サスペンス

「踊る大捜査線」第5話 ネタバレ感想 | 1997年・冬ドラマ

踊る大捜査線

事件が起きると、警察官はどんな流れで捜査をし、犯人を挙げるのか?

まず110番通報が入り、殺人事件などの重大事件の場合は、
所轄警察署→機動捜査隊→鑑識→捜査一課の順番で現場に入ります。

機動捜査隊は、初動捜査と現場保存。
鑑識は、現場から指紋や体毛、足跡、血液などの採取の証拠収集。
捜査一課と所轄の刑事は、2人1組で聞き込み(地取り)捜査などをする。
所轄の警察署に捜査本部(帳場)が設置され、署長と捜査一課の幹部による記者会見が開かれる。

捜査会議は、8時30分からスタート。情報整理と今後の捜査方針を決めて、10時30分から終日捜査。夜の捜査会議、1日の捜査結果をまとめて終わる。
捜査が進み(犯人の目星をつけて)、強行班長と担当検察官が、逮捕状を裁判所に請求可能か判断する。
裁判所から逮捕状をとって、犯人逮捕へ向かう。

過酷な仕事です。給料もそんなに高くないですし、志がなければ刑事は務まりません。
青島やすみれ、和久さんがなぜ刑事を続けるのか、そんなところも見どころになります。

「踊る大捜査線」第5話の感想と脚本を分析していきます。

「踊る大捜査線」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

青島俊作――織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係、巡査部長。脱サラ刑事。
コンピュータ会社の営業マンから警察官へ転職。練馬署地域課勤務を経て、湾岸署刑事課に勤務…

恩田すみれ――深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係、巡査部長。
警視庁総務部婦人留置係から湾岸署盗犯係へ…

室井慎次――柳葉敏郎
警視庁刑事部捜査一課管理官、警視。
担当管理官として湾岸署にやってくる…

和久平八郎――いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係、巡査長。
八王子署刑事課勤務の際、同僚が目の前で殺害される過去がある。定年間近の刑事…

真下正義――ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係、警部補。
東大卒のキャリア組。湾岸署に研修として配置。警部の昇任試験の勉強中…

柏木雪乃――水野美紀
一般市民。日本帰国直後、父親が殺害される…

神田――北村総一朗
湾岸署署長、警視正。

秋山――斉藤暁
湾岸署副署長、警視。

袴田健吾――小野武彦
湾岸署刑事課課長、警部。

魚住二郎――佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長代理、警部補。

中西――小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長、警部補。

第5話あらすじ(ネタバレあり)

金曜日の深夜、湾岸署には青島や和久らがまだ仕事をしていた。
中年男が援助交際を募集し、殺到した未成年の女子たちを叱りつけていた。
そんな中、すみれが退社する。
一人で大丈夫なのかと心配する和久に対し、すみれは「今日は金曜だから」と去っていった。

しかし、暗がりの道を歩いていると、背後に気配を感じた。
振り返ると、男!
「火曜日じゃなくても、現れるよ」
と、金属の棒をすみれに振り上げた。

湾岸署に警報。110番が入電。路上で女性が血を流していると通報。
すぐに席を立つ和久と真下。聞かなかったことにすると慌てて帰り支度。
だが110番の係官の放送を聞いて、すみれではないかとさっと顔色が変わり、全員で駆け出す。

救急病院に駆けつける袴田と魚住。青島から、被害者はすみれだったと聞く。
すみれは無事。和久が聞き込みをしたところ、犯人は3年前にすみれを襲って、捕まった男だった。
男は1年前に出所し、ずっと付け狙っていたとわかる。
それは袴田以外がみんな知っていることだった。
「なぜ報告しなかったの?」
「男に付け狙われるだけじゃ警察は動かないでしょ」と逆に怒られる。

青島はすみれの世話をする。
家に連れて帰ろうとするが、署に戻るといって聞かないすみれ。
「怖いの……。あいつ、……あたしを殴る時、笑ってた……」
すみれは青島に捜査へ行ってという。
すると青島は、自分のお守りをすみれに握らせた。

男の家の前で張り込みする青島と和久。
和久から、すみれの3年前の事件の話を聞く。
当時、一流商社の青年と婚約していたすみれは、結婚を機に刑事をやめるつもりだった。しかし、事件で腕に大きな傷を負った。傷のことを気にして、すみれは婚約を解消。和久たちは励ましたが、彼女の心はあれ以来晴れない。
「傷はもとに戻らねえけど……せめて、ここ(胸)の傷だけは消してやろうじゃねえか」

すみれが襲われ、湾岸署署員たちは殺気立っている。
署長も「このヤマは署をあげて捜査する!」
あまりの署員たちの興奮状態に違和感。
そこへ、すみれがひょっこり現れる。
一同、幽霊でも見るような目で驚愕。
彼らは、すみれが殉職したと勘違いしていた。

すみれ宛に宅急便が届く。
中にはビデオテープ。犯人から送られたものだった。
中身の映像を確認して、すみれは血の気が引く。
男はサファイアというアニメキャラとすみれを重ね、付き合っていると誤認。だが無視され続けていることに怒りを感じている。これは警告だと訴えた。
すみれは震えている。
「あたしの部屋……」
男はすみれの部屋に忍び込んで、撮影していた。

翌朝、捜査一課の室井の前にやってくる袴田と魚住。
容疑者について情報提供をくれた。余罪が他にもあるので、今後は捜査一課が取り仕切るといわれる。

事件を横取りされたと憤る青島ら。
そこへ捜査一課が乗り込み、補佐しろと言われる。
その裏で真下がネット掲示板から貴重な情報を掴む。
犯人をおびき出す作戦を青島と考える。
そして容疑者が接触してきた。

青島はすみれに犯人を捕まえるチャンスだと訴える。
だが、また殴られたら……と怯えるすみれ。
「自分で解決しなきゃ、いつまでたっても終われないんだよ」
それでも渋るすみれに、「刑事だろ?」と説得した。

一課の捜査から離れ、犯人逮捕の準備をすすめる青島とすみれ。
だが室井にその動きがバレた。真下があっさりと話してしまう。

地下駐車場。
お守りを握ってすみれは犯人との待ち合わせ場所へ向かった。
無線で青島とつながっているすみれ。すぐ近くで待機する青島。
フードの怪しい男を警戒。
だが見失う。
そして、すみれも見失ってしまった。

すみれの背後に忍び寄るフードの男。
青島は駆け出した。
「嬉しいよ、また会えて」と男。
絶望的なすみれの表情。
すみれの顔の前にナイフを突き出したところ、青島が飛び込んだ。
「すみれさん、手錠!!」

そこへサイレンを鳴らして現れた室井ら一課。
「なぜ本庁に連絡しなかった!」
「すみれさんに逮捕させたかったんです!」
だが一課が逮捕して連れて行く。
反省していない男に、サファイアの得意技を聞く。
「サファイアキックで悪党を倒すのさ」
すみれは強烈なキックを男にかました。

感想とシナリオ分析

身内の事件だからできる緊張と緩和のコメディ。
すみれが襲われ、いつもと違うやる気を見せる署員一同。話が重くなりそうなところ、同僚たちがすみれは殉職したと勘違いするくだりや、すみれを襲った事件はストーカーだと捜査会議で話が進む中、ストーカーが何かを知らない署長のとぼけぶりがストーリーの緩和となって面白いです。

当時からストーカーのような事件(付け狙い)は頻繁にあったにもかかわらず、その犯罪名称がなく、恋愛沙汰や内輪もめなどとの見方で処理されてしまい、事件として処理されていませんでした。
警察は事件になってからではないと動けません、が当たり前で、じゃあ娘が死んでからじゃないと犯人を捕まえられないのかとストーカー被害に悩む親が警察に怒鳴り込んでも、そういうことになりますね……、という状況でした。

1990年代は今から見れば、とてもおかしな時代でした。性は乱れ、社会もバブル景気が終わって混沌していました。冒頭の未成年の女の子が、金を配るおじさんについていく、性を売るなんて当たり前に街で行われていました。
その一方、ストーカーのような陰湿な事件も多くあり、社会が問題だと叫びだすと、ようやく法整備が進んで、事件として認定されるようになりました。
それでもどこかまだストーカーという新しい犯罪は当時笑いの種にされていた印象です。

捜査会議のやりとりでも、署長はストーカーの定義に悩みます。
「ストーカーは相手を一方的に好きになって、後を付け回すんです」
「なんで付け回すの? 好きなら声をかければいいじゃない」と署長。
「付け回す行為を恋愛だと思いこむ人間がいるんです。小さい時、通学の途中で好きな人ができて、声かけられなくて、毎朝、一緒の電車に乗ったことあるじゃないですか」
「ああ、あったあった。なら、わたしもストーカーってこと?」
「それを大人になってもやってる人間がいるんです」
「それは単なる馬鹿だろ」
ストーカーなんかするのは馬鹿、というのはまさにそうなんですけど、暴力に発展するからダメなのだと説明する。
「なんで好きなのに、暴力をふるうんだ?」
「ほら、小さい時、好きな子にちょっかいを出していじめたことあったでしょ?」
「ああ、あったあった。なら、わたしもストーカーってこと?」
「それを大人になってもやってる人間がいるんです」
「それは単なる馬鹿だろ」
と、堂々巡りで捜査会議は終了する。そのくらいストーカーをやる人間の気持ちが理解できないので、なかなか事件としても取り扱ってもらえなかったのだと思います。

これはDVでも同じことがいえます。近年ようやく重く受け止められるようになりました。
なんで愛する人を殴るの?
なんで殴るのか理解できないんですよね、普通の人は。この感覚の人がほとんどだから法整備や厳罰化まで進みづらかったのだろうなと思います。
署長の「単なる馬鹿」とは言い得て妙です。
以前まではネットの誹謗中傷も「あれは馬鹿のすることだ」で済んでいましたが、これからは厳罰化されるでしょう。
馬鹿のせいで、世の中がどんどん馬鹿基準になっていく。

素晴らしかったセリフ

犯人逮捕をすみれにさせたくて、室井たちに連絡しなかった青島。
わからない室井に対して、青島は言った。

「彼女は被害者なんです。他の者が逮捕しても、彼女の傷は消えません」

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