コメディ

「王様のレストラン」第2話 ネタバレ感想 | 1995年・春ドラマ

王様のレストラン

前回、フレンチレストラン『ベル・エキップ』を再建するため、初代オーナーの愛人の息子、禄郎が伝説のギャルソンの千石を口説き落とした。

突然のオーナー就任と腹違いの弟登場に驚く、総支配人の範朝。
その下で働いていたウェイターやシェフたちは、禄郎と千石を受け入れることができるのか。
たいていこういう場合は、反発が必ず起きる。
それでも禄郎と千石はこのベル・エキップを復活させたいと思えるか。
千石の手腕が試される。

店から出ないことにこだわったワンシチュエーションで、どんな事件が起こり、キャラクターの変化が生まれるのか、2話の感想と脚本を分析していきます。

「王様のレストラン」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

千石 武 (52)――松本幸四郎
初代オーナー時代のベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。初代オーナーと親友だった。
その後ギャルソンを卒業し、給食センターで働いていたが、オーナーの息子の禄郎にベル・エキップ再建を手伝ってほしいと頼まれ、引き受けるのだが…

原田 禄郎(24)――筒井道隆
パトロン(オーナー)。初代オーナーの愛人の息子、範朝の腹違いの弟。
父の遺言で突然パトロンになるが、右も左も分からず、父と一緒に働いていた千石に手伝ってほしいと頼み、ベル・エキップ再建を目指すが…

磯野 しずか――山口智子
シェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)。
初代オーナーシェフの死後、シェフに昇格したが荷が重く、別の仕事先を探している。
以前パリに住んでいた時、客として3年通い続けた有名店の「サーモンの臓物パイ」の味を見事に再現したことで、その才能を千石に高く評価される…

三条 政子(28)――鈴木京香
バルマン(バーテンダー)。
範朝の愛人で、なんとなく働いている。

水原 範朝――西村雅彦
ディレクトール(総支配人)。禄郎の腹違いの兄。
オーナーシェフだった父から引き継いだベル・エキップをすぐに傾かせた張本人。

梶原 民生(52)――小野武彦
メートル・ドテル(食堂支配人)。
予約客の名前も覚えず、料理についても不勉強で仕事にやる気が見られない。

稲毛 成志――梶原善
シェフ・パティシエ(お菓子職人)。
しずかのことを気にしてばかりいる。

大庭 金四郎――白井晃
ソムリエ。
ワインに詳しく自信もあるが、自分の意見を客に押しつけるところがあり嫌われる。

和田 一――伊藤俊人
コミ(ウェイター)。
梶原の下で働いているせいで、ギャルソンの仕事を理解していない。

畠山 秀忠(30)――田口浩正
スー・シェフ(副料理長)。
作るより食べてばかりいる。しずかが好きな様子。

佐々木 教綱――杉本隆吾
プロンジュール(皿洗い)。

ジュラール・デュヴィヴィエ――ジャッケー・ローロン
ガルド・マンジェ(食材係)。

第2話あらすじ(ネタバレあり)

「人は皆、神が作った、ギャルソンである。」
ミッシェル・サラゲッタというフランス人シェフの言葉。

「二人で、昔以上の最高の店に!」
禄郎は新しいオーナーとなり、千石もギャルソンに戻って復活への第一歩を踏み出す。

腹違いの兄弟はいがみ合うこともなく、範朝が案外あっさり父の遺志を尊重すると受け入れた。
だが千石が戻ることは渋った。なぜなら店は火の車で給料が支払えなかった。
すると禄郎が千石を個人的に雇うことで合意。千石も了承する。
「今にこの店は毎日お客で埋まるようになります」
範朝は信じられない様子。
「根拠があります。わたしが来たからです」と自信たっぷりに答える千石だった。

仕事初日。仏頂面の従業員たちを前に挨拶をする禄郎。
彼は、『3つのW』をテーマに今後店を運営していきたいと表明する。
「1つめのWは、ワッショイ……」
だが場はしらけ、退く禄郎だった…

その日は常連の奥様連中の予約があり、千石は梶原たちと共にテーブルのセッティングをする。
禄郎は派手なタキシードに着替えていた。それがオーナーの格好にふさわしいと思ったのだが……、従業員たちは苦笑い。売れない漫才師みたいだ。

梶原がメニューについて注意事項を千石に告げた。
メニューにある一部のアラカルトは、シェフのしずかが作れない。注文を受けないように、と。
承知する千石だったが、調理場の食材を確認する……

そして予約の団体客がやってきた。
オーダーを受ける千石。梶原に受けるなといわれていたアラカルトの注文を取ってしまう。
案の定しずかは作れないと文句を言った。
しかし料理に合ったワインをソムリエが出してしまい、今さらオーダーを変えることができないと千石。
「断ったら店の信用にもかかわる、材料はそろっています」と事もなげに言う。
しずかは、作ったこともない料理はできないと激怒。
だが千石は鋭い眼光で彼女を見つめ、
「あなたならできます!」
「……その潤んだ目、やめてよ!」としずか。
判断はオーナーの禄郎に任され、「よし、やってみよう」と作ることになってしまった。

その頃事務所にいた範朝は、愛人の政子にカラーひよこの新規事業の話をしていた。
彼の気持ちはすでに新規事業に向かっていて、借金を抱えたベル・エキップを禄郎に押し付ける気満々。だから突然の弟の登場は、彼にとって渡りに船だった。
政子はそれよりも範朝が妻との離婚話が進んでいないことに不満の様子。

段取りがなっておらず、自ら調理場に入り指揮をとる千石。
注文を受けた六つの料理を同時に提供するため、厨房は戦場と化す。
それに触発され、禄郎が手伝い出すのだが、畠山が作った料理を落としてしまった。
しずかたちは集中力が切れたと投げ出す。
それを止める千石。人手が必要だと、政子を呼ぼうとすると、それにしずかが反対。
「あんな尻軽女に厨房に入ってもらいたくない」

料理の提供が遅れ、話でもたせるよう頼まれたソムリエの大庭だったが限界が……
厨房では、しずかと手伝いに来た政子が険悪ムード。
「ここは私たちが命かけて働いてる場所なの。はっきり言うけど、男たらしこんで、仕事もらうような人に料理なんか作ってもらいたくないんだ」
政子は怒り心頭で、畠山が作った料理をぶちまけて出ていった。
二度も作った料理を無駄にされた畠山は怒り狂う……

だが三回も同じ料理を作ることになり、みんなの手際がよくなる。
それを満足そうに見つめる千石。
しずかも乗ってきて、「よっしゃあ!」と最後の盛りつけをした。
「素晴らしい!」という千石だった。

ところが客が大満足して帰った閉店後、しずかと梶原は範朝に抗議した。
千石がオーダーミスしたため厨房が混乱したのではなく、彼はオーダーを受ける前にあらかじめ調理場で食材を確認しわざと注文をとった。
厨房をわざと混乱させようとしたそんな人間とは仕事ができない。
千石を店に残すなら、しずかは辞めるという。
禄郎は、千石がしずかの腕を買っていると話す。
だから一度二人で話し合って、それでもダメなら誰かが辞めるしかない、と言った。

厨房にいた千石は、帰るしずかを呼び止めた。
「シェフ。今日の料理はなんですか。わたしに言わせれば70点です」と厳しい言葉。
しずかの盛り付けが気に入らなかった様子。
「あなたの悪い癖だ。料理に対するデリカシーがない」
しずかは開き直り、この仕事を続ける気はないと帰ろうとする。
「しかし味付けは完璧でした!」
と、今度は褒められて立ち止まるしずか。
実は、今日のオーダー料理は先代オーナーシェフの得意料理ばかりだった。
「よくその味を覚えましたね。見事に再現されていた」
しずかは内心驚いた。気づいた人物がいたとは……
そしてこれから多くを学び、3つ星のシェフのようにコンダクターとなって、一流のシェフへ成長してほしいとしずかに言った。
「全てはあなたの腕次第」
そういって、千石は去っていった。
しずかはその期待に応えられるかまだ不安な様子だが、もう少しやってみようという気になり、厨房に残って後片付けを始めた。

感想とシナリオ分析

千石の策略で、コース料理ではない料理を作ることになった厨房。
先代のオーナーシェフがいなくなってから初めての困難に直面し、厨房は戦場と化した。
緊張感が漂う中、売れない漫才師のような派手なタキシードを着た禄郎がうろちょろする。その緩和が笑いを誘う。
コメディーは緊張と緩和のバランスがうまくいかないと笑いが起きない。

禄郎が悪気がなく手伝って料理を落とす。そして怒る畠山。
再び畠山が作った料理を今度はしずかと政子のけんかで台無しにされ、怒る畠山。
小さな緊張と緩和を繰り返し、一体いつになったら料理ができるのかと緊張感が高まっていく。
そしてようやく完成した料理が最高だった。
カタルシス!

コメディードラマの教科書のような回でした。
3話ではどんな事件がベル・エキップで起きるのか楽しみです。

素晴らしかったセリフ

厨房にいた千石がしずかを呼び止め、はじめは彼女の盛り付けセンスをけなし、しかしそれ以上に味付けが完璧だったことを褒めた。
それでもまだ半信半疑のしずか。
彼女は料理の腕に自信が持てない。
けれど千石は彼女の腕を信じている、そのセリフ。

「わたしは見た目にはごまかされない。どんな身なりをしていても本物には本物の輝きがある」

だからしずかにはこれから多くのことを学んでもらうと宣言する千石の人心掌握術はお見事!