サスペンス

「水曜日の情事」第10話 ネタバレ感想 | 2001年・秋ドラマ

水曜日の情事

前回、詠一郎は再びあいと会った。
今度はあいから彼を家に招いた。
一年前と状況が逆転していることに気づいた詠一郎。
お互いに本音で話そう。「待ってたんだろ、俺を!」とあいに迫った。
あいは抵抗していたが、こらえきれず、
「あなたが会いに来てくれるのを私は待ってた」と本音を漏らし涙した。

二人はよりを戻したかに見えたが、
これではいけない、また振り出しに戻るだけと気づいたあいが詠一郎を押し返し、
「帰って」と悲鳴に似た声で泣き叫んだ。
それでも詠一郎はあいを愛している。
彼らの着地点はどこにあるのか…
10話の感想と脚本を分析していきます。

「水曜日の情事」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

佐倉 詠一郎(35)――本木雅弘
大手出版社・文洋書店の文芸編集者。
エネルギッシュな仕事ぶりから「行動隊長」とあだ名を持つ敏腕編集者である。
自他共に認める愛妻家だったが、妻の親友の操と不倫し、それが発覚して離婚。だが1年後元妻にやり直そうと迫る…

佐倉 あい (33)――天海祐希
詠一郎の妻。小さなリフォーム会社を経営。
詠一郎と温かな「家庭」を築いていくことが彼女の夢だったが、夫と親友の不倫が許せず離婚。夫婦で築いた家をリフォームし心機一転した矢先、詠一郎からキスをされ、やり直そうと言われたが…

天地 操  (33)――石田ひかり
あいの小・中・高と学生時代の親友。
詠一郎と隠れて不倫していたがあいに気づかれ、二人は離婚。結果的に詠一郎が操の家に移り住むことになったのだが、一年を経て元夫婦はよりを戻そうとしていると疑う…

前園 耕作 (29)――原田泰造(ネプチューン)
ハードボイルド新人賞に輝いた、若手有望株のアクション小説家。
文壇バー『ソル』のホステスの由香子と付き合っている一方、詠一郎と離婚したあいに惹かれていて彼女との結婚を望む…

岡島 明洋 (31)――谷原章介
あいの弟。CM音楽などを作曲している若手ミュージシャン。
あいがコツコツ貯蓄していた会社設立資金を持ち逃げして疎遠に。だが詠一郎の仲立ちで仲直りする。恋人のハコと結婚し子供も生まれた…

浜崎 由香子(22)――伊東美咲
文壇バー『ソル』のホステス。
恋人の耕作が、詠一郎の元妻あいに惹かれていることに気づき、色々と引き止めようとするのだが失敗。失恋した…

小暮 志麻子(33)――木村多江
文壇バー『ソル』のママ。
常連の詠一郎をよく知っている…

沖野 晶午 (32)――北村一輝
インテリアデザイナー。
公私共に、あいの良きアドバイザーであり、親友でもある。恋愛対象は男…

都山 ハコ (20)――金子さやか
明洋の妻。
義姉のあいの家で子育て中…

第10話あらすじ(ネタバレあり)

あいに「もう一度、やり直さないか?」と、自分の気持ちをぶちまけ、帰宅した詠一郎。
操の話も上の空。彼の頭の中は、あいのことでいっぱいだった。

一方あいは「やり直そう」と詠一郎に言われ、今でも元夫を愛している自分に気づき、心の中はパニック状態だった。
帰宅した晶午がそれに気づいた。
「やっぱり詠一郎さんが好き?」
「……わからない」
「わからないのが、一番辛いんだよね」

翌朝、「いってらっしゃい」と操に見送られながらも詠一郎が向かったのは、川の向こうのあいの家だった。
チャイムを鳴らすが反応はない。
しかし、詠一郎は中にあいがいると確信し、語りかける。
「もしお前が俺に何かを求めてくれるなら、俺っていう人間がお前にとって何かの足しになるなら……もう一度、中央区役所に行かないか」と、すりガラスに手を当てた。
だがあいはその手に重ね合わさず、「できるわけないじゃない」と言った。

それでも食い下がる詠一郎に、あいもついに胸の内を見せる。
昨夜、詠一郎が来るのを待っていた。操をおんぶする詠一郎を見て、『奪っちゃえ』と悪魔が囁いた。けれど、また争うことを考えたらゾッとした。
「人間って、どこまで『愛』のために戦えるのか。年取って、体も崩れて、セックスなんてできなくなる。それまで男と女で居続けるって、つまり、愛のために戦うってことだよ。生きるってことだよ。違うかな」と詠一郎。
「恋愛小説なら、それで読んでる人は面白いかもしれない。私たちは生身の人間なの、小説の登場人物じゃないのよ」とあい。

詠一郎は賭けに出た。
「俺たちが初めてデートした場所で、明日の夜、待ってる」
「忘れた」というあい。
「きっと思い出す。もしお前が本当に忘れてしまってて、来てくれなかったら、俺、きっぱり諦めるよ。俺、待ってるから」と、詠一郎は去って行った。

詠一郎にとって、あいとの初デートは特別だった。
あいのぬくもりを知った場所だという。
しかしあいは本当に覚えておらず、思い出せなかった。

操の店に、耕作がランプシェードを買いにやってきた。
高級外車で乗りつけて、すっかり売れっ子作家だと茶化す。だが耕作は売れてない頃、四人で食事した頃を懐かしむ。
「秘密だらけの四人だったけど」と操。
「こうなった以上は、操さん、頑張ってください。佐倉さんをがっちりつなぎ止めて、離さないようにしてください」
すると操はたばこをふかした。
「一年前の彼に戻った。それは一年前みたいな恋をしてる証拠よ」
「……」
「ねえ、先生。わたしと一緒に、やってみない?」
「何を、ですか」
「愛する人間を失いたくない」
操は、耕作をけしかけ、二人が会う現場に乗り込もうと提案した。

「あいには女の友情がある。それでも彼に引き寄せられる。彼はわたしに対して後ろめたい。それでもあいに引き寄せられる。だから二人は苦しんでるの。それで今まさに抱き合おうとしているところに、わたしが現れる。二人はどんな気持ちになると思う?」
「罪悪感……」
「わたしはその時、こういう顔をしている」
操は振り返ると、涙を流してみせた。
「こういうわたしを見て、二人は思う。もう終わりにしなきゃ。二人の気持ちは急速に醒めていく。先生。長い一日になるかもよ」

そして操と耕作はすぐに行動し、今夜二人が会うことを突き止める。
しかし、あいは初デートの場所がいまだ思い出せないでいた。
詠一郎は会社を出ると、初デートの場所へ向かった。
その後をつける操と耕作。

詠一郎が向かったのは、街の本屋だった。
馴染みの店主に、作家溝口の『恋愛小説』を今夜お店を閉めるまで置かせてほしいと頼んだ。

ついに、あいは初デートの場所を思い出した。そして急いで向かった。
本屋の明かりが消える。
そこへあいがやって来るのを操と耕作は見た。

「あの、溝口興三郎先生の『恋愛小説』は……」
「さあて、どこに置いたかなあ……」と、すっとぼけて店主が消える。
平台に『恋愛小説』を見つけた。
4年前と同じ光景が思い出される。
あいは詠一郎が手掛けた本のために、『恋愛小説』を目立つ場所へ置き換えた。
その手をすっと握る詠一郎。
「このあたりの本屋、みんな岡島さんの仕業でしょう?」
あいは、溝口と詠一郎が必死の思いで作った恋愛小説に感動し、力になりたいとやっていた。
「あいさん……ありがとう」
あいと詠一郎は握手。そのときにあいのぬくもりを感じたのだ。
「この際、初デート、しましょうか」

四年前と同様、あいは楽しそうに目立つ場所へ本を置いていく。
すると同じように手を掴まれた。
「この場所だ。ここで初めて知ったんだ……あいのぬくもり」
幸せそうに微笑むあい。
それを外で見ていた操と耕作は動けなかった。

詠一郎とあいは話し合った。
「四年前、俺、思ったんだ。こういう優しさに包まれて一緒に生きていけたら、どんなに幸せだろう……今もそう思ってる。あいを……愛してる」
「……」
「あい、戦ってみないか。生きてみないか」
と、二人は抱き合い、キスをした。

遠くから見ている操と耕作。
「涙なんか……」と操は言って、彼らに向かって一直線に進む。
あいが操に気づくと、彼女は笑った。

感想とシナリオ分析

このドラマのテーマが語られた。
『愛のために戦うことが生きることだ』

詠一郎はそれをあいと試してみたい。
だが女の友情が、あいを阻む。
二度も親友を傷つけるわけにはいかないと心のブレーキがかかるのだ。

しかし二人はどうしようもなく惹かれ合う。
詠一郎の初デート場所は、あいのぬくもり、それは愛を感じた大切な場所。
そこでもう一度確かめたい。彼女に来るよう言って、詠一郎は賭けに出た。
そして、あいは現れた。

あいは行く前に、作家の溝口と会って話をしていた。
溝口夫婦は愛のために戦い、多くの犠牲を払って、勝利した。
その先に見えた夫婦の姿は、互いが寄り添う、穏やかな暮らしだった。
あいも溝口の妻のようになりたいと本音を漏らしていた。

詠一郎に抱き寄せられ、キスをした。
愛のために戦う。彼と生きる。
あいはそう思ったはずだったが、彼らの前に操がやって来た。
泣いて、来たのではない。笑って、やって来た。
いったい操は何を考えていて、彼らに何を話すのか?
最終話、詠一郎とあいはどうなるのか、彼らの恋愛小説の結末はどうなるのか気になります。

素晴らしかったセリフ

詠一郎はあいと初デートした場所が、あい(=愛)のぬくもりを感じた場所だと言った。
その場所をあいは思い出せなかった。
そして作家の溝口の家を仕事で訪れたあいは、彼から妻は恩師の女で略奪愛だったと聞く。
「昔は激しかった。お互いに傷つけ合って、だらだらと血を流し合うような恋愛でした」
「……」
「でも僕たちは離れなかった。相手の流す血が温かいと思うまで寄り添ってしまう」

「人間は自分一人の体温だけでは凍えてしまうんです。寒空の下で二匹の猫が寄り添うように、もう一人の体温があって、かろうじて生きていける」

「愛のために戦うことが生きることだ。今朝、彼に言われました」
「愛をぬくもりという言葉に置き換えれば、同じ話です」