サスペンス

「水曜日の情事」第6話 ネタバレ感想 | 2001年・秋ドラマ

水曜日の情事

前回、詠一郎は最大の問題を抱えていた。
「結婚記念日と愛人の誕生日が重なった場合、男はどちらを選ぶべきか……」
考えた末、彼はダブルヘッダーをこなすことにした。
耕作を協力者にして、その日をなんとか乗り切ろうとする。

妻のあいは、詠一郎と操の関係を疑い、攻撃を仕掛けたがうまくかわされる。
そこで意を決し、操のランプシェードの店に乗り込んだ。
だがそこに詠一郎はいなかった。
夫は妻が来ることを見越していたのだ。

今まで散々追い込まれてばかりの詠一郎がうまく乗り切ることに成功した。
しかしまだ爆弾はそこかしこにある。
明洋に、ハコに、耕作。でもやはり、操だ。
結局不倫を壊すのは愛人ではないかと思う。

今後さらに厳しい試練が詠一郎に待ち構えているのは間違いない。
6話の感想と脚本を分析していきます。

「水曜日の情事」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

佐倉 詠一郎(35)――本木雅弘
大手出版社・文洋書店の文芸編集者。
エネルギッシュな仕事ぶりから「行動隊長」とあだ名を持つ敏腕編集者である。
結婚3年目で自他共に認める愛妻家だったが、妻の親友の操と出会い、不倫関係になる…

佐倉 あい (33)――天海祐希
詠一郎の妻。小さなリフォーム会社を経営。
両親や弟の明洋と疎遠なため、詠一郎と温かな「家庭」を築いていくことが彼女の夢。
ところが学生時代の親友の操の登場でその夢に暗雲が。詠一郎と操の不倫を疑う…

天地 操  (33)――石田ひかり
あいの小・中・高と学生時代の親友。
10歳年上の財務官僚である夫が過労死してしまう。その葬式で15年ぶりにあいと再会。その夫の詠一郎を好きになり、隠れて不倫する。一方、元カレの明洋からも言い寄られ…

前園 耕作 (29)――原田泰造(ネプチューン)
ハードボイルド新人賞に輝いた、若手有望株のアクション小説家。
詠一郎に誘われた文壇バー『ソル』のホステスの由香子に一目惚れ。
一方で、詠一郎の妻あいにも好意を抱いている様子…

岡島 明洋 (31)――谷原章介
あいの弟。CM音楽などを作曲している若手ミュージシャン。
あいがコツコツ貯蓄していた会社設立資金を持ち逃げして疎遠に。だが詠一郎の仲立ちで仲直りする。詠一郎と操の不倫を知っているが、元恋人の操にアプローチする…

浜崎 由香子(22)――伊東美咲
文壇バー『ソル』のホステス。
耕作に好意を持たれ、お客さんとして見ていたが惹かれる。
だが耕作が詠一郎の妻あいに同情しながら恋慕していることに気づく…

小暮 志麻子(33)――木村多江
文壇バー『ソル』のママ。
常連の詠一郎をよく知っている…

沖野 晶午 (32)――北村一輝
インテリアデザイナー。
公私共に、あいの良きアドバイザーであり、親友でもある。恋愛対象は男…

都山 ハコ (20)――金子さやか
明洋の恋人。
いつも派手なファッションに身を包み、言動も子供っぽいが、実は鋭い観察眼を持つ。
明洋と操が元サヤに戻るのではと心配…

第6話あらすじ(ネタバレあり)

ホテルに、詠一郎と操がいた。
帰ろうとする詠一郎に、「今夜、泊まってって」と操。
「俺をいじめて楽しい?」
操は黙り、バッグを手にする。そして新聞紙に包まれた何かを取り出した。
「わたしとこれ以上付き合いたいなら……」
と、中身を取り出した。文化包丁だ。
「これで殺してきて、奥さん」
愕然とする詠一郎の前に落とした。床に突き刺さる文化包丁!!
「恋を取るか友情を取るか。わたしは迷わず恋を選ぶ」
愛人が、とうとう壊れ始めた…と詠一郎は呆然とした。

朝帰りした詠一郎はリビングで青ざめていた。
なぜかテーブルに生命保険のパンフレットがある。
あいは、操に勧められたと話した。
詠一郎は愛人が本気だと震え上がり、自室に逃げた。

あいが耕作の家に差し入れを持ってやってきた。
詠一郎が結婚記念日と愛人の誕生日のダブルヘッダーをこなすため、耕作は芝居を打った。その時に原稿がないと騒いだ。見つかったその原稿を読ませてほしいと、あいは言う。
原稿などあるわけがなく、耕作は苦しい言い訳をして逃れる。

その晩、文壇バー『ソル』で耕作はあいが来たことを詠一郎に話した。
「……先生はさ、この世で一番恐ろしいことって何だと思う?」
第1話のファーストシーンとなる)
ホテルで起きた文化包丁の話をした。
詠一郎は気が滅入っていて、早々に店を出た。世にも恐ろしい男と女の物語なんて、もう真っ平で、平穏な日常に帰りたかった。

詠一郎はあいと近所のバーへ行った。
「あいはさ、世にも幸せな男と女の物語って、何だと思う?」
あいは将来の夫婦像を語った。子供はできなくても夫婦で寄り添いささやかな幸せを感じて生きる。
「これが、世にも幸せな男と女の物語」
詠一郎は安堵し、妻に微笑んだ。

その頃、操は詠一郎に何度も電話していた。
詠一郎は妻との時間を邪魔されたくなくて、家に携帯を置いてきていた。
操はなぜ出ないのか確かめようと、佐倉家へ向かう。
すると酔っ払って楽しそうにしている詠一郎とあいを見てしまった。
刃のような眼差しで見つめる操だった…

翌日、操が詠一郎を呼び出した。
「どうしてわたしを避けるの!」と声を張り上げて怒った。
なんとかなだめるが、
「わたしとはもうこれっきり、ってこと?」
「そうは思ってないけど……」と詠一郎は口ごもった。そして意を決し、
「今ならまだ引き返せる」
「ふーん。いいわよ。別れたいなら別れてあげる。でも条件がある。さあ来ました、恐怖の交換条件」
「……」
「あなたの子供を産みたいの。子供を授けて、あいより早く」
詠一郎は圧倒され、操に恐怖を感じる一方、彼女の言葉に感動している自分に気づいた。
「壊れ始めているのは、俺のほうかも知れない……」

家に帰ると、明洋とハコが来ていた。
ハコが妊娠3ヶ月で、結婚式の立会人をお願いされる。
ハコはこっそりと詠一郎に言った。
「この子があたしを救ってくれた気がする」
ハコは、明洋と操の仲を心配していた。それなら詠一郎があいを捨てて操と一緒になれと思っていた自分を、この子が救ってくれた、と。

明洋とハコが結婚式を挙げた夜、佐倉家でパーティーが開かれた。
操、耕作、晶午、由香子もやって来た。
和気あいあいとにぎやかだ。
詠一郎は、若い二人を祝福すれば、男と女の複雑な糸はほぐれてくれるだろう、そう信じた。

だが、あいと操が昔の男の取り合いの話で口論になる。
慌てて止める耕作。明洋もめでたい日にやめろと言うが、ハコが続けるべきだと言った。
酔った操は続け、あいが操から奪い取った男にしばらくして会った。その時、あいは操から奪うのが目的の恋愛だったと聞かされた。
あいは本音を語った。あの頃、その男がとても好きだった。親友を傷つけても一緒になりたかった。けれど奪い取った後、自分にとって一番大切なものを捨ててしまったことに気づいた。
「子供だったんだ、わたしもあいも」と操。
その場は一瞬落ち着く。

だが、あいは暗い表情でぼそりと言った。
「だったら、復讐なんてしなきゃいい」
「復讐……?」
「詠一郎と寝たんでしょ」
慌てて詠一郎と操はとぼけた。
しかし、あいの怒りは収まらない。
「どこまで私を馬鹿にすれば気が済むの。この女はね、私たちを別れさせるのが目的なの」
あいは操が口を挟むのを許さず、詠一郎を問い詰めた。
「どうなの? 私の親友だった女性と、寝た?」
『問い詰めるあいが、血を流している。その傷口を塞ぐことができるのは、俺の嘘しかない』詠一郎は否定しなければと思いつつも、言葉が出ない。
「私をもう苦しめないでほしいの。私を裏切ったのか裏切ってないのか、教えてよ!」
あいの涙を見ているうち、詠一郎に切ない思いがこみ上げる。
『俺みたいな男と出逢ってなければ、お前はもっと幸せになれたかもしれない……。遠くからでもいい、そんなお前を見てみたいと思うんだ。本当だよ。だって、誰よりもお前のことが……好きだから』
詠一郎は意を決した。
「俺、お前の親友と何度も寝た。ごめんな、あい」
「馬鹿」と操も涙を流した。「どうして嘘、つかないの」

感想とシナリオ分析

見応えのある回でした。
「これで殺してきて、奥さん」
第1話のファーストシーン、愛人が落とした文化包丁が床に突き刺さる、とても印象的なシーンがここできました。
タイトルも『愛人、壊れる』で、妻は親友であり、夫の愛人に生命保険を勧められているというなんともシュールな状況に、詠一郎はどうするのかと変な期待が高まりました。

しかし当然、詠一郎は文化包丁を会社の備品にして、愛人を避けるという手段をとった。
妻は感づいているが、今なら引き返せそうという甘い算段もある。
だが操はそんな甘い考えを打ち砕く。
別れるならあなたの子供がほしい。

詠一郎は本当の意味で、妻と愛人の間で揺れている。
進むべきか、退くべきか…
そんなとき、若い二人の結婚話があがる。
束の間の休息か。
そう思っていたところ、あいが突然ぶっ込んできた。

天国のようなめでたい日に、地獄を演出する。
この発想が本当におもしろかった。
メタファーなのかと思った。
不倫してる時は天国、でも現実は地獄なんだ。
結局、詠一郎は進むも地獄退くも地獄だった。

だから最後、詠一郎はあいに嘘をつかなかったのか。
それとも嘘をつけなかったのか。
7話で詠一郎は何を語るのか、そして夫婦は修復できずに終わるのか。操とどうなるのか。

素晴らしかったセリフ

操は詠一郎と別れる条件に、子供がほしいと言った。
あいから詠一郎を奪い取る度胸はない。けれど詠一郎と離れたくない。
だからせめて別れるなら、詠一郎の血を受け継いだ子供を授けてほしい。
その子が大きくなって、詠一郎に似てきて、詠一郎と楽しかった日々を思い出す。
それだけでわたしは幸せなの、と操。

「女は思い出だけでも生きていけるの。悲しいけど」