サスペンス

「踊る大捜査線」第2話 ネタバレ感想 | 1997年・冬ドラマ

踊る大捜査線

ドラマ放送後、ツイッターやなんかを見ると様々な感想が述べられている。
刑事モノは各話違う脚本家が書くことが多いので、その物語がつまらないと脚本家がやり玉にあがる。
もちろん質の悪い脚本家はいるが、少し気の毒に感じてしまう。
なぜなら脚本は、脚本家が一人で黙々と書いているわけではないからだ。

多くは、脚本作りがどう行われているのか知らない。
驚くことに、撮影スタッフや役者ですら知らないことがある。

脚本は、プロデューサーと脚本家がホン打ちと呼ばれる会議で決めていく。
そこに監督はいない。監督が参加するのは、ほとんど脚本が仕上がった後だ。
だからテレビドラマは、プロデューサーのものとよくいわれる。

もちろん会議の仕切りは、プロデューサーだ。
舵を切る役目なので間違えれば、みんな間違ってしまう。
もちろん止めることもできるが、発注者と受注者の関係ではどちらに決定権があるかわかるだろう。

踊る大捜査線のプロデューサーは亀山千広氏と東海林秀文氏だ。
脚本家の君塚氏はいう。
「サラリーマンもの」として踊るが評価されたのは、亀山さんの脚本ミーティングのリードの仕方がうまかったからだ、と。
そのおかげで、ブレずに脚本家は完走ができたらしい。
いいドラマには名プロデューサーが付き物だということをお知らせしたい。
ツイッターで書き込む際は、ぜひプロデューサーにも言及してほしいものだ。

「踊る大捜査線」第2話の感想と脚本を分析していきます。

「踊る大捜査線」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

青島俊作――織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係、巡査部長。脱サラ刑事。
コンピュータ会社の営業マンから警察官へ転職。練馬署地域課勤務を経て、湾岸署刑事課に勤務…

恩田すみれ――深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係、巡査部長。
警視庁総務部婦人留置係から湾岸署盗犯係へ…

室井慎次――柳葉敏郎
警視庁刑事部捜査一課管理官、警視。
担当管理官として湾岸署にやってくる…

和久平八郎――いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係、巡査長。
八王子署刑事課勤務の際、同僚が目の前で殺害される過去がある。定年間近の刑事…

真下正義――ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係、警部補。
東大卒のキャリア組。湾岸署に研修として配置。警部の昇任試験の勉強中…

柏木雪乃――水野美紀
一般市民。日本帰国直後、父親が殺害される…

神田――北村総一朗
湾岸署署長、警視正。

秋山――斉藤暁
湾岸署副署長、警視。

袴田健吾――小野武彦
湾岸署刑事課課長、警部。

魚住二郎――佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長代理、警部補。

中西――小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長、警部補。

第2話あらすじ(ネタバレあり)

朝、青島は湾岸署に着くやいなや変な電話を受ける。
袴田課長に相談すると、「警察にまともな電話がかかってきたことあるか」とあしらわれる。
そこへ大きな段ボール箱が届く。和久宛だった。

青島が刑事課へ行くと、おばちゃんに腕を捕まれてつれていかれる。
彼女は保険のおばちゃんで強引に保険に入れられそうになった。
「災難は突然やってきます。起きた時に慌ててももう遅い!」
困っていると和久が来て、事件現場へ連れていかれる。

現場では長髪の男が泣いていた。恋人に髪を切られたからだ。
男が被害届を出すということで、女を署に連行する。和久はくだらない事件に呆れた。
青島が女の取り調べを始めた。背後にすみれがいて、取り調べのやり方で何度も注意を受ける。
「あんた、この人いないと何もできないの?」と女。
青島は「そんなことないっすよ!」と怒る。
結局男が告訴を取り下げて終える。不完全燃焼の青島……

警視庁捜査一課の室井と島津一課長が現れる。和久に話があるという。
以前、和久が取り調べた山部良和という男が、違法な取り調べを受けたと言っている。
室井は、逆恨みされる可能性を伝えた。

青島は室井を警視庁へ送った後、雪乃がいる病院へ向かった。
彼女は失声症で話せない。
医師は、事件のショックの他に、彼女は死んだお父さんに何か大きな秘密を隠していて、それを告白できないまま永遠の別れとなったので失声症になったと話す。
青島は彼女の力になりたいと思うが、どうするべきかと考える。

湾岸署刑事課では、大きな段ボールに皆が興味津々。
課長から和久宛で、健康チェアとある。腰痛持ちの和久を気遣ってくれたのか。
段ボールから健康チェアを出して、和久が座った。
いい椅子なのだが、尻の下がなぜか固い。
魚住係長代理が椅子の下から出ている紐を引っ張る。紐の先に金属の輪っかがついている。
「?」

そこへ袴田課長が来た。礼を言う和久だったが、
「どうしてわたしが和久さんのために椅子を買う必要あんだ?」と椅子を送ってないという。
魚住係長代理は、紐の先の輪っかを見て、「手榴弾の安全ピンみたいだ」と話す。
青島が嫌な予感がして椅子の下を覗くと、爆弾が仕掛けられていた。
「!!」

立とうとする和久を押さえつける青島。青ざめている…
「和久さんのお尻が安全レバーを押さえています。立ったら、レバーが離れます。そうすると、撃鉄のロックが外れて、爆発します」
一同、しんとなった後、一斉に部屋から逃げ出した。
和久は青島の手を掴んで逃さなかった。
すみれは一人慌てず、爆発物処理班を呼んだ。

そこへ電話がかかる。室井からだ。
警官殺しで取調べ中の山部良和が和久宛に爆弾を仕掛けた椅子を送った。座るなというが、もう座っていると伝える青島。
安全ピンを抜かなければ大丈夫というが、もう抜いてしまった。
抜いても立ち上がらなければ大丈夫だ、ということでじっとする和久。

真下が安全ピンをもとに戻せばいいんじゃないかと青島にアドバイスする。
青島は安全ピンを戻そうとするが、ワイヤーが邪魔で触れてしまう。
そこへ室井から「ワイヤーにさわるな」と伝言が入る。
青島もその場を一歩も動けなくなってしまった。

すみれはまだ部屋に残っていた。
青島と7時に食事に行く予定だったので、7時半に変更を願う。
そこへ交通課の女の子から青島に電話。飲み会に早く来てとの電話をすみれに聞かれ、苦笑いの青島…

和久は、山部良和と話したいと言った。謝罪をするという。
山部は謝ってくれたら、爆弾の処理方法を教えると約束する。
そして和久がヘッドセットをつけて話した。
「この変態野郎! 死んじまえ! てめえに誰が謝るか!」
慌てて青島が「ジョークでーす」というがもう遅い…

すみれが8時に予約を変更する。
和久は「キャンセルしろ!」と怒鳴るが、すみれは「今日絶対行く」と譲らない。
すると「今日は火曜日か…」と漏らす和久。青島は「?」だった。

爆弾処理班はレインボーブリッジの渋滞に巻き込まれてこない。
そこへ保険のおばちゃんがやってきて加入しなさいというが、連れ戻される。
「なんなんだ、この署は…」
もう和久の腰は限界だ。「おれは立つぞー」と声を上げた時、処理班が到着した。
そして無事、爆弾は取り除かれた。

青島はすみれのことが気になっていた。
「今日絶対行く」と彼女は頑なだった。「今日は火曜日か…」と和久もあとで納得していた。何かあるのか…?
キャンセルしたと言ったが、手を引っ張って連れて行く青島。
しかし店はもう閉まっていた。
火曜はひとりでいたくないというすみれ。
その理由を聞こうとしていると、青島のポケベルが鳴った。
署に戻ることになり、すみれは諦めて一人で去っていった。

感想とシナリオ分析

この話を、2話に持ってくるところがすごいと思いました。
警察モノで、コンビの掛け合いでコメディ感を出すことはできます。
しかしこの回は、掛け合いも面白くて、ストーリーにコメディを織り込んでいる。
これはなかなか勇気がいることです。

例えば、ある程度視聴者がついてきて、6、7話あたりで、変わり種の話を持ってくることはあります。
もし2話でこの爆弾椅子をやると、真面目に警察モノを見にきた視聴者が逃げてしまいかねない。
役者やスタッフもドラマの色がなんなのか戸惑うので避けるんですが、あえてやった勇気がやっぱりすごいなと感心した。
だって、爆弾椅子というシチュエーション、警察官が逃げ惑う様子なんかコントですよ笑
でも終わってみると、コントじゃなくて、しっかりドラマになっていました。

それは、うまくコメディをやりながら、キャラクターの変化の兆しを見せたからだと思います。

爆弾椅子をきっかけにわかったことがあります。
すみれは、火曜日を恐れている。まだ解決できていない何かがある。
和久は定年間近、穏便に過ごせば定年を迎えられるのに、命と引き換えにしても、警官殺しだけは許せないという思いがある。
それぞれ何かを抱えている。
青島が来るまでほとんどそのことについて諦めかけていたが、彼に刺激され、彼を巻き込んでキャラクターたちは変化しようとしている。解決したいと思っている。
その葛藤を感じたからドラマになりました。

ドラマは、変化と葛藤です。
その兆しをしっかり提示できたので、コントになりそうな話がドラマになった。
とてもバランスの良いシナリオで、コメディの傑作だと思いました!

素晴らしかったセリフ

爆弾椅子に座る和久が青島にどうして逃げなかったのかと問うと、
「悪党の思うままになるのはいやです」と答える。
「怖くないのか?」
「怖いです。でも、正義を楯にしてますから」
すると和久が言った。

「正義なんて言葉、死ぬまで口に出すな。心に秘めておけ」

そしてこういうふうに刑事は犯人に恨まれる。

「だからって、犯人を恨むなよ。刑事が犯人を恨んではいけない。この仕事は憎しみ合いじゃない。助け合いなんだ」