ラブストーリー

「恋ノチカラ」第2話 ネタバレ感想 | 2002年・冬ドラマ

恋ノチカラ

恋ノチカラは、当時大ヒットドラマというわけではありませんでした。
でも再放送などを繰り返し、とても評価の高いドラマです。
再評価される要因はやはり本宮籐子のキャラクターでしょう。

彼女と同じように30歳前後で女性は壁にぶち当たって悩むし、30代でなくても40や50になっても人は仕事のやりがいについて悩む。
そして酒を飲んで、辛い日常を忘れたい、気だるい疲れを吹き飛ばしたいと安易な方法をとってしまう。
人間は皆、弱くて自分にあまい生き物。
そんな日常の等身大キャラを籐子に凝縮させている。
だから共感が得やすい。これを脚本術では、共通性という。

視聴者がキャラに共通性を見出すと話に乗れる。
さらにもう一つキャラクターに必要なのが、憧れ性だ。

1話で籐子の日常を見せて、共通性を感じた。
だが籐子に憧れはいだけない。2話でどんな一面を視聴者に見せ、さらに感情移入させるか見ていきましょう。

「恋ノチカラ」第2話の感想と脚本を分析していきます。

「恋ノチカラ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

本宮籐子(30)――深津絵里
零細の「貫井企画」に勤める独身OL。
引き抜かれたはずが人違いで一度は貫井企画を辞めようとしたが、戻ってきた。
だがかつての会社の妨害にあい、貫井企画の資金はショート寸前。なんとか生活のため会社にしがみついているが…

貫井功太郎(35)――堤真一
壮吾と新会社「貫井企画」を設立した人気クリエイター。
だが次々とかつての会社の妨害にあい、仕事も自信も失う。
そんな時、大手の製薬会社の娘、春菜と出会い…

木村壮吾(25)――坂口憲二
憧れていた貫井に誘われ、共同で貫井企画を立ち上げる。
お調子者で女好きだが、仕事に対する姿勢は真面目で、実力もある。
貫井企画に仕事が来るようにあの手この手で営業をかける。

倉持春菜(23)――矢田亜希子
籐子が昔、兄・勇祐と付き合っていた縁で、籐子とルームシェアをしている。
お嬢様育ちであるが、昼は銀行で働き、夜は図書館の司書になるため勉強している。

吉武宣夫(40)――西村雅彦
ユニバーサル広告社営業部勤務。
クリエイターに敵対心があり、「貫井企画」の営業を妨害しようと企てるが…

寺石香里(28)――久我陽子
壮吾同じ金沢出身で、彼が高校時代のアルバイト先で、一目ぼれした女性。
既婚者だが、壮吾と度々連絡を取り合う仲で…

須田真季(30)――猫背椿
籐子の飲み友達で、ユニバーサル広告社の元同僚。

第2話あらすじ(ネタバレあり)

休日、学生時代の友達とランチする籐子。
だが会話は子育て中心。一人だけ独身の籐子は話に加わらずひたすら食べている。
籐子は過去にプロポーズされていた。友達からは仕事に生きる人間なのだと思われているが…

信頼していた吉武に裏切られていたと知った貫井。
「どうして?」
「簡単だよ。俺はお前みたいな奴が大嫌いなんだ」とはっきり言われた。
大企業に仕事を妨害され、八方塞がりの貫井企画…

籐子は小さい仕事からやろうと励ますが、貫井は怒って出ていってしまう。
壮吾は間に挟まれながらも、籐子が請け負った楠木文具へ挨拶へ行く。
貫井は再び営業を試みるが、かつての営業先に邪険に扱われる。

壮吾は籐子に、貫井は悪い人じゃない。彼に憧れてこの世界に入ったと話す。
「だから(貫井が)こんなことで負けてほしくない」
籐子はお給料がもらえればいいと言うだけだった。

帰宅すると、仕事を終え、図書館司書の勉強をしている春菜の部屋へ行く。
籐子は根詰めないで、デートとかしたほうがいいとアドバイス。
「余裕かましていられるうちはいいけど、あっという間に30歳になっちゃうよ。30になって友達がみんな結婚して一人だけ独身だと寂しいよ〜」とおどかす。

日替わり。
貫井に、広小路製薬の宣伝部長の娘と知り合いになれそうと伝える壮吾。
それが何なの?と訳がわからない貫井。
広小路製薬の広告はその部長が仕切っている。壮吾は、その娘に口利きしてもらおうという作戦。
貫井はバカバカしいと断る。
すると籐子が、貫井宛に届いたワイン会社のパーティーの招待状を渡す。
パーティーは苦手だからと断る貫井。壮吾は怒り顔。

結局パーティーには籐子が行くことになった。
そこで吉武に見つかり、声をかけられた。
「あの……どうして貫井さんを邪魔したりするんですか。吉武さんを信頼していたのに」と籐子。
「自分の都合で仕事をやめたくせに、元いた会社に頼ろうとするなんて甘いんだよ」と吉武は怒る。

貫井はまだ粘って営業していた。プライドを捨て、大幅値下げで制作を応じると伝えると、かつて貫井に惚れ込んでいた担当者は「そんな君を見たくない」と立ち去った。
翌朝、壮吾が出社しない。
貫井も席についたままボーッとしている。
肩を落とす彼を、籐子はただ見守るしかできない。

壮吾は金沢にいた。大雪で帰れない。
夜、広小路製薬の宣伝部長の娘と会う約束があるから代わりに貫井に行ってほしいと伝えた。
女が苦手な貫井は「絶対ムリ」というが、籐子は行けばいいと喧嘩になる。
壮吾は彼なりに新しい仕事を得ようと努力している。
「結局貫井さんがやってることって、前の会社にいた時のコネにしがみついてるだけですよ。ちょっとくらい彼に協力してあげてもいいじゃないですか」
貫井は黙り込み、すっと立ち上がると、「何を着ていけばいい!」と怒鳴る。
籐子の言葉で、貫井は行くことを決めた。

緊張した面持ちで店に行くと、金髪のギャルが待っていた。
まったく話が弾まないでいると、もう一人清楚な女性が現れた。
それが宣伝部長の娘で、春菜だった。

その頃、籐子は彼女の席から真正面にある貫井の空席を見つめていた。
貫井のネクタイを締めてやる時に接近しドキドキした。恋心かと思うが慌てて打ち消す。
一方、金沢にいる壮吾は人妻の香里と会っていた。

貫井は春菜と二人で食事することになった。壮吾狙いだった金髪ギャルが帰ったからだ。
食事を終え、春菜を車で送ろうとすると、鍵を挿したままインロックしていることに気づく。
鍵屋を待つ間、二人はファミレスへ行く。
他愛ない話で盛り上がる二人。真面目で素朴な春菜に貫井も特別な感情を覚える。
とても営業をかけられる状況にならなかった。

貫井からもらった花束を抱えて、ご機嫌で帰宅した春菜。
デートした男性が感じのいい人で、とテンション高く、籐子に話していると、ワインボトルを抱えて憎らしい顔で見ている真季が…
「男に花をもらえるなんてせいぜい4、5年よ!」と暴れる。

翌日、壮吾が帰ってきて、広小路製薬の仕事につながるのか尋ねたが、貫井はその娘(春菜)と電話番号さえ交わしていなかった。
そして、楠木文具の求人広告が雑誌に掲載された。貫井企画初の成果。
貫井はそれを初めて目にし、「悪くない」と言った。
喜ぶ壮吾と籐子。すると貫井がパンフレット作りという小さな仕事を引き受けた。

三人は夜、飲み屋に行ってお祝いをする。
そこへ春菜から籐子に電話がかかり、合流することになった。
貫井と春菜は「!」
運命を感じる春菜。籐子は知らず、絶句する。
春菜に気遣い、優しい貫井。
その様子を眺めながら、ひたすら飲み続ける籐子だった。

感想とシナリオ分析

「悪いこと言わないからさっさと結婚しときなさい」
30歳の籐子が、仕事に勉強にがんばってデートする暇がない20代の春菜に伝えるセリフ。
冗談のように言っているが、切実だ。

独身から見ると、家族という一つのカタチは、ちゃんと築いた証拠になる。生きた証とでもいうか。
30過ぎて独身で、仕事と家の往復はやはり寂しい。何かを築いた感じがしない。20代の延長線上で成長がないように感じてしまう。
籐子もそんな漠然とした不安を感じているのがわかる。
春菜に伝えていながら、過去の自分に後悔しているようなセリフだった。

しかし後悔や寂しい思い、不安でいるからこそ、もがいて、うまくいかない人の気持ちに寄り添える。
実力があるのに、妨害や裏切りという理不尽な理由で、前に進めない貫井の現状を籐子も同じように悔しく思う。
貫井に刺々しい物言いをされても、彼の必死さがわかるから許せてしまう。

共感力を発揮する一方、物事を客観的に見られる。
これが彼女の才能だ。
今までのやり方を押し通そうとする貫井に、彼女は時折目の醒めるような言葉を浴びせる。
そして貫井の重い腰を上げさせる。

世の中には、人を動かせる人がいる。
その動かす対象が、たった一人の男性であっても素敵だと思う。
岡本太郎のパートナーだった、岡本敏子がそうだ。
彼女は生前テレビで語っていたことがある。
「男の子が元気じゃないと、女の子はつまらない。男の子が何かやりたそうにしていたら、女の子はけしかけてあげなさい。あらいいわね!と言ってあげれば男の子はどれほど元気になるか。そうしたら女の子はずっともっと楽しくなる。けしかけて、けしかけて、男の子をもっともっと男の子にするんですよ。楽しいよ。両方ともよくなるんだから」

籐子と貫井の関係を感じないだろうか。
当時は、籐子のような女性に女性が憧れたと思う。

素晴らしかったセリフ

大企業という後ろ盾がある狭い世界で生きている吉武。
一方、自分の才能を信じて狭い世界から飛び出した貫井。
吉武の嫉妬と本音が出たセリフ。

「あいつは現実の厳しさを知るべきなんだ。世の中には、踏みつけにされたり、自分を殺したり、夢を奪われたりしている人間が山ほどいる。やりたいことだけをやって生きていこうなんて、この世界に許されていいわけないんだ!」

まずは無料でお試し!【FODプレミアム】