ラブストーリー

「恋ノチカラ」最終話 ネタバレ感想 | 2002年・冬ドラマ

恋ノチカラ

前回、楠木文具の納品を済ますと、籐子は貫井企画を辞めた。
貫井を好きになってしまったことで、彼のそばにいることが苦しくなってしまったのだ。
それを知っているのは吉武だけだった。
突然現れなくなった籐子に戸惑う貫井。
春菜とのルームシェアも解消し、籐子はどこへ行ってしまうのか?
二人の恋は始まらないまま、これで終わってしまうのでしょうか?

「恋ノチカラ」最終話の感想と脚本を分析していきます。

「恋ノチカラ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

本宮籐子(30)――深津絵里
「貫井企画」に勤める独身OL。
酔った勢いで貫井とキスをし、自分の思いに気づく。だが、貫井の恋人は同居人で性格のいい春菜。このまま思いを隠して、貫井企画にいられるか…

貫井功太郎(35)――堤真一
壮吾と新会社「貫井企画」を設立した人気クリエイター。
吉武が加わりクリエイティブの仕事に専念、春菜とも付き合う。が、籐子とキスをしてしまい…

木村壮吾(25)――坂口憲二
憧れていた貫井に誘われ、共同で貫井企画を立ち上げる。
悩みは、人妻の香里との今後…

倉持春菜(23)――矢田亜希子
籐子が昔、兄・勇祐と付き合っていた縁で、籐子とルームシェアをしている。
大好きな貫井と恋人になったが…

吉武宣夫(40)――西村雅彦
ユニバーサル広告社をやめて、敵対していた「貫井企画」の営業担当になる。
だが貫井企画はギリギリの経営。必死に仕事をとるが…

寺石香里(28)――久我陽子
壮吾と同じ金沢出身で、彼が高校時代のアルバイト先で、一目ぼれした女性。
既婚者だが、壮吾と度々連絡を取り合う仲で…

須田真季(30)――猫背椿
籐子の飲み友達で、ユニバーサル広告社の元同僚。

最終話あらすじ(ネタバレあり)

籐子のいない貫井企画。
ドアが開くたび、籐子が来たのではないかと席を立つ貫井。
だが彼女は現れない。春菜とのルームシェアも解消したと知る。
「……」の貫井。

籐子は就職活動を始めるが、年齢ではじかれてうまくいかない。
結局仕事が見つからず、人材派遣に相談。するとお見合いを勧められる。

ついにエンピツネズミが発売された。
しかし客に見向きもされない。

珍しくスーツを着込む貫井。
エンピツネズミが売れず、楠木文具に謝罪へ向かう。

籐子はお見合いの相手を待ったが、現れなかった。
連絡すると、ご縁がなかったということで…と断られた。
「なにやってんだろ……」と道端で落ち込む籐子。
ふと顔を上げると、エンピツネズミのポスターを発見。

文房具店に入り、店員が「売れないから返品して」とシビアな会話を聞いてしまう。
その足で籐子は楠木文具へ向かう。
社長と話していると、貫井が現れた。
「うちはもう店仕舞いすることにしました」と社長。
貫井は責任を感じて深く謝罪。
だが社長は貫井企画に感謝しているという。
「最後にいい夢が見れました。売れなかったけど、エンピツネズミは気に入ってます」

籐子と帰る貫井。
籐子がお見合い相手に振られ、予約した映画や店を一人でこれから行くと知る。
「付き合ってやるよ」と貫井。
籐子と貫井は映画を見て、ディナーを楽しんだ。
最後はホテルのバーへ。まさかホテルの部屋も予約してるのか?
「……」の籐子。予約をしていた。

貫井と部屋に入る。すごくいい部屋でテンションが上がる二人。
はしゃいでいたが、ベッドに座り、ドキドキしだす籐子。
さすがに貫井も意識してしまい、二人は逃げ出すように部屋を後にする。
そしてホテルの前で、二人はお別れ。
「お元気で……」
「お前も元気でな……」

翌朝、籐子はニコニコしている。
真季に貫井とデートしたと話した。
「楽しかった〜。時間があっという間に過ぎちゃってさ。ずっとドキドキしっぱなしで」
真季も笑顔。
「わたし、貫井さんのこと好きになってよかったって思う。だって30歳の誕生日がきて、もう恋することとかないんだろうなって思ってたのに、また本気で、苦しくなるくらい人を好きになることができただけでも、幸せだったと思う」

貫井企画は重苦しい雰囲気。
エンピツネズミも売れず、経営が厳しくなり、解散の方向で話が進む。
謝罪する貫井。二人は別の会社を探してほしい。
だが吉武は貫井と心中すると言い出す。

籐子は壮吾に呼び出された。
事務所も潰れるし、貫井はボロボロで辛そうだと話す。
「あの人の支えになってほしいんです」
「貫井さんは大丈夫だよ。大丈夫」と微笑む籐子。

貫井は春菜を誘い、話を切り出そうとする。
「聞きたくありません。……聞きたくありません!」と春菜。
貫井は別れを口にする。はじめから好きじゃなかったのかもしれない、と。
「ずるいですよ。最後の最後だけ本音を言うなんて、そんなのずるいですよ!」と、貫井の頬を張って去った。

後日、春菜は籐子に会いに行く。
貫井と別れ、新しい生活を始めると報告。失恋して楽になったと話す春菜。
「だからもう気にしなくていいですからね。貫井さんは籐子さんが好きなんですよ」
「え?」
「籐子さんだって貫井さんのことが好きなんでしょ。だったら、好きだっていう気持ちを伝えるべきじゃないんですか?」
「……言えないよ。後先考えずに、相手のこと考えずに、ただ好きだって……素直に言える歳じゃなくなっちゃったよ……」
籐子はもう決めたことだからと貫井に気持ちを伝える気はないと言った。

会社を整理している楠木文具。社長が立ち去ろうとすると、鳴り響く電話。
貫井企画も事務所の整理をしていると、楠木社長から慌てた声で電話がかかる。
「エンピツネズミの発注が殺到してるんだよ!」
突然売れだすエンピツネズミ。売り切れ続出で、会社が持ち直す。

籐子も壮吾の電話でようやく騒ぎに気づき、感動。
久しぶりに貫井企画は祝賀会を開くことになったから来てほしい誘われる。
「……」の籐子。

店先まで訪れたが、引き返す籐子。
壮吾が気づいて、店に引き込む。
貫井の隣に座る籐子。
「……」の貫井。
エンピツネズミのロイヤリティはどのくらい入るのかと壮吾が吉武に聞く。
1億ちょっとと聞いて、大はしゃぎする貫井、籐子、壮吾。

二次会は貫井企画でやることに。
買い出しへ行く壮吾と吉武。
貫井と籐子を二人きりにさせる。

事務所に入り、貫井は籐子を見つめて言った。
「戻ってこないか? 俺達と一緒にやってみないか?」
籐子はその誘いが嬉しいと答える。
「でも、ここへは戻れません……」
貫井は慌てる。給料を上げると話すが、籐子がはっきりと伝えた。
「わたしが事務所を辞めたのは、金銭的なことだけが理由じゃないんです。わたし……貫井さんが好きなんですよ。好きだったんです……もうずっと……だから辛くて……そばにいるのが辛くて逃げました。そんなことで辞めたりして、ほんとすいませんでした!」

全てを打ち明け、驚く貫井を前にパニックになる籐子。しかし貫井企画に人違いで入社できたこと本当によかったと話した。
「わたし、あの人違いに感謝してます。あれは、奇跡だったんですよ」
そして、貫井企画の成功を祈っているといって立ち去ろうとした。だが、
「奇跡だったよ! 俺にとっても……」
「!」
見つめ合う二人。
「お前がいてくれて、その……あの……」とうまく伝えられない貫井。
「なんでかな……お前といると、こう……面白いと思うものがより面白く、美味しいものがより美味しく……。とにかくお前といると楽しいんだ」
すると籐子は嬉しさ半分、照れ半分で「そういうことでしたら、なおさらわたしが事務所に戻るのはまずいんじゃないでしょうか」と言い出す。
べらべら話を続ける籐子の口をふさぐようにキスする貫井。
「うるさい。少し黙ってろ」
そこへ壮吾と吉武が戻ってきた。
ドアを押さえて、我慢できず籐子からキス!
「何してたんですか!」と壮吾。
「反省会!」と満面の笑みの籐子だった。

感想とシナリオ分析

籐子「……言えないよ。後先考えずに、相手のこと考えずに、ただ好きだって……素直に言える歳じゃなくなっちゃったよ……」

どうして30歳を超えると、男女共に恋に臆病になるんでしょうか?
恋に傷つくことを知ったから、という経験則から傷の浅いまま回避したいというのもあると思いますが、人を好きになるというのがどういうことか知ったからだと思うんです。

人を好きになるって、自分より相手の気持ちを優先できるってことですよね。

話は少しそれますが、以前、夫婦のDVについて興味深い話を聞きました。
好きな人に暴力を振るうって、まあ、論外なんですが、当事者はDVしてることに気づいてないそうです。
たとえば、さっき妻を殴ったばかりの夫が、DVの事件ニュースをテレビで見て、「ひどい事件だね」なんて話すそうです。
その夫は、自分がいずれニュースになる側だとまったく気づいてない。
それである日、妻が暴力に耐えかねて逃げ出し、離婚したいと告げた。
夫は、自分の否を認めず、できない妻をしつけしていたのに、なぜ離婚したいのか、まったく意味がわからなかった。
そこで信頼する恩師に相談し、どうやったら愚かな妻を家に戻すことができるか、きっと恩師は自分に同情していいアドバイスを聞けると、夫は考えた。
ところがその恩師は間髪入れずにその夫に言った。
「どうして離婚してあげないの?」
「!?」
「あなたは奥さんを愛しているんだよね? 愛している人が離婚したいと言っている。なぜその意見を受け入れてあげないの?」
夫は初めて、人が人を好きになるというのがどういうことかを知る。
「相手はあなたを捨てる権利がある。あなたは相手の権利を認めていない。あなたは相手に対してその権利がないと思い込んでいる。そこがあなたのガンで、直さなければ奥さんは絶対に戻らない」

この話を聞いた時、驚きました。
世の中には、そんなことも知らないで夫婦になったり、恋人になったりしてるのかと。

籐子の恋を見てください。
常に愛する貫井ファーストです。でもただ相手を甘やかすだけじゃない。間違った道へ行きそうになると、感情に任せて暴力なんて振るわず、的確な言葉で正しい方へ相手を導く。
正しいというのは、相手にとって正しい道です。自分が相手にそうあってほしいという欲望ではなく、その人物を客観視し、その人が歩みたいはずの歩むべき正しい道へ背中を押すということ。
その際、自分が嫌われることもいとわず、厳しいことを告げる。押したり、引いたり、相手の気持ちを優先して考える。
籐子は、精神的自立ができている女性像として完璧です。
だからいい男に好かれ、お見合い相手のようなしょぼい男にはモテない。
貫井は恋愛ベタな男。女性の気持ちも疎い。それがモラハラになりそうなところはあるけど、精神的自立した女性がそばにいれば、軌道修正はできます。直すツボを籐子がわかっているので、貫井は変われる。
改めて最高のカップルだなと、恋ノチカラを毎回見るたびに思います。こういうラブコメがまたテレビで観たいなあ。

素晴らしかったセリフ

貫井と吉武だけになった事務所で――。
吉武「どうしてこうなるまで気づかないかな」
貫井「?」
吉武「事務所のことは仕方ないさ。だけどお前は、手放さなくていいものまでふいにしようとしていないか?」
貫井「……」

「本当に大切なパートナーとの出会いってのは、人生の中でそう何度もあるものじゃない。大げさに言えば、奇跡に等しい出来事なんだ。いいか? 余計なことぐずぐず考えてると、起こる奇跡も起こらなくなるぞ」

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