ラブストーリー

「101回目のプロポーズ」第7話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回、「好きです」といわれた達郎は薫に呼び出されるのだが、結婚はできないと改めて断られる。
理由は、やはり事故死した元婚約者の真壁を思い出してしまうからだった。
好きになった人をまた失うのが怖い、そのせいで彼女は一歩を踏み出せないとわかった達郎は、突然道路へ飛び出した。
間一髪、トラックは達郎の目の前で止まる。そして彼は振り返り、
「あなたが好きだから僕は死にません。僕が幸せにしますから」
と、涙ながらに訴えた。すると薫は、
「あたしを幸せにして下さい」
と、達郎の命がけのプロポーズを受け入れた。

とても感動的なシーンでした。すべてがうまくいった!
……ように見えますが、達郎の問題は本当に解決できているのでしょうか?
前々回、人は変わることはできないといった彼は本質的に何か変われたか?
残念ながら、その問題はまだ未解決です。

お話も、全12話のど真ん中。脚本術的にいうと、ミッドポイントという場面です。
ミッドポイントには、主人公に仮のゴール(偽りの勝利)を見せる、というのが一般的です。
ということは、ここから本当のドラマ(登場人物たちの内面に関するドラマ)が始まりそうです。
おそらく達郎が変わらなかった代償が、度重なる問題となって襲いかかるのでしょう。
それは薫にもいえることで……
さあ二人はどうなるのか、7話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れている。
だが達郎から命がけのプロポーズをされ婚約する。そんな彼女の前に、元婚約者そっくりの男が現れ…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
100回目のお見合いで恋をした薫に命がけのプロポーズをして受け入れられる。幸せの絶頂を迎えるのだが薫の様子がおかしく…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子に恋をし、ついに電話番号をゲット。しかし二人の仲はどうもちぐはぐで…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
姉を好きな尚人に恋心を寄せる。
尚人はプロポーズに失敗しても姉のことが好きで、そんな彼をまだ追いかけるのだが…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
薫にプロポーズをしたが断られる…。その後、達郎と薫の婚約を知り…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
達郎が婚約したことを知って祝福するのだが…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

藤井 克巳(35)――長谷川初範
達郎の上司で課長。事故死した薫の元婚約者、真壁に顔も声も生き写し。
度重なる偶然で薫と出会う…

第7話あらすじ(ネタバレあり)

薫は達郎に「あたしを幸せにして下さい」と言った――
達郎は彼女と結婚すると弟に伝える。純平は夢を見たんじゃないかと信じられない。
「純平、もしかすると夢かもしれないな。でも夢なら覚めないでほしいんだ。今度だけ」と夢見心地の達郎。
そして自分に乾杯をした。
「達郎。結婚おめでとう」と……

薫から達郎と結婚すると聞いて、千恵も驚いた。
千恵は二人の結婚に賛成。達郎を愛しているんだ?と聞くと、薫は即答できない。何か引っかかったような表情をし、愛してる……と疑問を抱くのだった。

涼子や部下の渋谷たちに100回目のプロポーズを披露して浮かれる達郎。
薫をびっくりさせるためにピアノのレッスンは続けると涼子に頼む。
『別れの曲』を習っていると聞いて、渋谷が「縁起悪いな」というと、「関係ないね」と余裕の達郎だが……

薫が尚人に婚約したことを伝えづらい中、千恵が尚人に伝えてしまう。
その夜、尚人は薫を公園に呼び出した。

結婚式の練習をする達郎と純平。
二人で浮かれている。
だが達郎は金がないのがネックだ。式や新婚旅行もさることながら、婚約指輪を買う金もない。
すると純平は子供の頃から貯めていた貯金通帳を達郎に渡す。
美しい兄弟愛に達郎は涙。そして薫に連絡するのだが……

薫は家にいなかった。
尚人と会っているという千恵。
少し焦る達郎。純平も心配する。
だが達郎はいつもの調子で、「薫を信じている」と言って動かない。

薫と尚人は海岸通りを車で走り、ホテルへ入った。そして薫をベッドに押し倒した……
身体をよじって尚人のキスから逃れる薫。
尚人はついに諦めた。
尚人「どこに惚れたんだ?」
薫「よくわからない」
尚人「愛してないのか?」
薫「好きよ。一緒にいると楽しいしホッとするし」
尚人「……薫らしくない言い方だな」
薫「人を好きになって燃え上がるような情熱は3年前の事故と一緒に失ったの」
でも尚人とホテルへ入ってそれを確かめたのだ。その結果、達郎を選んだという薫。
尚人「俺は欲しがるだけで与えようとしなかったんだ。少なくともあのおっさんは薫に与え続けた。それが薫に届いた。悔しいけど俺の負けだ」
そして尚人は薫のリクエストの『愛の挨拶』をヴァイオリンで弾き、「薫、幸せにな」と言った。

早朝、薫が戻ると達郎は家の前で待っていた。
何もなかったと聞いて安堵する達郎。
そして薫は「日曜一緒に行ってほしいところがある」と達郎と約束する。

日曜は涼子とピアノのレッスンの約束だったが達郎は行ってしまい、純平と涼子が一緒に過ごすことになった。
そこで突然涼子が「私も好きだったみたい」という。
純平は自分のことだと思い、喜んでいたのだが、その相手は達郎だと知り、呆然となる。

薫が達郎と一緒に行きたかった場所は、3年前に事故死した元婚約者の真壁の墓参りだった。
薫は達郎との結婚を彼に報告した。
そして二人は買い物へ行き、婚約指輪を見る。
幸せすぎる達郎。その帰り、彼らカップルを不思議そうに振り返る人を見て、達郎はいつものネガティブ発言をもらす。
薫はそれが気に入らない……。すぐに達郎は反省し、いったん二人は解散することに。

タクシーを拾おうと歩いていた薫はある人物とぶつかる。
振り返り、その人物を見て衝撃が走った。
その人は恐ろしいほど真壁にそっくりだったのだ……
薫は去っていくその人の背中をいつまでも見つめて涙を流した。

薫は桃子に「ほんと信じられないくらい似てたの」と興奮して打ち明ける。
生き返ったのよという彼女に、桃子は叱りつける。
「真壁さんはもういないの。3年前の事故で死んじゃったの」

桃子は、達郎と薫の婚約パーティーを開いた。
参加者は純平と涼子、千恵と桃子がいる。
そこへ尚人が現れて、一触即発の雰囲気……
ところが「薫をよろしくお願いします」と握手を求めた。
尚人とがっちり握手する達郎だった。
これでもう不安はないと思ったのだが……

達郎の部署に、藤井というと男が赴任してきた。
達郎がなるはずだった課長になるという。
達郎は知らないが、彼は薫とぶつかった真壁そっくりのその人だった……

達郎と藤井はピアノバーへ行く。
達郎は「もうすぐ結婚するんです」と報告する。
藤井は聞いているのか聞いていないのか感じが悪い。
藤井にいやいや付き合っていた達郎が時間を気にしていると、帰っていいと言われ退席。
すると入れ違いに薫がピアノバーへやってきた。

バーカウンターにいる藤井と目が合い、息ができない薫。
藤井は先日道でぶつかったことを覚えていて、積極的に薫に話しかけてくる。
連れが来るといって断るのだが、来るまで少し話したいと言われ心が揺れる。
その声さえ真壁にそっくりで藤井に釘付けになってしまう薫だった。
「誰かに似てます?」
「ええ。とても……」
藤井は3年前に離婚して、娘を引き取っていると話す。
「あなた結婚は? そういう予定は?」
答えない薫だった……

その頃、ピアノを練習する哀れな達郎……

感想とシナリオ分析

たった一人の強力な人物(藤井)の登場で、彼らが抱え続けていた欠点、問題が再び浮かび上がり、引き戻されてしまいそうです。

やはり問題を抱えたままでは偽りの幸せしか手にできません。
視聴者は彼らの幸せを願うと同時に、登場人物たちの問題が解決され、本当に必要な何かを手に入れてほしいと思っています。

薫はこのまま過去にとらわれ続け、変わることができないのか。
達郎は振られる不安や恐怖(トラウマ)に打ち勝ち、再び薫の心を取り戻せるのか。

これから次々と彼らを深くむしばむ内なる悪者たちが登場するでしょう。
それに耐え、立ち向かった先に、彼らが本当に欲しかったものに気づくのですが、いったいどうなることやら……
薫が藤井に惹かれているのがよくわかる締めくくりでした。8話の展開が気になります。

素晴らしかったセリフ

薫は達郎を連れて、真壁の墓参りをした。
そして結婚の報告をした薫に、
「この人もきっとわかってくださると思うんです」と達郎は言う。
「僕はなんの取り柄もない男です。でもあなたを思う気持ちはこの人に勝てないまでも負けません。あなたはこれからもこの人のことを思い続けるでしょう」
「いや……」と否定する彼女の言葉を遮り、
「いいんです。いいんです。いいんです」

「この人のことを思い続けるあなたごと、僕は抱きしめるつもりです。手、短いですけど」

「そして僕はこの人に嫉妬し続けるでしょう。でもだからこそ、結婚したあともあなたのこと、もっともっと好きになるように努力します」