サスペンス

「踊る大捜査線」第4話 ネタバレ感想 | 1997年・冬ドラマ

踊る大捜査線

警察組織のピラミッド構造についておさらいしたいと思います。
警察組織は、都道府県単位で、知事所轄の公安委員会のもとに警察本部がある。
その下に警察署が置かれる。

県警のトップは本部長と呼ばれる。事務を統括する。
警視庁(東京)だけは、階級最上位の警視総監が務める。
それら全国の警察を束ね、指揮監督するのが警察庁となる。

▼ピラミッド型の警察階級
警視庁の場合、警視総監が最上位。
次に、警視監、警視長と続く。
いわゆる部長クラスがこの階級だ。

その下に、警視正。参事官と呼ばれる人や警察署の署長。
警視は、課長や理事官、警察署の署長や副署長クラス。

警部は、係長、警察署の課長クラス。
警部補は、主任、警察署の係長クラス。

巡査部長は、係の職員、警察署の主任クラス。
そして巡査長、巡査となる。

10階級のピラミッド組織なのだ。
階級を上げるには筆記試験による昇任試験を突破する必要がある。
3階級上の室井に楯突く青島やすみれの行為は実際は考えられないのだろう。
ちなみに、和久さんはその下だ。逆にすごい。

「踊る大捜査線」第4話の感想と脚本を分析していきます。

「踊る大捜査線」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

青島俊作――織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係、巡査部長。脱サラ刑事。
コンピュータ会社の営業マンから警察官へ転職。練馬署地域課勤務を経て、湾岸署刑事課に勤務…

恩田すみれ――深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係、巡査部長。
警視庁総務部婦人留置係から湾岸署盗犯係へ…

室井慎次――柳葉敏郎
警視庁刑事部捜査一課管理官、警視。
担当管理官として湾岸署にやってくる…

和久平八郎――いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係、巡査長。
八王子署刑事課勤務の際、同僚が目の前で殺害される過去がある。定年間近の刑事…

真下正義――ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係、警部補。
東大卒のキャリア組。湾岸署に研修として配置。警部の昇任試験の勉強中…

柏木雪乃――水野美紀
一般市民。日本帰国直後、父親が殺害される…

神田――北村総一朗
湾岸署署長、警視正。

秋山――斉藤暁
湾岸署副署長、警視。

袴田健吾――小野武彦
湾岸署刑事課課長、警部。

魚住二郎――佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長代理、警部補。

中西――小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長、警部補。

第4話あらすじ(ネタバレあり)

声を取り戻した雪乃は無事退院することができた。
青島が駆けつける。
「刑事さん。雪乃さんの心の支えになってあげてください」と医師。
青島は、はい、と返事をした。

その頃、署長室に島津警視長捜査一課長が訪れていた。
2年前に起きた渋谷区の連続強盗傷害事件の容疑者が、湾岸署の管轄で目撃された。
土地に詳しい刑事が必要だ。
そこで青島を借りたいという。室井管理官の要請だ。
「本店もとうとう血迷ったか……」と和久。
そこへ青島がやって来る。
「青島巡査部長、警視長の捜査一課に派遣を命じる!」

捜査一課にやって来た青島。
室井から容疑者の男の写真を見せられる。
大木茂。犯行当時19歳の大学生。
「湾岸署管内の遊び場をしらみ潰しにあたってくれ」

捜査に不満の捜査一課刑事たち。
青島が容疑者について語ると、
「デカみたいなクチきくな、所轄の小僧が!」と胸ぐらをつかまれ、怒鳴られた。

夜、バーへやって来た青島。
そこへ、すみれと真下が心配して現れる。捜査に協力してくれる。
容疑者の男はいない。
すみれの隣の客が、彼女のバッグを狙っている。
気づいたすみれは、スリの現行犯逮捕するため演技を始める。
そして青島との連携プレーで逮捕した。

ところがそこへ容疑者の男、大木が現れた。
彼はすみれが出した警察手帳を見て逃走。
青島は容疑者を取り逃がしてしまった。

湾岸署に戻っていた青島のもとに、怒った足取りでやって来た室井、捜査一課刑事たち。
青島は室井に、スリを逮捕するため手帳を出し、取り逃がしたことを話す。
なぜ二人一組で行動しなかったのか、と捜査一課の刑事を叱る室井。すると、
「彼がどうしてもひとりで動き回りたいって言うもんで」と一課刑事が嘘をつく。
他の刑事たちも青島を責める。
「強盗傷害の犯人とスリとどっちが大事だ!」
「おれたちはでかい事件追いかけてんだ!」
「クズみたいな事件に手出したってしょうがねえだろうが!」
「重要な犯罪を担当するのが捜査一課だ。クズみたいな事件追いかける所轄とは訳が違うんだ!」
その場に居合わせた所轄職員たちは凍りつく。だが何も言い返せない。
青島は室井に謝罪する。室井は無言で立ち去った。
すみれが責任を感じて、青島に謝罪。だが、
「すみれさんは自分の仕事したんだ」と励ました。

翌日、ショックで署に足が向かない青島。
公園にいたところ、偶然、雪乃と出会う。
父親に隠していたことを青島に吐露する。
アメリカに留学していたとき、婚約者がいた。それを父親に言い出せなかった。父親さえこの世からいなければいいと思っていた。そうしたら事件が起きた。
「その人のことで何かあったんですね?」と青島。
雪乃は、力になってほしいと訴えた。
そこへ青島のポケベルが鳴った。

湾岸署に捜査一課が詰めかける。
大木容疑者のタレコミが入り、捜査本部ができる。
昨日のミスで青島を外そうとする袴田だが、室井が青島を呼べという。
戻ってきた青島に、「支店の意地を見せてやれ」と和久。

捜査一課は、なぜ室井が青島を捜査に参加させたいのかわからない。
青島もわからず、室井に問う。
「警察は会社じゃないと思っている刑事に来てほしいんだ」
この事件でそれなりの結果を出せば、青島を捜査一課に推薦したいと考えていた。
「接触のチャンスは今夜一回だけだ。今度は裏切るな」

クラブで張り込む青島、捜査一課。
だが青島は一課たちに無視をされる。
夜になり、若者が集まる。
捜査が気になって湾岸署に残る、すみれや和久、真下たち。
真下は、捜査本部を盗聴している。
すると容疑者が現れたとの報告。
緊張が走る。

ところが青島の近くで、少女が若い男に乱暴されているのを目撃。
青島が室井に無線で報告する。
「騒ぎを起こすな。犯人確保が先決だ」
青島は少女から目をそらす。だがまた見てしまう。少女と目が合う。血を流して泣いている。
「……」
「青島、動くな」
「……」
「返事しろ、青島!」

青島は我慢の限界で、無線のイヤホンを取った。そして少女を助けに向かう。乱闘騒ぎに発展。
「誰だ、てめえ!」
「湾岸署だ!」と叫ぶ青島。
室井は慌てて「容疑者、確保」を無線で指示するが、容疑者は裏口から逃走。
また取り逃がしてしまった。
それをすみれや和久たちも聞いていた。

急いでやって来た室井が、青島を怒鳴りつける。
「勝手なことするなと言っただろ!」
「これは問題だ、管理官。あんたのミスだ」と捜査一課長。
「責任は取ります」
「わかりました。責任取ります」と、青島は警察手帳と手錠を出す。
「これを持っていると人を助けられないなら……こんなものいらないっすよ!」
と、手帳と手錠を叩きつけて立ち去った。

「!……」
前方から5つの影が浮かぶ。
やって来たのは容疑者を連れた、すみれや和久たちだった。
驚く捜査一課たち。
「その容疑者は捜査一課が追ってたんだ。渡せ」と情けない一課刑事。
「どうぞどうぞ。あたしら支店は関係ありませんから」と和久。
青島に、湾岸署で待っていると伝えて去っていった。
呆然と立ち尽くす青島。

戻ると、袴田がすみれや和久たちを怒っている。
「余計なことをするなよ。本店の顔潰すようなことしたら、あとで突き上げくらうのわたしなんだよ。もう!」
と、憤然と去る。入れ違いに青島が帰ってくる。
「辞めんのか?」
「……はい」
止めてくれるのかと思ったら、みんなあっさり受け入れる。
「もったいねえな」
「警察は倒産することもないのに」
一階では室井が、青島の手帳と手錠を届けていた。

青島がロッカーを整理していると、手帳と手錠が届けられる。
「なあ、青島。刑事はサラリーマンじゃねえんだろ? なら、上のもんのために、自分の信念を曲げることはねえよ。……なんてな」と帰る和久。
そして一人、またひとりと帰ったところ、青島が捕まえた被疑者の取り調べをする人がいないことに気づく。
「俺しかいないじゃん」
青島は、警察官を続けることにした。
その様子を仲間みんなが笑顔で見つめていた。

感想とシナリオ分析

この回は、本当に好きなお話です。
「自分の仕事って何だろう?」って誰もが青島に自分を重ねて考えてしまう。
組織の歯車になっている人こそ、ぜひ見てほしい。
そういったら、全員になりますね。つまり普遍的なテーマを扱っている。

ただ、このドラマのコメディ部分を楽しんでいる人は物足りないと感じるかもしれません。
この頃SNSはなく、ドラマ掲示板などはありました。
おそらくそこに「今回は面白くなかった」「つまらない」「暗い」などの書き込みがあったでしょう。
ですが昨今ほど、その感想の影響力はなかった。制作者もそれほど気にしていなかった。
一方、最近はSNSの感想のちからが大きい。制作側に影響を与えてます。

これがいいか悪いか判断できませんが、つまらないという感想をもとに、キャラクターを深堀りする回を捨てると、その後の関係性に深みを作れず余計に苦労するんです。
君塚氏の制作秘話として、やはりそのへんを考慮したとあります。
「連続ドラマは、ある回は面白みに欠けてても、人をきちんと描いて布石を打たないといけない」

まさにこの回で、青島がどういう刑事像を持って、仕事に当たるのかがはっきりした。
これ以降、余計に見やすくなるんです。

昨今のドラマはこの行程を避けてる傾向にあります。
なぜならキャラクターの深堀り回は、冗長でつまらないと感じやすいから。
それを考えず(わからず)、反射的にSNSなどで視聴者から、「つまらない」「面白くない」で切り捨てられると、台本に関わっていない制作陣は慌てるんですよ。
そんなことより、外側(ガワ)を面白くしろと変更を告げてくる。

もちろん脚本家はそれにも応えなきゃいけない。(脚本家は下請けですから)
ホン作りを理解している人は、制作側に実はほとんどいませんから、気付かれないようにキャラクターの深堀りシーンを入れることにします。ですが、たいてい削られる。それでも、またこっそり入れる、を現場で戦うんです。
もちろん、諦めてやらない人もいます。(何回書き直そうが、ギャラは変わりませんから)
ですが、7話あたりから最終話にかけていっつも苦労するんですよね。
そのときになって初めて他の人たちは気づくんです。
このドラマは何を言いたいの?って。

それが踊るの場合、この回を境に明確になって、最終話まで盛り上がっていくんです。

素晴らしかったセリフ

2回も容疑者を取り逃がした青島。
捜査一課の刑事たちから責められる。
青島「……女の子が殴られてたんだ。それを黙って見てろって言うんですか、あんたたちは」
捜査一課刑事「容疑者を逃しておいて何を言ってるんだ!」

「……事件にでかいとか小さいとかあるんですか? 目の前で苦しんでる人がいても、でかい事件のためには無視しろって言うんですか?」