ラブストーリー

「101回目のプロポーズ」第9話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回、一人家で高熱を出した藤井の娘。
彼女から連絡を受けた薫は藤井の家に行った。
藤井は薫から婚約者がいると聞いて一度は諦めたのだが、家で待っていた彼女が自分に惹かれていると気づく。
薫にその婚約者(達郎)を愛しているのかと聞き、答えられない薫を引き止める。
薫は感情を抑えきれず、彼の頬を両手で包むと、二人はキスを交わした。
その裏で何も知らない達郎は着々と結婚式の準備を進めていた……
というところで終わりました。

薫と藤井はこのまま歯止めがきかずいってしまいそうな雰囲気……
再び達郎は式直前に婚約者に逃げられてしまうのでしょうか。
9話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れていたのだが、達郎から命がけのプロポーズをされ婚約。
ところが元婚約者に瓜二つの藤井と出会い、どうしようもなく惹かれていく…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
100回目のお見合いで恋をした薫に命がけのプロポーズをして受け入れられる。婚約指輪を買ったのだがその頃薫は藤井と…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子と両思いだと思っていたが、彼女は尚人に恋をしていると知り…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
尚人に恋心を寄せるが振り向いてくれず。
純平と失恋同士でたわむれているうちに…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
達郎と薫の婚約を知り、潔く負けを認めて二人の幸せを願うのだが…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
達郎の恋敵だった尚人に恋をする…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

藤井 克巳(35)――長谷川初範
達郎の上司で課長。事故死した薫の元婚約者、真壁に顔も声も生き写し。
度重なる偶然で薫と出会ううち二人はキスを交わす…

矢吹 孝夫――(小坂一也)
薫と千恵の父。印刷業を営む中小企業の社長。
達郎と薫について口喧嘩をし、薫を深く愛する彼に気付かされ、ようやく子離れをした。そして二人が婚約したことを知り再び上京する。

第9話あらすじ(ネタバレあり)

キスを交わした後、藤井の部屋から去っていく薫。
達郎は終電の時間まで待ったが薫は戻らず、婚約指輪を置いて帰る。
その顔は不安に満ちていた。
帰ってきた薫は放心した顔で千恵を避けるようにすぐ部屋に入る。
唇に触れ、涙を流す薫。その視線の先には光る婚約指輪。彼女の心は揺れている。

桃子に、「どうして行ったりなんかしたの」と呆れられる。
婚約したのに何してるのかと怒られる薫。
それは彼女もわかっているのだがどうしようもないらしい。婚約解消も考えているふうだ。
桃子は引き止めて「もっとちゃんと考えよう」という。

藤井の仕事ぶりは容赦ない。下請けを叩き、納期を短くした上でさらに安請け合いをさせるのだ。
できる男とも取れるが、非情な男にも見える。
それを見かねてた達郎が大丈夫かと藤井に訴える。今までの得意先にその態度はないだろうと……
だが藤井は得意げに、駆け引きは恋も仕事も同じだといった。
達郎は苦笑いを浮かべ、さらに藤井からピアノバーへ誘われ断れない。

薫は、達郎に告げ口をした尚人に怒っていた。
尚人は薫に謝る。でも「前の男と似てるなんて反則っぽいだろ」と笑う。
だが薫は笑い事ではない。
「本気でそっちいきそうなのか?」と尚人。
「できるわけないじゃない。……でも、このまま結婚して幸せになれると思う?」と薫。
「それでも幸せだと思う男もいる。長い時間かけて振り向いてくれる。そういう愛し方もあるからな」
そこへ千恵がやってきて知ることに。
尚人は明るく、「あらゆる選択肢は君の中に!」と薫を励ました。

薫はピアノバーへ行き、千恵と尚人が出かけようとすると、同僚に連れてこられた涼子が現れた。
おせっかいなことに涼子が好きと伝えてしまい、困る尚人。
「どこが好きなのか、レポートでも提出してよ」と嫌な男を演じ、逃げるように千恵と去る。

ピアノバーで、薫と桃子が話し込む。
桃子は、藤井を忘れて達郎と結婚するようすすめる。
だが薫の反応は芳しくない。
もしくは両方やめるって道も、とアドバイスをした……
そこへ達郎と藤井がやってきてしまった。
何も知らない達郎は「僕の婚約者です」と藤井に薫を紹介する。
絶句する藤井。それは薫も同じだった……

そして四人で飲むことになり、大はしゃぎの達郎だが、座はしらけムード。
藤井は仕掛けた。「驚いた、君の相手が薫先生だなんて」
黙って乗り切ろうとした薫も藤井の娘が自分の生徒だと達郎に伝える。
しかし肝心なことは話さず、二人で達郎を騙すことにしたようだ。
さらに桃子も加わって、二人の仲が達郎に感づかれないよう、自分が藤井を狙ってると作り話をした。
達郎は、藤井にはこのバーにやってくるご執心の女性がいる、でもその人は婚約者がいるという話をしていると、全てを知るバーテンが動揺してグラスを割った。
達郎は気づかずに続ける。
「婚約しているのにいい加減な女だ」「その男は完全にピエロだ」
薫はだんだんいたたまれなくなる……
すると藤井が口を開いた。
「君だったら? 薫先生がもし、他の男に惹かれてるとしたら?」
達郎はたっぷり間をおいて、「死にます」
その場が凍りつく……

桃子と藤井はタクシーで帰った。
「僕はそんなに昔の彼に似てますか?」と藤井。
「幻を見てるんですよ」と桃子。
「いつかは覚めると思いますか?」
「ええ。あなたが引けば」と……

達郎は薫を家まで送る。まだ彼は気づいていない。
「直してもらった指輪、サイズどうでした?」と聞く達郎。
薫はそんな大事なことも忘れていて、まだはめていないと謝る。
悲しげな達郎の顔を見て、パニックになりながら薫は謝罪し続け、マンションへ逃げ込んだ。

達郎は疑念に駆られながら帰宅すると、女の靴がある。
失恋して傷ついた涼子が純平に会いに来ていた。
ところが彼女はだいぶやけ酒を飲み、純平の部屋で眠っていた。
なぜか純平は悲しそうだ。
達郎はいまがチャンスだと弟を励ますが、涼子は「もう一度くじけずに尚人にアタックする」らしい。純平は涙を流す。

明くる日、薫の父、孝夫が達郎の会社へ突然現れた。
その頃、藤井と薫は会っていた。
「もうあなたとは会いません」と薫。
「彼と結婚するつもり? 愛してもいないのに?」と藤井。
「……」
「それで後悔はしないかい?」
薫は怒った。
「言わないでよ。あの人と同じ声でそんなこと言わないでよ!」と立ち去った。

達郎の家で、孝夫が酔っ払ってる。酒癖が悪く、達郎と純平に説教をする。そして達郎は殴られてしまう。
すると今度は泣き出す。3年前に娘は大きな心の傷を負った。もう結婚しないと思ってた。だけど達郎と結婚すると聞いてホッとしたのだ、と。
「親バカですが、あの子は本当にいい娘なんです。一つ、よろしくお願いします」
「きっと幸せにします」
と、互いに頭を下げ合い、達郎は結婚の許しを得た。

大宴会をしているところへ、薫がやってきた。
できあがってる父を見て、薫は笑顔になる。
父と薫の家に戻り、「お父さん、よっぽど嬉しかったのね」と千恵。
薫も達郎との結婚が正解なのだと確信したが、引き戻すように電話が鳴った。
藤井からだった……

涼子は諦めず、尚人にレポートを提出する。
冗談で言ったことを真に受けたのを知り、笑う尚人。
「君って変な子だね。まいったなこりゃ」

大学で、振られた者同士が話している。
尚人を好きな千恵と、涼子を好きな純平は同盟を組むことにした。

達郎は納期の間に合わない下請けの手伝いをしている。
藤井にはこっちは管理者なんだからそんなことやるなと注意された。
しかし達郎は重い荷物運びを手伝う。彼はそういう誠実な男なのだ。

その頃、藤井は薫と会っていた。
そして二人で教会へ向かう。

仕事中の達郎のもとへ、桃子が慌ててやってきた。
薫が他の人に惹かれてるって話は勘違いじゃない、と。
しかし達郎は動かない。
「僕は薫さんを信じてますから」
だが、薫の元婚約者の真壁の写真を見せられて驚いた。藤井と真壁は瓜二つだった。
「現実から目をそらしちゃダメよ」と桃子。
「でも僕は……」と逃げ腰。
「腕尽くでもいいから取り戻してきなさいよ。薫、藤井さんと教会へ行くって。真壁さんと結婚するはずだった」
崩れ落ちる達郎だった……
だが立ち上がり、教会へ走って向かった。

教会に着いた薫と藤井。
3年前の話をする薫。とても幸せだった。
けれど藤井は真壁ではない。彼の代わりにはなれない。

達郎も教会に到着した。中から彼らの声が聞こえる。
藤井はどうして奥さんと別れたのかと尋ねる薫。
「神様だって組み合わせを間違える」とあいまいな言葉ではぐらかす。

達郎が教会の中を覗いた。
藤井は薫に思いを伝えた。
「君を食い止めるつもりでここへ来た。結婚して欲しい!」
「!……」
薫は達郎が覗いていることに気づく。
二人は目が合うが、達郎は悲しそうな顔をするだけだった……

感想とシナリオ分析

とてもスリリングな展開でした。
まずは達郎の上司が藤井だったということを、薫が知ることになりました。
そこで藤井も部下の婚約者を好きになり、キスをしてしまったと気づきます。
何も知らない達郎は本当に哀れでした。
見ているこちらはとても胸が痛くなります。

しかし視聴者のほとんどが、達郎を応援する結果になったと思います。
共感性ばっちりの展開が作れました。
ずんぐりむっくりしたおじさんのラブストーリーなんて感情移入しづらいと思ってた人が大多数だったでしょう。
でも、キャラクター、構成次第でいかようにも感情移入ができるんです。

薫の父親のシーンはとてもよかったですね。
ラブストーリーで、ヒロインの父親が出ることは多々あります。
そしてとてもいい後押しをしてくれるのが常です。
薫も達郎との結婚にもう一度なびきました。
それでも薫は藤井のところへ行ってしまった。

ついに、達郎も真実を知りました。
真実が知りたくなくて逃げそうになりましたが、今回は引き止めに教会へ向かった。
達郎の成長と変化が見られます。
しかし運命は残酷で、彼の目の前で藤井は薫にプロポーズをしたのでした。
薫はどんな判断をするのでしょうか。10話の展開がとても気になります。

素晴らしかったセリフ

薫は、達郎と藤井の間で心が揺れ動いていた。
誰もが達郎と薫の結婚を願っている。
それをわかっていても藤井に惹かれるのは、やはり真壁のことがよぎるからだった。
藤井と真壁が重なって見えてしまう。
まだ好きなのは3年前の婚約者で、藤井ではない。
彼女は過去に振り回される自分から変わろうとした。
だから、真壁が現れなかった教会に、藤井を薫は連れてきたのだ。

「ここに来たのはあなたを忘れるためなの。だってあなたは彼じゃないもの。彼ならここにいるはずないもの。そうでしょ?」