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「王様のレストラン」第6話 ネタバレ感想 | 1995年・春ドラマ

王様のレストラン

前回、様々な奇跡が重なり、しずかと千石はベル・エキップの名物となる新メニューを完成させた。
それは、『オマール海老のびっくりムース』。

千石の夢である一流店に向け、禄郎が経営を見直し、チームを結束させ、しずかが名物料理を作った。
準備は整ったかのように思える。
あとは何が一流に必要なのか、後半戦の千石の仕掛けに期待が高まります。
6話の感想と脚本を分析していきます。

「王様のレストラン」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

千石 武 (52)――松本幸四郎
初代オーナー時代のベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。初代オーナーと親友だった。
その後ギャルソンを卒業したが、オーナーの息子の禄郎に誘われ、ベル・エキップ再建に向け、様々な仕掛けをする…

原田 禄郎(24)――筒井道隆
パトロン(オーナー)。初代オーナーの愛人の息子、範朝の腹違いの弟。
かなりのお人好しで鈍感。だが元経理の経験や心優しい思いやり精神を活かし、オーナーとしてベル・エキップの再建を目指していく…

磯野 しずか――山口智子
シェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)。
才能を千石に高く評価されているが、経験が乏しくまだ自信がない。大ざっぱな性格のため盛り付けが苦手で、疲れてくると味が濃くなるという欠点がある。
散々千石を嫌っていたが、彼の夢や思いに文句を言いながら応えようとする…

三条 政子(28)――鈴木京香
バルマン(バーテンダー)。
範朝の愛人で、なんとなく働いている。禄郎に好かれているが、しずかに嫌われている。
範朝と奥さんとの間に子供が生まれることを知り、愛人関係に終止符を打つ…

水原 範朝――西村雅彦
ディレクトール(総支配人)。禄郎の腹違いの兄。
借金のベル・エキップを弟になすりつけ、カラーひよこの新規事業で一攫千金を目論むが、徐々に弟に情が出てきた。
妻の出産を知られ、政子と愛人関係が終わった…

梶原 民生(52)――小野武彦
メートル・ドテル(食堂支配人)。
予約客の名前も覚えず、料理についても不勉強で仕事にやる気が見られない。
スケベなことばかり考えてる…

稲毛 成志――梶原善
シェフ・パティシエ(お菓子職人)。
しずかのことを気にしてばかりいる。畠山とライバル関係…

大庭 金四郎――白井晃
ソムリエ。
ワインでたくさんの受賞歴があり自信もあるが、自分の意見を客に押しつけるところがあり嫌われる。

和田 一――伊藤俊人
コミ(ウェイター)。
梶原の下で働いているせいで、ギャルソンの仕事を理解していない。だが、千石は「彼は身のこなしが機敏で、いいギャルソンになる」と意外に評価されている…

畠山 秀忠(30)――田口浩正
スー・シェフ(副料理長)。
作るより食べてばかりいる。しずかが好きな様子。稲毛は嫌い…

佐々木 教綱――杉本隆吾
プロンジュール(皿洗い)。
しょっちゅう皿を割る…

ジュラール・デュヴィヴィエ――ジャッケー・ローロン
ガルド・マンジェ(食材係)。
元路上でアクセサリーを売っていたただのフランス人。

第6話あらすじ(ネタバレあり)

「トマトに塩をかければ、サラダになる。」
ミッシェル・サラゲッタというフランス人シェフの言葉。

新メニュー『オマール海老のびっくりムース』の評判は上々で、ベル・エキップはかつての勢いを取り戻しつつある。
店に残ることになった政子が仕事にやる気を見せ、新しいカクテル作りの協力をしずかに頼む。
ベル・エキップの成長とともに、皆が成長しようとする中、変わらない男がいた。
メートル・ドテル(食堂支配人)の梶原だ。

そこへ梶原の別れた妻・西谷美代子が、息子・藤吉郎を連れて来店した。
「やべえなあ」と梶原。
意を決してテーブルへ向かったが、息子はつれない……

梶原は見栄から、自分は店のディレクトール(総支配人)だと話した。
少し興味を持つ藤吉郎。さらに美代子にもかっこつけ、今夜は奢るという。

千石や和田らにも頼み込み、梶原は総支配人であるかのように振る舞い始めた。
ところが美代子が千石を呼び、注文を頼もうとすると、先ほど梶原が説明した料理と違う。
「相変わらずいい加減な人……」とがっかりして、藤吉郎と顔を見合わせた。
それでも禄郎や和田が「ディレクトール」と事あるごとに呼び、まるで頼れる存在であるかのように母子の前で見せると、藤吉郎は父を少し見直した。

範朝が店内をウロウロしていたところ、美代子に声をかけられる。
「総支配人を呼んでください」
「総支配人は自分ですが?」
と、範朝が答えると、美代子は困惑の表情をした。藤吉郎も渋い顔……
千石が慌てて来て、範朝は中国人で、ソウ支配人だと苦しい言い訳。

藤吉郎は父と口を利かないが、料理がうまかったのか調理場を見学したいと母に頼む。
千石は「後に引けない」としずかたちに頼み、嘘に付き合わせた。
その頃、美代子は梶原に今日来店したのは、再婚することを伝えるためだったと話した。
またまた見栄から梶原は、自分も店のしずかと交際していると話してしまう。

しずかに会いたいと言い出す美代子。
梶原は小さくなりながら、しずかに婚約者役を頼み込む。
「なんでそんなことまで!」としずか。稲毛と畠山も断固反対する。
だが千石が「ここまできたらしょうがないでしょ」と、しずかをなだめる。
「絶対嫌だ!」

なかなか来ないので、美代子は暇そうにしていた範朝を呼ぶ。
「総支配人の恋人とお会いしたい」と言うと、範朝は自分のことだと勘違いする。
そして元愛人の政子に、「梶原の元妻がお前と会いたいって」と報告。

政子は、美代子のテーブルへ行った。
ちょうどしずかに断られて困っていたので、渡りに船で乗っかる梶原。
驚く政子だったが、千石の眼力に負け、婚約者役を務める。
母子の前で挨拶しているところ、不承不承のしずかが登場し、二人は鉢合わせ。
さすがの千石も対処できず、様子を見ることに。
なぜか修羅場と化し、藤吉郎は梶原に軽蔑のまなざしを送った。

嘘をついたことで話がややこしくなったことを全員に責められる梶原。
しかし人のいい禄郎が、
「このままじゃまずいですよ。梶原さんの名誉を回復しないと」
千石は、これ以上余計なことはしないほうがいいと止める。
「梶原さんのためじゃないです。藤吉郎くんのためです」と、禄郎。
幼少期、父親がいなかった禄郎は藤吉郎の気持ちがよく分かる。立派なお父さんでいさせてあげたい。

梶原を息子の前でかっこよく見せるため、千石と禄郎は作戦を練った。
そこで1話のヤクザを追い払った千石の寸劇をやろうと、大庭にヤクザ役を頼んだ。
だがそこへ「総支配人を出せ」と本物のヤクザが怒鳴り込んできた。
カラーひよこの事業で借金した範朝に返済を迫った。
そうとは知らず、梶原は総支配人としてヤクザに立ち向かう。

梶原は本物のヤクザと知り、腰が引けた。
だが藤吉郎が見ている。父を……
目が合った梶原は、意を決してヤクザに言った。
「ここはお客様が食事を楽しむ場所でございます! 今日はお帰りください!」
梶原は最後まで譲らず、ヤクザを追い返した。
お客から拍手喝采で、父の面目は保たれた。

しかし美代子は、梶原の嘘にみんなが付き合っていると気づいていた。
なぜ梶原のためにそんなみんな協力してくれるのか不思議がる。
「たしかに仕事は雑で下品極まりないところもたくさんある。しかし彼には、人を不愉快にさせない人柄というものがあります」と千石。
それはギャルソンにとって何ものにも代えがたい宝物なのだと。

感想とシナリオ分析

とってもハッピーになるお話でした。
梶原さんのキャラクターをどう変化させるのか見ものでしたが、こう来たかと本当に面白かった。
変化をさせる前のビフォーがひどい人ほど、アフターの抜けが気持ちいい。
キャラクターの前提を作るのが、三谷氏は本当にうまいなと感心させられる。いや、勉強になる。

しかし、梶原が1話の千石のギャルソンぶりを再現するということで寂しい気持ちにもなった。
同じ店に、同じギャルソンは必要ないから…

それを冒頭の言葉で暗示し、終わりのナレーションで説明していた。
「ただの野菜に過ぎなかった彼らが、今は確実にサラダになりつつある」と。
千石はその素材である野菜の良さに気づき、塩を振り続けた。
それが立派なサラダになろうとしている。

千石の役目は徐々に終わりに向かっているが、まだまだ問題を抱えたキャラクターが残っている。
7話では誰が変化するのか、ベル・エキップにどんな試練が待っているのか楽しみです。

素晴らしかったセリフ

梶原がヤクザを帰らせようと、ここはお客が食事を楽しむ場所だから明日にしてくれて頼んだ。
するとヤクザは大声で、ここで飯を食わせろ、と暴れた。
ところが千石が、「当店はジャケット着用でないと召し上がれません」というと、
「この店は客を選ぶのか!」とヤクザは千石に迫った。

「いえ、店が客を選ぶのではなくて、料理がお客を選ぶんでございます」