谷原章介
あいの弟。CM音楽などを作曲している若手ミュージシャン。
あいがコツコツ貯蓄していた会社設立資金を持ち逃げして疎遠に。だが詠一郎の仲立ちで仲直りする。恋人のハコが妊娠したのを機に結婚した…

浜崎 由香子(22)――伊東美咲
文壇バー『ソル』のホステス。
好意を持たれていた耕作が、徐々に詠一郎の元妻あいに惹かれていることに気づき、体を使って引き止めようとするのだが…

小暮 志麻子(33)――木村多江
文壇バー『ソル』のママ。
常連の詠一郎をよく知っている…

沖野 晶午 (32)――北村一輝
インテリアデザイナー。
公私共に、あいの良きアドバイザーであり、親友でもある。恋愛対象は男…

都山 ハコ (20)――金子さやか
明洋の恋人。
いつも派手なファッションに身を包み、言動も子供っぽいが、実は鋭い観察眼を持つ。
明洋と操が元サヤに戻るのではと心配していたところ、明洋の子を妊娠、結婚することに…

第8話あらすじ(ネタバレあり)

あいと離婚届を出した詠一郎は、文壇バー『ソル』で、耕作に「うまくいかなかったら、また元に戻ろうなんて考えてませんよね」と、釘を刺された。

操の家に帰ると、操が玄関先で待っていた。
愛人は愛人でなくなると、かえって不安になるらしい。
そんなことを考えながら詠一郎は家に入った。

一方、あいは、詠一郎が出ていった家の大改装を始めた。
チェーンソーで壁を切り壊すあいに、心配で訪ねていった耕作はびっくりする。
「こんな家、ぶっ壊してやろうかと思って」とあい。
女の独り暮らしにふさわしい家に作りかえるというので、耕作は手を貸すことにした。

それから1年が経った。
詠一郎は、以来、あいが住む町には足を踏み入れていなかった。
操と過ごすクリスマス、花見、夏の花火…
いつも二人は寄り添って生活し、操は幸せそうだった。
その一方、詠一郎はあいの存在感がいつも体にまとわりついているような、一年だった。

ある朝、いつものように操に見送られ、家を出た詠一郎は、もう何を目にしても動じないと自分に言い聞かせ、あいの家に行ってみることにした。
表札は『岡島』に変わり、玄関先はウッディに改装され、中がどうなっているのか、関心を持った詠一郎。
だが、踵を返し地下鉄の駅に向かうと公園から赤ん坊を抱いたハコに「義兄さん」と呼び止められた。

明洋の子供が誕生、2階に子供部屋をあいが作ってくれたという。
「岡島家は4人家族か」と詠一郎が聞くと、ハコは「ときどき5人家族になる。お姉さんのボーイフレンドも一緒」と、ドキッとしたことを言い出す。

詠一郎はハコに連れられ、岡島家を訪れた。
あいのボーイフレンドは、晶午だった。
「あいに会ってみたら」
「あいが会いたがらないでしょ」
「詠一郎さんのいつものテンションで押しかけてくればいいんですよ」
「最近、俺、そういう勢いなくなっちゃって」
2階の子供部屋へ行き、天井に描かれた夏空を見つめる。
詠一郎はその絵がいつの夏空かわかった。
夫婦で過ごしたたった一日だけの夏休みに見たあの空だった。

久しぶりに、詠一郎は耕作と再会し、文壇バー『ソル』を訪れた。
耕作はベストセラー作家となり、由香子と半同棲をしている。
「そんなことより一体どうなってんの、恋愛小説の方は。あんなに人生切り売りしてあげたのに、ちっとも形にしてくれないじゃない」と詠一郎。
「結末がどうしても見えないもんで」
そして耕作はあいとちょくちょく会っているという。
あいは、詠一郎のことを気にしている。
耕作はみんなが無理してる感じがして…と苛ついていた。
詠一郎はそれに付き合わず、早々と席を立った。

操と同居記念日を過ごすが、詠一郎の目はうつろだ。
キスにも熱がない。
操は不満だった。
詠一郎の頭の中はあいの存在がまとわりついていた。

耕作と由香子も順調ではない様子。
「作家なんて浮き沈みの激しい職業だし、俺だってわかんないよ、この先どうなるか」
牽制されていると感じた由香子は、あいの話を始めた。詠一郎のことをあいに伝えよう。
「元の鞘に戻ったりして」
耕作はムッとして、由香子をタクシーに乗せると自分はもう一軒違う店へ行くと向かった。

翌朝、詠一郎は早く家を出て橋を渡る。
操は詠一郎の忘れ物に気づいて追いかけたが見失う。
詠一郎は通りであいの姿を見つける。そして追いかけた。
「元気そうだな、あい」と思いながら、タクシーに乗り込む彼女を見送った。

会社に着くと、操がいた。忘れ物を届けに来ていたのだ。
「何してんの」と冷たい対応に、操は謝った。
詠一郎は操の存在を会社の人間に話していなかった。
操はまだ愛人扱いなのか。でもそれならそれでいい、あの頃のように想ってほしいという。
「俺にどうすりゃいいって言うんだ?」
「誰かと恋しなよ。あなたが恋する女性とわたしは戦うの」
「想像するだけで怖い」
「でも若い女にしてね。わたしより年上とか同い年の女は、やめてよね」
操は詠一郎があいのところに戻るのではないかと考え、釘をさした。

耕作は購入したマンションのリフォームをあいに頼んでいた。
詠一郎は住所を聞いていて、そのマンションへ向かった。
あいがいると考えたからだった。
そして、あいがいた。

あいは詠一郎に「こんな話、していいのかな」と始めた。
別れた後の話を明るく話すあい。
「詠一郎はどんな一年だった?」
「去勢された雄ネコ」
あいは笑った。
「隅田川が、超えちゃいけないような国境に思えてさ」と詠一郎。
「一度、二人を見かけた。陽だまりの道で、笑ってた。それ以来、私も隅田川を決して超えなかった」
あいは1年が経って吹っ切れたと笑う。
詠一郎はそんなあいを見つめた。
「憐れみなら、私、怒るから」と、強い眼差しであいは見返す。
すると詠一郎が突然あいにキスをした。
しかし、あいは突き放す。
「何なの、今の」
「わからない……」
「わからないキスなんて、しないでよ」
詠一郎が負け犬のように立ち去る。
だがあいはその唇に触れ、大粒の涙を流した。

マンションの前で、詠一郎は耕作と出くわした。
「二度とあいさんに会わないでくれますか。俺……あいさんが好きです。愛してます。結婚してほしいって言うつもりです」
「そう……。これが結末だよ、きっと。俺たちの、恋愛小説の」

感想とシナリオ分析

あいと離婚後の詠一郎は、去勢された雄ネコみたい、と皆から評される。
誰に対しても何に対しても熱がない、そんな状態でつまらない男になっていた。
操はそれに不満だった。
詠一郎の様子を知った耕作は今が狩りどころとあいを狙う。
耕作を引き止めたい由香子がそれに焦る。
一つの愛の終わりは、別の愛の行方にも影響を与えていた。

詠一郎の知らないところで、繰り広げられた操と由香子のバトルがおもしろかった。

由香子が操の店へ来た。
「あんなふうに無理して生きてる男の人と、あたしだったら一年も暮らせないなあって思いました」
と言った。詠一郎のことだ。
「男の人を去勢するのが、妻になる女性の喜びですか」
「……」
「自分のせいで魅力がなくなっていく男性を見てると、この人をやっと独占できたって気分になれますか?」
由香子の言葉は強烈だ。
爪を研いできた雌ネコは操を何度も引っ掻いた。
「ねえ。ランプ買いに来たの、それとも喧嘩売りに来たの?」と操。
由香子はとどめを刺そうとした。
「あなたに女のプライド、ないんですか」
操は彼女の攻撃の意味を理解した。
耕作があいに惹かれているので、詠一郎とあいをくっつけたいのだ。
「いくら女の武器を使っても、年上の女には勝てそうにない? 身の安全を守るために外堀から崩しにかかってるの? それって自分に自信がない証拠?」
隠していた操の爪が由香子をえぐる。そして、
「あなたに女のプライド、ないんですか」とやり返した。
由香子は涙目で退散した。操の勝ち。

その裏で、詠一郎はもう一度あいと向き合おうとした。
あいも同じ気持ちだとどこかで甘く考えていた。なぜなら、
子供部屋の夏空の絵、あいが詠一郎を気にしているという耕作の話、操の女の勘…
雄ネコに戻って、あいを取り戻せるのではないか。
詠一郎はあいに会いに行った。彼女は拒否をしない。強がった笑みを見せながら、別れた後の話をしている。
まだ彼女は自分を…
そしてキスをした。
しかし、突き放された。同じ気持ちではないと気づいた。
雄ネコは再び去勢された雄ネコに戻って退散する。
最後は、耕作に挑まれた。雄との戦い。とても戦える気がしなくて、逃げるように去った詠一郎。
ようやく本当に終わりなのだとわかった。詠一郎の完敗。
「これが結末だよ」

ところが、あいはキスされた唇に触れ、涙した。その涙の意味は…?
9話であいは本当に彼に未練がないのか、詠一郎はどうなるのかなどまだまだラブサスペンスは終わりません。

素晴らしかったセリフ

操はこの一年、詠一郎を見続けた。
そしてかつての情熱が失われていることに不満だった。
愛人に戻れなら戻りたい。つまらない詠一郎と暮らす妻の座は嫌だった。

「世の中の妻は、こんなこと考えないのかな。出逢った頃と同じくらい愛されたいって、みんな思わないのかな」

その妻の座から降りたあいが、突然元夫にキスされた。
一年、様々な思いをこらえてなんとかやってきたのに、詠一郎は無責任なキスをしてきた。
彼もなぜキスしたのかわからないと答えた。
そのときのあいのセリフが深かった。

「わからないキスなんて、しないでよ」