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「王様のレストラン」第5話 ネタバレ感想 | 1995年・春ドラマ

王様のレストラン

前回、千石はベル・エキップを一流の店にするという思いがあり、それを知らない従業員は彼の厳しすぎる指導に不満を募らせてボイコットした。
それでも千石は、一流店にするという夢のため奮闘。
その姿を見て、心変わりしたのは従業員たちのリーダー、しずかだった。
次々と従業員が持ち場に戻り、チームは一つになった。

経験不足や自信のなさから、店のリーダーになることを拒み、逃げていたしずかがようやく覚悟を決めた。
ベル・エキップを一流店にするという千石の夢を叶えるため、期待に応えようと。
千石と共に新メニュー作りすることを約束して前回は終わりました。
一流店に向け、ベル・エキップはどう変わるのか?
5話の感想と脚本を分析していきます。

「王様のレストラン」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

千石 武 (52)――松本幸四郎
初代オーナー時代のベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。初代オーナーと親友だった。
その後ギャルソンを卒業したが、オーナーの息子の禄郎に誘われ、ベル・エキップ再建に向け、様々な仕掛けをする…

原田 禄郎(24)――筒井道隆
パトロン(オーナー)。初代オーナーの愛人の息子、範朝の腹違いの弟。
ベル・エキップ再建に張り切るのだが、かなりのド天然でおっちょこちょいのため、いるだけで迷惑をかける。しかし、元経理の経験と思いやり精神を活かし、オーナーとして店の再建を目指していく…

磯野 しずか――山口智子
シェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)。
才能を千石に高く評価されているが、経験が乏しくまだ自信がない。大ざっぱな性格のため盛り付けが苦手で、疲れてくると味が濃くなるという欠点がある。
散々千石を嫌っていたが、彼の夢や思いに文句を言いながら応えようとする…

三条 政子(28)――鈴木京香
バルマン(バーテンダー)。
範朝の愛人で、なんとなく働いている。禄郎に好かれているが、しずかに嫌われている。
範朝のカラーひよこの新規事業や二人の将来に疑心暗鬼…

水原 範朝――西村雅彦
ディレクトール(総支配人)。禄郎の腹違いの兄。
借金のベル・エキップを弟になすりつけ、カラーひよこの新規事業で一攫千金を目論むが、徐々に弟に情が出てきた。
妻の出産を知られ、愛人の政子とはギクシャク…

梶原 民生(52)――小野武彦
メートル・ドテル(食堂支配人)。
予約客の名前も覚えず、料理についても不勉強で仕事にやる気が見られない。
スケベなことばかり考えてる…

稲毛 成志――梶原善
シェフ・パティシエ(お菓子職人)。
しずかのことを気にしてばかりいる。畠山とライバル関係…

大庭 金四郎――白井晃
ソムリエ。
ワインでたくさんの受賞歴があり自信もあるが、自分の意見を客に押しつけるところがあり嫌われる。

和田 一――伊藤俊人
コミ(ウェイター)。
梶原の下で働いているせいで、ギャルソンの仕事を理解していない。だが、千石は「彼は身のこなしが機敏で、いいギャルソンになる」と意外に評価されている…

畠山 秀忠(30)――田口浩正
スー・シェフ(副料理長)。
作るより食べてばかりいる。しずかが好きな様子。稲毛は嫌い…

佐々木 教綱――杉本隆吾
プロンジュール(皿洗い)。
しょっちゅう皿を割る…

ジュラール・デュヴィヴィエ――ジャッケー・ローロン
ガルド・マンジェ(食材係)。
元路上でアクセサリーを売っていたただのフランス人。

第5話あらすじ(ネタバレあり)

「奇跡を見たければ、その店に行け。」
ミッシェル・サラゲッタというフランス人シェフの言葉。

閉店後のある夜のベル・エキップには、不思議なムードが漂っていた。
梶原は久々に客が残した高級ワインにありつけ、毎日皿を割る佐々木はこの日は一枚も割っていない。
髪が気になりだした範朝もとかしたブラシに一本も抜け毛がついておらず、小さな希望がわいてきた。
千石にしても、最後に見回った店内でコインを拾い、弾き飛ばして手を開くと念じた通りの結果。「当たった」と微笑みをもらした。

「フレンチレストランには奇跡があふれている。その夜、ベル・エキップにも間違いなく奇跡があふれていた」
そんな何かが起きそうなムードの中、しずかと千石がベル・エキップの名物となる新メニューを考え始めた。
新メニューに対して理想を求める千石。早く切り上げたいしずか。

一方その頃、政子は範朝への不信から「店を辞める」と言い出す。
とりなす禄郎だが、政子と範朝の愛人関係を初めて知らされガックリ。
「(二人は)絶対もうやってるよね……?」と野暮なことを訊く禄郎。
「飽きるほど」と答える千石だった。

厨房では佐々木が、控室で飲む従業員たちのために酒のあてを作っていた。
新メニュー案が決まり、試作することになったしずかだったが、佐々木が酒のあてにその食材を使っていた。
もうダメだ、としずかは帰ろうとするが、千石の発案で別の食材で試すことになった。

控室では、梶原の猥談で盛り上がっていた。
「女はまず涙袋を見る。涙袋のでかい女は情が深い」
そんな中、稲毛はしずかの様子が気になっていた。彼は一度しずかにプロポーズして断られた過去があった。

しずかの試作は何度か失敗に終わり、再度アイデアを練り直して作っていたところ、稲毛が厨房に来た。
梶原たちに煽られ、再プロポーズするつもりのようだが、しずかはそれどころではない。

範朝と出ていったはずの政子が道端で色んなものを拾い、泥酔して店に戻ってきた。
禄郎はうろたえながら、その後二人の関係はどうなったのかと尋ねた。
範朝は家庭をとったようだとわかる。

その後、政子が行方不明になったことに気づいた禄郎。
ワインの蔵へ探しに行くと、政子が高級ワインを何本も開けて飲んでいた。
大庭がやってきて愕然とする……

次に政子は飲みすぎて気持ち悪いと、厨房へ吐きに向かう。
そのせいで、しずかが考えていた料理の蒸し時間が狂った。
ところがそれが功を奏す。何度も失敗したアイデア料理がうまくいったのだ。
それを千石が一口食べて、
「名前、何にします?」と、しずかにようやく合格を出した。

酔いが覚めた政子は反省した。
禄郎は彼女に、店をやめないでほしいと頭を下げた。
政子は、バーテンを続けることを決心した。

そして政子が拾ってきたハーブが、しずかの料理に偶然乗り、ベル・エキップ名物メニュー『オマール海老のびっくりムース』ができあがった。
千石としずかは顔を見合わせて笑った。
「素晴らしい」と。

感想とシナリオ分析

チームが一つになったことで、ベル・エキップは一流店を目指すことになりました。
ただ一流店といっても、明確なゴールがやや分かりづらいのがグルメドラマの難儀なところ。
流行店になって繁盛すれば一流なのか。誰かに認められれば一流なのか。

TBSドラマ『グランメゾン東京』のようにミシュラン「三つ星」獲得がゴールだと、多少見やすいか。
それでもミシュランの基準が不明なのでこれもさじ加減となってしまう。

やはりこういう明確なゴールでは、スポ根、スポーツものドラマのほうが相性がいい。
強敵なライバルを倒し、優勝するという明確なゴールが共有できるからだ。
まあ、それもさじ加減といえばさじ加減だが。

とにもかくにも、一流店になるにはベル・エキップの名物となる新メニューが必要らしい。
それが完成するまでに起きた奇跡の夜の話が今回のストーリーだった。

それぞれのキャラクターに問題と目的があり、それが少しずつ解決していく過程と、名物料理が完成していく過程がリンクする、とても練られた脚本でした。

『オマール海老のびっくりムース』が今後どういう使い方をされるのか、重要なキーアイテムになりそうです。
ただ、個人的感想はあまり美味しそうに見えないのが残念でした。
『シズル感』というのがまだメジャーじゃなかった時代だからでしょうか。
昨今グルメドラマは溢れていますが、テレ東の『シズル感』の撮り方がダントツで上手です。

6話ではベル・エキップが一流店になるためにどんな試練が待っているのか楽しみです。

素晴らしかったセリフ

政子が範朝の関係をはっきりさせ、やけ酒で店の高級ワインを開けて飲んでしまった。
その後、酔いが覚めると猛省し、禄郎に店をやめるなんて言わないでくださいと引き止められた。
それでも迷う政子に、千石はあなたにやめるという選択肢はないといったセリフ。

「あなたが思いっきり飲んで、思いっきり吐いたワインは、よりによってロマネ・コンティです」