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「王様のレストラン」第4話 ネタバレ感想 | 1995年・春ドラマ

王様のレストラン

前回、大赤字の『ベル・エキップ』の経営改善のため、千石が従業員の人員削減を提案。
決断を迫られた新オーナーの禄郎が誰のクビを切るのか注目された。
彼は見事、前職の経験を活かし、誰のクビを切ることもなく経費削減に成功した。

しかしそれは、実はオーナーの資質を確かめる、千石の仕掛けだったことがわかった。
もしも誰かのクビを平気で切るオーナーなら辞めていたと話した。

千石は、ベル・エキップ再建には一流になる正しい人材が必要と考えているようだ。
今回は誰をターゲットに、どんな仕掛けをして確かめるのか、楽しみです。
4話の感想と脚本を分析していきます。

「王様のレストラン」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

千石 武 (52)――松本幸四郎
初代オーナー時代のベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。初代オーナーと親友だった。
その後ギャルソンを卒業したが、オーナーの息子の禄郎に誘われ、ベル・エキップ再建に向け、様々な仕掛けをする…

原田 禄郎(24)――筒井道隆
パトロン(オーナー)。初代オーナーの愛人の息子、範朝の腹違いの弟。
ベル・エキップ再建に張り切るのだが、かなりのド天然でおっちょこちょいのため、いるだけで迷惑をかける。しかし元経理だった経験を活かし、店の再建に貢献していく…

磯野 しずか――山口智子
シェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)。
才能を千石に高く評価されているが、経験が乏しくまだ自信がない。大ざっぱな性格のため盛り付けが苦手…

三条 政子(28)――鈴木京香
バルマン(バーテンダー)。
範朝の愛人で、なんとなく働いている。禄郎に好かれているが、しずかに嫌われている…

水原 範朝――西村雅彦
ディレクトール(総支配人)。禄郎の腹違いの兄。
借金のベル・エキップを弟になすりつけ、カラーひよこの新規事業で一攫千金を目論むが…

梶原 民生(52)――小野武彦
メートル・ドテル(食堂支配人)。
予約客の名前も覚えず、料理についても不勉強で仕事にやる気が見られない。

稲毛 成志――梶原善
シェフ・パティシエ(お菓子職人)。
しずかのことを気にしてばかりいる。

大庭 金四郎――白井晃
ソムリエ。
ワインでたくさんの受賞歴があり自信もあるが、自分の意見を客に押しつけるところがあり嫌われる。

和田 一――伊藤俊人
コミ(ウェイター)。
梶原の下で働いているせいで、ギャルソンの仕事を理解していない。だが、千石は「彼は身のこなしが機敏で、いいギャルソンになる」と意外に評価されている…

畠山 秀忠(30)――田口浩正
スー・シェフ(副料理長)。
作るより食べてばかりいる。しずかが好きな様子。

佐々木 教綱――杉本隆吾
プロンジュール(皿洗い)。
しょっちゅう皿を割る…

ジュラール・デュヴィヴィエ――ジャッケー・ローロン
ガルド・マンジェ(食材係)。
元路上でアクセサリーを売っていたただのフランス人。

第4話あらすじ(ネタバレあり)

「人生とオムレツは、タイミングが大事。」
ミッシェル・サラゲッタというフランス人シェフの言葉。

ベル・エキップに新しいオーナーが誕生して一ヶ月が過ぎた。
以前と比べ、店に客が少しずつ入るようになった。

厨房は大忙しの様子。ところが、しずかの作った料理を残す客がいた。
しずかは疲れてくると味が濃くなる癖があった。すかさずギャルソンの千石が指摘する。
「一度だけなら誰でも最高の味付けができます。何度作っても同じにするのがあなたの役目です。気を抜かないように」と厳しい。

また裏では、メートル・ドテルの梶原とコミの和田がお客を気にせず、猥談しながら休憩していた。
すかさず千石がやってきて、客サービスに徹底するよう指摘し、命令を出す。

そんな状況が続き、千石に対する従業員らの不満は爆発した。
禄郎は「店のことを考えて言っているのだから」と千石の肩を持つが、従業員らは「我々が辞めるか、千石さんが辞めるかだ」と態度を固くする。
範朝は従業員たちの言い分を受け入れなければ、店は開けられないと忠告。
今夜は予約が2組入っていた。

千石は決断した。
「残念ですが、彼らの協力なしで店をやるしか手はありません」
分担については千石がシェフ、禄郎と範朝がギャルソンを、そしてバーテンダーの政子がなんとなく手伝うことになり、4人で店を開けることになった。

範朝は政子と部屋に戻り、カラーひよこの新規事業が来月から工場で稼働すると話す。
政子はうさん臭いと怪しむが、
「ひよこを扱う人間に悪い人はいない!」と範朝。

政子は禄郎とメニューの書き換えを準備していた。
雑談で、範朝の奥さんの話になる。
範朝が止める中、禄郎は奥さんが実家に帰っているのは妊娠9ヶ月だからだと暴露。
政子は牛の出産で実家に帰っていると聞いていたので驚き、失望する。
言い訳をする範朝だが、政子の怒りは収まらなかった。

ついにお客さんがやってきた。
厨房で料理に奮闘する千石、禄郎もなんとかギャルソンとソムリエ役をこなそうとする。
トランプに興じながらも成り行きが気になる従業員ら。コソコソと千石や禄郎の様子をうかがうが手伝おうとはしない。
その一方、蔵でワインを探す禄郎が見つけられないでいると、大庭は口では伝えず咳払いでワインの在り処を教えた。

二組目の客が来て、厨房の千石は大忙し。
範朝が手伝い出すが、ほとんど役に立たない。
その最中、範朝の上着から奥さんと子供の写真を見つけてしまう政子だった……

しずかが厨房を見にやって来た。千石の手際の悪さや料理の味を非難する。
千石は「何が足りないのか」とアドバイスを求めたが、「腕じゃない?」とうまいことを言われてしまい、やはり手伝ってはくれなかった。

諦めようとしない千石に、「なんでそこまでやんないといけないの? どうしてそこまで尽くすのか」と、しずかが訊いた。
千石は、理由は2つあると言った。
新オーナーがもう一度ギャルソンに戻るチャンスをくれたこと。
先代オーナーのベル・エキップを一流の店にするという夢が途中であること。
夢を叶える可能性があるから諦めないのだと。
しずかは千石の思いを知り、千石の失敗した料理を捨てると、自分で料理を作り出した。
それが嬉しくて微笑む千石だった。

しずかが手伝い出したことで従業員たちは一人また一人と厨房に戻り、手伝い出す。
「みんないい人たちですね」と禄郎。
「素晴らしい」と千石も感心する。

だが梶原は頑なで、和田の首根っこを掴み、最後まで手伝おうとしない。
千石がギャルソンに戻り、店が回る。このままだとうまくやり遂げてしまい、梶原と和田の立場がない。
禄郎は千石に頭を下げた。
「嘘でいいから、梶原さんに頭を下げてください」
「禄郎さん、あなたは実に優しい方だ。あなたのお父さんに、あなたの半分でも思いやりがあれば、私はこの店をやめなかった」

そうして、千石は梶原に頭を下げに行った。
梶原と和田は、「よし、わかった!」とギャルソンに戻った。

無事に仕事を終えることができ、いい気分で打ち上げをする従業員ら。
千石はしずかに感謝した。そして来週新メニューを一緒に考えようと提案し、しずかは受け入れた。
ベル・エキップは一流の店になるため、少しずつ動き始めた。

感想とシナリオ分析

今回は、千石の仕掛けで誰かの眠っている才能を起こさせるという展開ではなく、バラバラだったチームが一つになるという話でした。

千石も従業員たちもベル・エキップが好きです。
ただ、目指しているところが違う。
従業員たちは現状維持。今のままで幸せ。
しかし千石は一流の店にすることを目指している。

その齟齬が、ベル・エキップをもう一歩前に進めない要因でした。
そしてついに梶原が反発し、従業員たちにボイコットさせました。

それなのになぜか、あまり乗り気ではなかったしずかが反乱のリーダーになった。
彼女は「リーダー」と呼ばれることを嫌がるが皆は自然とそう呼ぶ。
千石の思いを知ったしずかが厨房に戻ると、従業員たちも戻ってきた。
彼らにとってしずかは、「リーダー」ということの表れ。

千石も騒動後、しずかを「リーダー」と呼んだ。
ベル・エキップの命運を握っているのは千石ではなく、しずかだということをここで暗に示している。
千石はメンター(賢者)で、しずかを英雄に導く存在だとわかった。
そうなるとストーリーは決まってくる。メンターの役割はどうしても悲しいラストを迎えることに……

とはいえ、ようやく目覚めたしずかが、ベル・エキップ再建と一流を目指して一歩踏み出そうとしています。
5話では、ベル・エキップにどんな困難が待ち受けているのか、楽しみです。

素晴らしかったセリフ

従業員たちがボイコットする中、しずかが厨房にやってくる。
一人でてんてこ舞いの千石をあざ笑いながら、なぜ店のためにそこまでやるのかと尋ねた。
彼はベル・エキップを一流の店にする夢があるからだと話すと、しずかは、
「言っときますけど、私はただの三流のコックですからね」
「そうです。しかしあなたには可能性がある」と千石。
「ない」と強く否定するしずか。
「ある」と譲らない千石。
「ない!」
「ある!」
「……。悪いけど、私は自分のことよーく知ってるんです」

千石は、自分の殻を破れないしずかの目を覚ませたかった、そのセリフがよかった。

「あなたは自分のことしか知らない。私は100人のシェフを知っている」