ラブストーリー

「恋ノチカラ」第10話 ネタバレ感想 | 2002年・冬ドラマ

恋ノチカラ

前回、籐子は、自分が貫井を好きなことにはっきりと気づく。
ところが貫井は仕事がうまくいかず、後輩にプライドをズタボロにされ、挙げ句に壮吾たちには腫れ物に触るような扱いを受け、事務所を抜けると言い出した。

貫井の破れかぶれな態度と今まで作ったものも否定する姿に、籐子はがっかりしたと吐き捨てて貫井のもとを去る。
空中分解寸前の貫井企画。会社も籐子もみんなどうなってしまうのか?

「恋ノチカラ」第10話の感想と脚本を分析していきます。

「恋ノチカラ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

本宮籐子(30)――深津絵里
「貫井企画」に勤める独身OL。
酔った勢いで貫井とキスをし、自分の思いに気づく。だが、貫井の恋人は同居人で性格のいい春菜。このまま思いを隠して、貫井企画にいられるか…

貫井功太郎(35)――堤真一
壮吾と新会社「貫井企画」を設立した人気クリエイター。
吉武が加わりクリエイティブの仕事に専念、春菜とも付き合う。が、籐子とキスをしてしまい…

木村壮吾(25)――坂口憲二
憧れていた貫井に誘われ、共同で貫井企画を立ち上げる。
悩みは、人妻の香里との今後…

倉持春菜(23)――矢田亜希子
籐子が昔、兄・勇祐と付き合っていた縁で、籐子とルームシェアをしている。
大好きな貫井と恋人になったが…

吉武宣夫(40)――西村雅彦
ユニバーサル広告社をやめて、敵対していた「貫井企画」の営業担当になる。
だが貫井企画はギリギリの経営。必死に仕事をとるが…

寺石香里(28)――久我陽子
壮吾と同じ金沢出身で、彼が高校時代のアルバイト先で、一目ぼれした女性。
既婚者だが、壮吾と度々連絡を取り合う仲で…

須田真季(30)――猫背椿
籐子の飲み友達で、ユニバーサル広告社の元同僚。

第10話あらすじ(ネタバレあり)

空中分解寸前の貫井企画。落ち込む籐子と壮吾を励ます吉武。
そこへ考えを改めた貫井が出社。立ち直った様子。
籐子に自分でデザインした缶コーヒーを差し出し、「悪かったな」という。
ホッとし、嬉しそうな籐子。

楠木文具のパンフレットが完成し、籐子が届ける。
社長は、貫井が考えたイメージキャラクターを特に気に入る。
さらに低迷する文房具を生き返らせることはできないかと相談した。

籐子はその相談を持ち帰り、貫井たちに「そんなことできないですよね?」と聞く。
壮吾は他所様の商品企画を考えるほど余裕はないというが、貫井は考えている顔。
吉武が戻り、貫井に広告の依頼があったと話す。以前携わった会社からだった。

だが貫井は、籐子が持ってきた楠木文具の相談事に興味があると断る。
「これまでの実績に頼らず、ゼロから自分の力を試してみたい」
広告だけでなく、商品開発をやってみたいといった。
吉武は貫井の気持ちを汲み、了承。籐子や壮吾も嬉しそうだ。

貫井は、楠木社長に「勝負へ出よう」と共に商品開発を作ることを提案。
貫井企画もリスクを負う。商品が爆発的に売れた場合、インセンティブが発生するようにした。
「絶対に後悔はさせません」

その帰り、籐子と貫井は食事を一緒にする。すると貫井が突然感謝の言葉。
「公園でお前がいってくれたこと、ありがとうな。目が覚めた。俺、この仕事がんばるわ」
籐子は嬉しそうに聞くが、その時「好きだったのに」と口走ったことを思い出して慌てる。
誤解しないでくださいね、と念を押すと、貫井は誤解なんてするわけないだろと横を向く。
「気持ち悪い」
「気持ち悪いですよね……」と苦笑いの籐子。

その後、二人で商品開発案を考える。
距離が近く、籐子はいつもドキドキしてしまう。
が、毎日一緒にいて楽しい。
そしてコンセプト案が決まって、貫井企画は久しぶりに飲みに行く。
ところが春菜からデートの誘い。貫井はあっさり断るが、春菜はどうしても話したいというので飲み会へ呼ぶ。

だが飲み会は、仕事の話ばかりで春菜は居心地が悪い。
貫井は車で春菜を送っていく。
それを見送る籐子は寂しい顔。壮吾が気づいて一緒に飲みに行く。

車内で、春菜は暗い顔。籐子と比較して落ち込む。
「あなただって頑張ってるじゃないですか」と貫井は励ます。

翌朝、気分がいい春菜。そして最近つらく当たっていたことを籐子に謝罪する。
「このままじゃいけないと思ったんです。結局、自分に自信が持てないから余計なことを考えて、その考えに振り回されちゃうんですよね」
貫井が努力する春菜が好きと言ってくれたことを信じて、また頑張ると宣言。
それを黙って聞いていた籐子は笑顔でうなずく。
「春菜ちゃん。キレイ」
そして会社へ行く春菜を見送り、決心した顔をする籐子。
その足で、吉武に会う。深刻な話だとわかった。

吹っ切れた感じで仕事に精を出す籐子。吉武は渋い顔。貫井たちは気づかない。
籐子は、貫井企画を辞める、と真季に打ち明ける。さらに春菜とのルームシェアも解消すると話した。
真季は驚きつつも、籐子の気持ちをすぐに理解した。
「絶対ダメなのはわかってるんだよ。だから貫井さんの近くで、貫井企画でがんばろーって思ってたんだけど……苦しいんだ……。笑ってるのが辛くてさ……もうやんなっちゃう」と苦笑い。
真季は何も言わずに、抱きしめた。

翌日、コンセプト案が決まったが、具体的な商品まで考えつかない貫井。
すると籐子が一案を思いつく。貫井が考えたイメージキャラクターのネズミをえんぴつに装着するおもちゃ案。
さっそく楠木文具に提案した。
それから連日連夜、二人でブラッシュアップを重ね、商品が出来上がっていく。

徹夜明けの朝、籐子は春菜にマンションを出ることを話す。
理由は今の収入で家賃を支払うのはきついし、貫井企画も辞めることにしたといった。
だが春菜は本当のことを言ってほしいと訴える。
「籐子さんは貫井さんのことが好きなんですね? 本当のこと言ってください」
「……うん、そうなの……。わたし、貫井さんが好きになっちゃった。だからどうしようってことじゃないの。でも……このまま二人をそばで見てるのはちょっと苦しいかなって……。なんか、それだけは割り切れなかったの。ごめんね」
「わたし、籐子さんのこと止めません。止められません。籐子さんには幸せになってもらいたいと思ってますけど、貫井さんのことだけは譲れませんから」
静かにうなずく籐子だった。

籐子と貫井は無事に商品を納品し、楠木社長も納得の出来で製造に入る。
貫井は、籐子の前に手を差し出す。はにかんで握手する籐子。
事務所に戻ると、壮吾が飲みに行こうとみんなを連れ出す。
だが籐子は、やることあるから先行って、と送り出す。

一人、事務所に残り、部屋を見回す籐子。
貫井の席に座ってはしゃぐ。だがふいに涙が溢れた。

飲み会に合流し、いつも通りにはしゃぐ籐子。
吉武だけは気づいている。彼女は今夜で最後なのだと……。
何も知らないで大はしゃぎの貫井と壮吾。

翌日、出社しない籐子を二日酔いと思う貫井と壮吾。
「彼女は来ないよ」と吉武。
「え?」
「彼女はもうここには来ない」
貫井はわけが分からず、振り返った。
籐子の荷物は整理されていた。

感想とシナリオ分析

とても胸が締め付けられる、切ない話でした。
誰も悪い人がこの話には登場しません。
みんな自分に正直な気持ちで精一杯生きているから、みんなを応援したくなる。

多くの視聴者は、籐子に感情移入しながら見ている。
当然春菜の存在は恋の邪魔なんだけど、春菜自身も籐子の存在で苦しみ、でも耐えて成長する姿を見て知っているから複雑になる。

籐子が一番客観的に物事を見ていて、自分が引けば誰も傷つかないで済むと考えている。
春菜は真っ直ぐな人だから、彼女と正直な気持ちでぶつかった。
でもそのことで恋の宣戦布告をしたわけじゃない。
身を引くという決断を受け入れてもらった。
それは貫井企画でも同じ。貫井はわからないが、壮吾にいえば止められるだろう。だからフラットに物事考えられる吉武に打ち明けた。
そして黙って籐子は会社を去った。

その全ての思い、考え、籐子らしさを知っている親友の真季は黙って受け止めた。
ここで「そんなの関係ねぇ、自分の正直な気持ちを貫井にぶつけなよ」みたいなただ熱いキャラクターが出ると、一気にラブコメ偏差値が下がり、興ざめする。
それがこの恋ノチカラは全話を通して、ない。だから、良い!

優しい世界の優しいラブストーリーに浸れるのは本当に幸せな時間です。
それにしても籐子の「好きになっちゃったよ」はかわいいし、最後の思い出で貫井の席に座って色んな感情を思い出して涙する顔は美しかった。

素晴らしかったセリフ

籐子は親友の真季に「貫井さんが好きなの」と打ち明けた。
真季は優しく見つめ、黙って聞く。

「何言ってんだろうね。30にもなって。ほんと自分でも信じらんないんだけど……でも……好きになっちゃったよ」

まずは無料でお試し!【FODプレミアム】