サスペンス

「踊る大捜査線」最終話 ネタバレ感想 | 1997年・冬ドラマ

踊る大捜査線

前回、真下が撃たれた。
警官殺しの情報を室井に入れていたにもかかわらず、所轄の意見は本庁に無視された。
憤る青島ら湾岸署署員たち。
そして上を説得できなかった室井は同じ過ちは繰り返さないと固い決意で捜査にのぞむ。

「踊る大捜査線」最終話の感想と脚本を分析していきます。

「踊る大捜査線」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

青島俊作――織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係、巡査部長。脱サラ刑事。
コンピュータ会社の営業マンから警察官へ転職。練馬署地域課勤務を経て、湾岸署刑事課に勤務…

恩田すみれ――深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係、巡査部長。
警視庁総務部婦人留置係から湾岸署盗犯係へ…

室井慎次――柳葉敏郎
警視庁刑事部捜査一課管理官、警視。
担当管理官として湾岸署にやってくる…

和久平八郎――いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係、巡査長。
八王子署刑事課勤務の際、同僚が目の前で殺害される過去がある。定年間近の刑事…

真下正義――ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係、警部補。
東大卒のキャリア組。湾岸署に研修として配置。警部の昇任試験の勉強中…

柏木雪乃――水野美紀
一般市民。日本帰国直後、父親が殺害される…

神田――北村総一朗
湾岸署署長、警視正。

秋山――斉藤暁
湾岸署副署長、警視。

袴田健吾――小野武彦
湾岸署刑事課課長、警部。

魚住二郎――佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長代理、警部補。

中西――小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長、警部補。

最終話あらすじ(ネタバレあり)

室井管理官の下、湾岸署で捜査会議が始まる。
容疑者、安西昭次、27歳。
真下の意識はまだ戻らない。

「体が痛い……切られたみたい……家族失ったみたいで……」とすみれ。
魚住ら全員が沈んでいる。
青島はパソコンを立ち上げる。真下が個人で運営しているホームページ。
そこにたくさんの応援メッセージが届いていた。

袴田課長が戻り、捜査の割り振りを告げる。
和久らは本庁捜査員と聞き込み。すみれは室井のサポート。
そして青島は捜査できず、監察官の調査を受けることになった。

監察官は、青島と違法カジノオーナーとの癒着を責め立てる。
服務規程違反を問われる青島。
「今そんなこと言ってる場合ですか!」とカッとなった。

室井のサポートに付いたすみれ。
監察官に見張られていることに気づく。
「わたしの発言が上で問題になっている。本庁と所轄の縦割り構造を廃止すべきだといった。君らと仕事をして、そう思ったからだ」
すみれは、室井を見直した。

青島がパソコンを眺めている。真下のホームページに続々と容疑者の目撃情報が寄せられていた。
すぐに室井に報告する。

青島はすみれを連れ立って、目撃情報の場所へ向かう。
そこは風俗街。店内へ入っていく。
情報を寄せた店員に話を聞く。安西は昨日やってきて、婦人警察官にいじめられるプレイを楽しんだ。
そこへ安西が客として現れた。
「!!」
刑事とわかるやいなや、唐突に発砲!

間一髪、青島とすみれは逃れる。
青島はすぐに安西を追いかけた。
だが、また容赦なく発砲!
青島も安西に向かって発砲するが、安西は不気味に笑って逃走。
青島は見失う。

その夜、病院へやってくる和久。
真下の意識は戻らない。雪乃が婦人警察官に合格したと報告。
泣き出す雪乃を励ましていると、看護師がやってくる。
真下の意識が戻った。
和久が手を握ると、すぐに手を離し、雪乃の手を探して握る。
「(見て)……もう大丈夫だ」とムスッとする和久だった。

青島は監察官に再び呼び出された。
「どうして天井に向かって威嚇射撃を行わなかった?」
「相手が撃ってきたんです!」と青島。
「日本の警察官は、たとえ撃たれても撃ってはいかんのだ」
室井は後ろで黙って聞いている。すると、青島を処分しろと迫られる。
納得がいかない湾岸署署員たち。
室井は青島を庇うのかと思ったが違った。
「今回は青島刑事ひとりのミスだと思います。彼を処分します」
一同、室井をにらみつける。
「あんたには頭が下がるわ」とすみれ。
室井は青島の腕を掴んで連れ出した。

抵抗する青島を、強引に引っ張る室井。
「言うことを聞け!」
「なんすか!」
激しい剣幕の二人。通りかかった湾岸署の刑事が息を呑む。
「この事件は俺がやると言ったろ」
「……」
「上の者には何も言わせないと」
青島は、監察官たちを騙すために室井が芝居を打ったのだと気づく。
「わたしも足で捜査する。特捜本部など、くそくらえだ!」
息を呑んでいた刑事は踵を返す。
そして覆面車を用意し、青島と室井を捜査へと見送った。

それを知った署長、副署長、袴田課長は、監察官らをもてなして時間稼ぎ。
だが青島と室井がいないことに気づいて、監察官らは慌てる。
「二人を止めろ!」
それでも署長たちはヘラヘラと笑いながら、監察官らを行かせない。
「いやあ、うちの刑事には本当手を焼きます」と袴田課長。
「出来そこないばかりで」と副署長は苦笑い。
「……しかし、うちの可愛い刑事でして……出来そこないでもね……命はってんだ!」と署長。
三人は、辞表を差し出した。
「わたしたちの首をお預けします。やらせてやっちゃくれませんかね?」
熱いものがこみ上げる湾岸署署員たちだった。

その頃、東京拘置所に来ていた青島と室井。
規則違反だが、小芝居を打ちながら山部という容疑者と接見することに成功。
安西容疑者について情報を求めた。
そして西麻布のあるバーで武器の取引が毎週水曜日に行われていることがわかった。
水曜は今夜だった。

安西を待ちながら、青島は室井に聞いた。
室井も処分されるのではないか。
処分は覚悟の上だと話す。
しかし警察の機構を変えるためには絶対上に行かなければならないはず。
「そう決めてた……捜査から政治を排除して、本庁と所轄の枠を取り払って、捜査員全員が正しいと信じたことをできるようにしたかった。自分が正しいと思えなければ、命をはってなんか働けないだろ」
それを聞いて、青島は以前和久が話していたことに気づく。
「そうか……何か変えることは外からじゃできないんだ。中にいる人間がしなくちゃいけない」
だから和久は、正しいことをしたければ偉くなれって……。
「室井さん辞めたらダメだ!」と青島。
「……負けだ」と室井。

と、安西が現れた。
動く青島と室井。
安西は青島に気づく。そしてポケットに手を入れた瞬間――
「確保!」
一斉にその場の客が銃を安西に向けた。

安西を連行して、湾岸署に戻る青島と室井。
真下を撃ったことを認めたが、6年前の警官殺しを否定する。
和久が取り調べすることになった。

黙秘する安西に、和久は青島について語りだす。
「……あいつは正義が何かよくわかってねえ。だがな……ここ(胸)に信念持ってやがる」
「……」
「おれ、あいつと付き合って、最近わかったんだ。あいつにはどうも、自分だけの法律があるらしい……心の法律みたいなもんだな。上の者が決めた法律は破るんだが、自分の心にある法律は絶対に破れないらしい。そういうやつなんだ、あいつは」
安西には響かない。
「安西さんよ、おれは今日で定年だ。あんたを取り調べる時間はなくなった。(魚住に)青島を呼んでくれ」
青島が来る。取り調べを代われという。
「あとは頼んだよ」と老刑事は去っていった。
「覚悟しとけよ」と青島。
「あんたみたいな刑事まだいたのか。知ってたら、日本に帰ってこなかったな」と安西。

そして一週間後、青島と室井の査問委員会が開かれる。
青島は湾岸署刑事課を離れ、室井は訓告という軽い処分だった。
室井は処分が平等ではないと納得できず反論。だが青島が止める。
「足手まといで困りました。あんたに現場は務まらない! 上にいりゃいいんだ!」
「そんな言い方はやめろ!」
「あんたは上にいろ!」
「……」
「俺には俺の仕事がある。あんたにはあんたの仕事がある……」
青島は謹んで処分を受けた。

青島は室井に言った。
「現場の刑事はあなたに期待してます。お願いします」
「わかった」
「……俺は一からやり直せますから」
「今度うちに遊びに来い。きりたんぽでも食おう」
青島は室井に微笑み、敬礼して去っていった。

数日後。雪乃は婦人警察官になった。
警察学校で働くことになった和久は、雪乃に敬礼の仕方を教えた。
真下が刑事課に戻ってくる。だが青島がいないことに気づく。
「やってるよ。警官」とすみれ。
青島は交番勤務になり、また一からスタートした。

感想とシナリオ分析

ヒーロー像はそれぞれの国で違うといわれる。
たとえばアメリカ。
アメリカでヒーローになるのは、実はお金持ちが多い。
マーベルのヒーローたちを思い浮かべてほしい。バットマンやアイアンマンなどだ。彼らは金持ちだ。

一方、日本でヒーローになるのは公務員。
刑事はもちろん、ウルトラマンも公務員だ。
世界を見渡しても、公務員をこれほど信じている国は珍しい。だいたいが腐敗しているからだ。
逆に日本人は、お金持ちを毛嫌いする。ヒーロー像には似つかわしくない。

ドラマの影響もあるが、なんとなく日本人は青島のような刑事がいることを信じている。
和久がいうように、自分の心にある法律は絶対に破らず、被害者に心を寄せ、ひたむきに被疑者を追う。
そんな姿を刑事に望む。
警察官になるような人は、そういう信念をもってなったと疑わない。

ドラマの最初の頃は信念を失い、なあなあで仕事をしていた湾岸署署員たちは、青島の登場で変わっていく。
室井は青島と同じ信念の持ち主だったが、理想ばかりで地に足がついていなかった。
だが青島と付き合い、地に足をつけて具体的に動き出そうした。彼も変化し、成長した。

しかし組織の壁は厚い。
青島は振り出しに戻された。
それでも希望は残した。それが室井だった。
「俺には俺の仕事がある。あんたにはあんたの仕事がある」
つないだ信念がある限り、警察は大丈夫だというのがこの回のテーマになっていた。
和久から青島、青島から室井へ。
そして青島は腐らず、一から再び動き出す。
というところで終わったのは、最高の最終回だったと思います。

素晴らしかったセリフ

和久は定年を迎えた。心のしこりだった警官殺しの容疑者を前に、今後の取り調べは青島に任せるという。

「これでやっと退職できる。もう思い残すことはねえぞ。俺が辞めても、こいつがいる限り、警察は死なねえぞ」

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