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「王様のレストラン」第8話 ネタバレ感想 | 1995年・春ドラマ

王様のレストラン

前回、ベル・エキップは店を宣伝する最大のチャンスが訪れた。
開店以来最大のVIPがやって来たのだ。
ところが事前の国際会議で日本代表とEU代表はうまくいかず険悪ムード。
なかなか料理に手を付けず、冷めてしまった料理を口にしては、まずいと文句を言って皿を下げさせた。
従業員の怒りが頂点に達したとき、店に貢献していなかった三条政子が従業員の思いを伝えにVIPを叱りつけた。

そのおかげで場の空気は変わり、再度温かい食事が提供されると、しずかのフランス料理が本場フランス人にも評価される。
料理のおかげで国際会議もうまくいき、ベル・エキップは世界的な雑誌に掲載され、良い宣伝になった。

上昇気流に乗ったベル・エキップは、そのまま一流店へと駆け上がることはできるのか。
8話ではどんな成長が見られたのか、感想と脚本を分析していきます。

「王様のレストラン」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

千石 武 (52)――松本幸四郎
初代オーナー時代のベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。初代オーナーと親友だった。
その後ギャルソンを卒業したが、オーナーの息子の禄郎に誘われ、ベル・エキップ再建に向け、様々な仕掛けをする…

原田 禄郎(24)――筒井道隆
パトロン(オーナー)。初代オーナーの愛人の息子、範朝の腹違いの弟。
かなりのお人好しで鈍感。だが元経理の経験や心優しい思いやり精神を活かし、オーナーとしてベル・エキップの再建を目指していく…

磯野 しずか――山口智子
シェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)。
千石との出会いからシェフとして成長著しい。ベル・エキップの看板メニューとなる『オマール海老のびっくりムース』を考案し、かつての店の勢いを取り戻す…

三条 政子(28)――鈴木京香
バルマン(バーテンダー)。
範朝の元愛人。なんとなく働いていたが、次第にベル・エキップが流行り、従業員たちの熱心な働きぶりを見て、自分もその仲間になりたいと彼女なりの努力をする…

水原 範朝――西村雅彦
ディレクトール(総支配人)。禄郎の腹違いの兄。
ベル・エキップの再建より、カラーひよこの新規事業で一攫千金を目論む。
妻の出産を知られ、政子と愛人関係が終わった…

梶原 民生(52)――小野武彦
メートル・ドテル(食堂支配人)。
予約客の名前も覚えず、料理についても不勉強で仕事にやる気が見られなかったが、元家族にかっこ悪い姿は見せられないと変化を見せた。しかしスケベはなおらない…

稲毛 成志――梶原善
シェフ・パティシエ(お菓子職人)。
しずかに一度フラれているが、未だに惚れている様子。畠山とライバル関係…

大庭 金四郎――白井晃
ソムリエ。
ワインでたくさんの受賞歴があり自信もあるが、自分の意見を客に押しつけるところがあり嫌われる。

和田 一――伊藤俊人
コミ(ウェイター)。
梶原の下で働いているせいで、ギャルソンの仕事を理解していない。だが、千石は「彼は身のこなしが機敏で、いいギャルソンになる」と意外に評価されている…

畠山 秀忠(30)――田口浩正
スー・シェフ(副料理長)。
作るより食べてばかりいる。しずかが好きな様子。稲毛は嫌い…

佐々木 教綱――杉本隆吾
プロンジュール(皿洗い)。
しょっちゅう皿を割る…

ジュラール・デュヴィヴィエ――ジャッケー・ローロン
ガルド・マンジェ(食材係)。
元路上でアクセサリーを売っていたただのフランス人。

第8話あらすじ(ネタバレあり)

「最高のシェフは、恋をしたシェフ。」
ミッシェル・サラゲッタというフランス人シェフの言葉。

シェフのしずかに大きな転機が訪れようとしていた。
国際経済会議のために来日し、ベル・エキップで夕食をとったEU代表のフランス人が帰国後、しずかの料理をパリの有名レストランで絶賛。
それがきっかけで、しずかに引き抜き話が持ち上がった。

しずかはどうしようかと、千石と禄郎に相談する。
千石は「素晴らしい」と褒める。
ところがしずかは「なんか話がうますぎる気がして」と怪訝に感じている様子。
そのレストランの面接は今夜行われるという。
千石はしずかの気持ちを尊重する。
だがもし受かればベル・エキップを辞めることになるとしずかが話すと、
「料理人にとって最大の名誉」と引き抜き話を千石は歓迎している様子だった。

しずかは引き止められると思ったがあっさり受け入れられ、「じゃあ受ける」と行こうとする。
禄郎はしずかが抜けたら困ると千石に言うと、「そのときは代わりを雇うしかない」と聞こえ、しずかは淋しそうな顔をした。
「私、あんまり必要とされてないみたいだね……」
だが千石はその引き抜こうとしている有名店の誘いを断るシェフはシェフじゃないと言った。
「シェフではなく、主婦になるべきだ」

話が伝わるのは早い。
「しずかに辞められたら店は逆戻りだ」と梶原にあおられた従業員らは、8時に迎えが来るまで様々なしずか引き止め工作を考える。

その頃、全然稼働しないカラーひよこで頭がいっぱいな範朝。禄郎がしずかの引き抜きのことで相談した。
範朝は「絶対に行かせるな。ここが潰れるぞ」と言った。
そして千石にそうしずかに言わせろ、千石が言えばしずかは言うこと聞くから、と。
「なんで千石さんだったら言うこと聞くの?」と禄郎。
「二人は出来てるから。少なくともしずかは惚れてる」と範朝。

そして店に、しずかを迎えに運転手がやって来た。
先ほどからずっとしずかは千石を探しているが、彼は店にいなかった。
従業員たちはなんとかしずかを引き止めようと工作を開始。
どんどん約束の時間が過ぎ、政子もしずかを迎えにきた男を酔いつぶそうとする。
だがしずかは、従業員の仕掛けた作戦を見破り面接に出掛けて行った。
千石はようやく戻る。引き止めようとする従業員らに、
「これは彼女が決めることです」

千石がいなかったのは、しずかを引き抜こうとしている店と話をしに行ったからだった。
「相手はかなり本気でした」
しずかが不安になっていたから、それを調べに千石は行っていたのだ。
そこへ政子が来た。
「彼女、千石さんが一言いえば行くのやめたんじゃないかしら? たぶんやめたと思う」
「?……」
「千石さんの一言を待っていたんじゃないかな」
「どうして?」と千石は不思議そうに尋ねる。
「だって、しずかさん、千石さんにほの字らしいから」と禄郎。
千石は苦笑した。

すると、「ただいま」としずかが店に帰ってきた。
しずかはどうやら断ってきたらしい。相手の態度がぞんざいだった、と。
千石が店と話してきた印象と違う。
しずかを引き止め、千石は二人になり話した。
「向こうの支配人と会ってきました。あなたのことよろしくってお願いしてきました。本当はどこへ行ってきたんですか?」
「映画見てきちゃった……。ごめんなさい、せっかくのご厚意を」
二人でカウンターに移り、乾杯をする。
千石は理想の店の話を始めた。
「ねえ、私を口説いてるの?」
千石は無視して話し続けた。ギャルソンと愛する女性シェフとの理想の店。
そこにいるのは自分かなと想像しながら楽しそうにしずかは聞いた。

誰かが言った。
「最も優秀なシェフは、恋をしているシェフだと」
しずかはあらゆる意味で最高のシェフになろうとしていた。

感想とシナリオ分析

しずかが店に残るのか、否か。
ストーリー全体は結末の分かる話でしたが、ラストがこんなにオシャレだと幸せな気分になる。

千石の愛の告白はだいぶ甘い。
それに聞き入り、しずかのとろけていくような表情がまた美しかった。
これは世の男性が真似してできるものじゃない。

愛の告白の構成はこうだ。
千石は自分の理想の店の話をしたか、としずかに尋ねる。
しずかが「口説いてるの?」と茶々を入れても語り続ける。
ここで一度口説いてるわけじゃなく、単純に理想の店の話をしたいんだと思わせる。
しずかは諦めて、理想の店の話に付き合う。
そして千石はその理想の店に出勤しているイメージを語る。
調理場からはクロワッサンを焼く香ばしい香りがする、と嗅覚までイメージを広げた。
「私はまずコーヒーを淹れる」
それから古い家具に囲まれた仕事部屋へ移動する。
「そのうち、朝一番で材料を仕入れてきたシェフが姿を現す」
登場人物が1人増える。
「私は彼女を部屋に招いて、そしてコーヒーをごちそうする」

つまり、千石の理想の店にはしずかがいると愛の告白をしたのだ。
男が語る夢の中に、女が登場したらそれは愛していると言っている。
なんて甘いのだ。

と、まあ、伝説のギャルソンに恋をした天才シェフが店に残ることを決め、ベル・エキップ存亡の危機は免れた。

しかし新たなる危機が範朝によってもたらされそうになっていた。
カラーひよこがようやく稼働しそうだった。ブルーのたまごがサンプルで届き、彼は一人祝杯をあげる。
彼はベル・エキップを捨て、カラーひよこで一攫千金を夢見て眠る。
ところが、ブルーのたまごからかえったのは、カラーひよこではなく、ただのひよこだ。
ブルーにたまごが塗られているだけだった…
そのことに彼はまだ気づいてない。楽しい夢の中だ。
9話で範朝がどうなるのか、それがベル・エキップにどう関わるのか楽しみです。

素晴らしかったセリフ

有名店に引き抜きの話があるしずか。けれど行く気はなく、千石に引き止めて欲しい。
一方、彼女のさらなる成長を見たい千石。彼女の不安を拭って見送ろうとしていた。
けれどしずかは、ベル・エキップに残るをこと決断した。

当初から、決めるのはしずかだと言っていた千石は彼女と酒をかわす。
そして千石は夢を語った。
しずかは千石の気持ちを確かめるように、

「男が夢の話する時って口説いてるんじゃないの?」