サスペンス

「踊る大捜査線」第10話 ネタバレ感想 | 1997年・冬ドラマ

踊る大捜査線

踊るは、今でもコントやパロディに利用されるほど名台詞の宝庫です。

ドラマで名台詞が生まれる理由は、実は明確なんです。
セリフは、構成がベースになって生まれます。
ゆえに、構成がダメなら、同じようなドラマで同じセリフを吐いても名台詞にならないんです。
では、構成がなぜダメなのかというと、ドラマの構造がダメだからです。
構造とは、キャラクター同士の対立が弱く、葛藤を描きにくいものになっているということ。
つまり、構造がダメということは、ドラマになっていないということなんです。
シナリオスクールに行くとまず教わること。
ドラマは、葛藤と対立。
これを理解していないと、作劇は絶対に成功しません。

踊るは、構造が素晴らしく、構成も良いから、名台詞が生まれたんです。

「踊る大捜査線」第10話の感想と脚本を分析していきます。

「踊る大捜査線」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

青島俊作――織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係、巡査部長。脱サラ刑事。
コンピュータ会社の営業マンから警察官へ転職。練馬署地域課勤務を経て、湾岸署刑事課に勤務…

恩田すみれ――深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係、巡査部長。
警視庁総務部婦人留置係から湾岸署盗犯係へ…

室井慎次――柳葉敏郎
警視庁刑事部捜査一課管理官、警視。
担当管理官として湾岸署にやってくる…

和久平八郎――いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係、巡査長。
八王子署刑事課勤務の際、同僚が目の前で殺害される過去がある。定年間近の刑事…

真下正義――ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係、警部補。
東大卒のキャリア組。湾岸署に研修として配置。警部の昇任試験の勉強中…

柏木雪乃――水野美紀
一般市民。日本帰国直後、父親が殺害される…

神田――北村総一朗
湾岸署署長、警視正。

秋山――斉藤暁
湾岸署副署長、警視。

袴田健吾――小野武彦
湾岸署刑事課課長、警部。

魚住二郎――佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長代理、警部補。

中西――小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長、警部補。

第10話あらすじ(ネタバレあり)

青島に、もぐらから電話。もぐらは、裏社会に精通している男。
和久には内緒の話があるという。
和久の同僚が殺された、八王子の警官殺しの犯人について情報がある。
「あんたと取引がしたい」

その夜、真下が警部に昇進し、お祝いをする。
青島はいない。もぐらと会っていた。
「自分は警官殺しだという男がいる」
そいつはトシと名乗った。6年ぶりに日本に帰国した。
「事件は6年前だ……」と青島。「居場所は?」
もぐらは、取引を申し出る。傷害で指名手配の仲間がいる。タイへ逃してほしい。
和久はそういう取引には応じないので頼んだ。青島は迷う。

そして湾岸署に戻ると、真下と会う。
明日、雪乃の婦警採用試験があると聞き、青島はお守りを渡しておいてと真下に託す。
「了解……先輩からの頼まれ仕事これが最後かもしれません」と意味深なことをいう真下。

刑事課に行くと、和久がいた。
定年まであと一週間。その後どうするのか尋ねると、古い捜査資料を出した。
警官殺しの犯人を逮捕するまで刑事を辞めないと約束したがかなわない。遺族に謝罪に行くと話す。
そして人事考課表を見せた。そこには殉職刑事のたった三行で終わる経歴が書かれている。
「こいつは、たった三行の人生だったんだ……」

青島は和久にもぐらから聞いた話をした。
取引には応じるなと叱る。
「その男は俺が探す」と、厳しい目をして和久は出ていった。

翌朝、雪乃は婦人警察官採用試験にのぞむ。
真下が見送り、青島から受け取ったお守りを渡す。

和久は徹夜で捜査したが、手がかりはなし。
青島が報告書を作成していて、本庁に掛け合う。室井に直談判した。

だが本庁は報告書を信憑性がないものとした。
室井がお偉方に抗議するが、むしろ違法カジノのオーナーと青島の癒着が問題だとすり替えられる。
「警察を支えているのは、現場の刑事たちです」と室井。
「きみは制度を作る側の人間だ。ならば、守りたまえ」
それでも受け入れない様子を見て、お偉方は室井に栄転を約束。それでおとなしくしろということのようだ。
室井はショックを受けるが、従うほかなかった。

そして袴田課長経由で、捜査一課は動かないと報告を受けた青島と和久。
和久は諦めて捜査へ。ついていく魚住係長。
「……」の青島。もぐらのところへ向かった。

取引に応じるのだと考え、住所を記したメモを渡すもぐら。
しかし青島は寸前で、「俺は誰とも取引しない」とメモを突き返す。
「警官殺しの犯人と傷害の犯人とどっちが大切なんです?」
「事件に大きいも小さいもない」
青島は取引せずに去っていった。

肩を落として、湾岸署に戻る青島。
だがタレコミがあり、和久がトシという男を任意で引っ張ったという。
タレコミしたのは、もぐら。
『あなたの後輩は正しい。が、退屈だ。和久さん、あなたにそっくりだ』

トシは黙秘するが、和久と青島の攻撃にだんだん震えだす。
そして、警官殺しの話は、友達のことだと言い出す。
自分にはアリバイがある。警官殺しっていうのはかっこいいから真似しただけ。
「その男の名前は?」
「安西……右の頬に傷がある」
青島がすぐに調べようとすると、トシは震えながら、
「チャカ持ってるぞ。危ないやつなんだ……」

試験が終わり、一緒に帰る雪乃と真下。
タクシー待ちをしていると、電話ボックスを蹴って壊して暴れる男を見つける。右頬に傷がある。
「注意してきます」と真下。
雪乃は心配して引き止めると、真下は「最後の現場だから」と言い残して向かった。
なんとかやめさせて、立ち去ろうとする男に警察手帳を見せると、躊躇なく、発砲!

男は何事もなかったかのようにその場を立ち去る。
雪乃は何が起きたのかわからない。
遅れて、真下が膝から崩れた。雪乃は驚いて走って向かう。
その時に、男の右頬に傷があるのを確認。真下に駆け寄ると、腹部が真っ赤に染まっていた。

すみれが電話を受ける。
「真下くんが撃たれた」
一同、驚愕の表情。
放送で、拳銃発砲事件発生とのアナウンスが流れる。
青島は飛び出して行く。和久たちも続いて飛び出した。

現場は騒然。撃たれた真下は重体。
和久が付き添い、救急車に乗り込む。
茫然自失の雪乃に、青島は問い詰めた。「撃った奴見た?」
「……頬に傷ありました」
和久は悔しそうに目を閉じた。
救急車で運ばれる真下に、お守りを握らせる雪乃。

機捜の捜査に加わる青島。
撃った弾丸を地べたに這いつくばって探す。
すると強い雨が降り出した。

真下の緊急手術が始まる。危険な状態だ。
雪乃がそばにいてあげてくださいというが、和久は捜査へ向かった。
「被疑者を逮捕するのが俺たちの仕事だ」

すみれたちは雨に打たれながら、検問と弾丸探し。
ずぶ濡れの青島は署に戻って、防弾チョッキと拳銃を携帯していると、室井がやってくる。
「真下警部は?」
「……重体です……」と睨みつける。
「わたしが全面的に指揮を執る。上の者にはもう何も言わせない」
「……」
青島は走って捜査へ向かった。

感想とシナリオ分析

刑事ドラマは最終回に向かって、仲間の誰かが殉職する。
これ、よく見るパターンですよね。いわゆる、あるあるってやつです。
どうせ助かるんでしょ? 殉職しても、バラバラだった仲間が結束してかたきを討つ感じでしょ?
視聴者も作り手も、どんな結末になるのかだいたい想像ができます。
みんなわかっているのに、昨今の刑事ドラマでもまだやっちゃう。
なぜなら、この殉職(危機)パターンは刑事もので盛り上がるんです。必ず。

なぜ盛り上がるのかというと、みんなが期待しているからです。
刑事ものはいわゆるジャンルドラマ。国内ドラマでは、刑事ものが1番の人気ジャンルです。
ジャンルにはそれぞれ盛り上がる型があり、型通りの展開はベタだけど、やっぱり盛り上がるんです。
恋愛ものも結局王道が盛り上がると同じ考え。

踊るは、刑事もののお約束をなるだけ避けてきましたが、やっぱり今回の真下撃たれるに落ち着いたそうです。そしてそれは正解だったと語ってます。
私もそう思います。たいへん盛り上がった。
なんといっても、ラストのシーン。仲間が撃たれて悔しい中、犯人捜索へ向かうのではなく、雨の中の検問や弾丸探しのシーンは本当に素晴らしかったです。所轄のリアルを最後まで徹底して描き、かえって斬新に見えました。

素晴らしかったセリフ

もぐらと取引に応じるのかと思ったが、青島は断った。
以前、和久に言われた「正しいことをしたければ偉くなれ」がまだどういう意味かわからない。偉くならなくても正しいことはできる気がする。

「遠回りになっても……自分を信じてれば、正しいことはできる……それが空き地署で教わったことだ」

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