ラブストーリー

「101回目のプロポーズ」第6話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回のデート中、達郎は、「人はなかなか変われないんじゃないですか」と薫に言った。
彼女はそれが引っかかる。
達郎は誠実で、自分を愛してくれるとてもいい人だが今一歩踏み出せない。
それは彼の外見ではなく、中身が問題だと気づいた。
そこが変われない限り、おそらく薫が達郎を愛することはないだろう。
彼はがんばれるのか、がんばれないのか。
そんな思いの裏返しから、「人は変われる。変われるのよ」と達郎に伝えた。
その言葉は、彼に響いた様子だったが、達郎は具体的にどう変わるのか、どう変わろうとするのか、6話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れている。
そんなとき、お見合いで達郎と出会い、何度断ってもしつこく求愛されて困るのだが次第に…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
これまで99回もお見合いし全部断られている。夢などもなく、結婚することだけが人生の目標になっている。
100回目のお見合いで恋をした薫に何度も振られてしまうのだが、どうしても諦めきれない…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子に恋をし、ついに電話番号をゲット。しかし二人の仲はどうもちぐはぐ…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
姉を好きな尚人に恋心を寄せる。
尚人はプロポーズに失敗しても姉のことが好きで、そんな彼をまだ追いかけるのだが…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
薫にプロポーズをし、達郎の恋のライバルとなる。
達郎が薫の実家まで迎えに行ったことを知り少し焦る…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
度々、星野家に訪れるわけは…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

第6話あらすじ(ネタバレあり)

薫の昨夜の言葉が響いた達郎は、部下の渋谷に宣言する。
「人は生まれ変われると思うか。俺は変わるぞ。変わってみせるぞ」

薫から達郎の話を聞いた桃子は、どうやら彼女が達郎を好きなのだと思う。
なぜなら昔から彼女は、好きな人の前だと泣いたり、怒ったりするからだ。
だが薫は恋愛感情とは別物だという。
「第一、誰かを好きになるってことは、誰かを忘れるってことになるのよ」

薫と千恵は姉妹喧嘩をしていた。
尚人に告白した千恵は失敗し、姉に当たる。彼女は一人暮らしを考えているようだ。
反対する姉。

達郎はどう変わればいいのか迷っていた。
渋谷や涼子に相談し、薫の元婚約者がピアニストだったことから、ピアノ経験者の涼子にピアノを習うことにする。
「この歳で変わるったって何をどうやればいいかわからない。君も馬鹿げてると思うだろうけど、少しでも前の人に近づきたいんだよね」と達郎。すると涼子は言った。
「係長。なにかやろうと思ったときから人はもう変われたんだと思います」

そして達郎は桃子の楽器店へ、ピアノの教則本を買いに行く。
そこで桃子から恋のアドバイスをもらった。
「ここらで引いてみたら? 今まで押しの一手だったから」
しかし恋の駆け引きなどできないと一蹴する達郎。
そこで桃子は思いつく。
「薫は結婚できない体なんです。妊娠してるんです」と嘘をついた。
絶望的な表情になる達郎。
桃子はそういう話を私から聞いたってことにして連絡を控えてみたらと引く方法を伝授したつもりが、お会計で顔を上げたときにはもう達郎の姿はなかった。
彼は本気にしたまま薫にも気づかず車で走り去る。

純平は元気のない千恵に気づいて話しかける。
兄がまた元気がない。どうしてと尋ねる千恵に純平は呆れた。
「お前の姉ちゃんもよくやるよな。結婚詐欺だぜ。腹ん中に他人のガキがいるのによ。兄貴かわいそうによー、あれから毎晩酒かっくらって毎日朝帰り」
千恵は絶句する。

朝帰りの達郎は寝ていた。そこへピアノが届く。
そして涼子がやってきた。ピアノを教えに来たのだ。
純平は驚く。他人の子を身ごもっている薫にまだ気があるのかと。
達郎はそれを知る前に涼子に頼んだことだと話す。
そして達郎はどこかへ行こうとする。昼間から飲みに行くつもりかとフラフラして歩く兄を怒る純平。

千恵も薫が妊娠してると思い、喧嘩をやめて姉をいたわる。
「相手は誰なの?」
わけがわからない薫。
そして桃子が嘘を言いふらしたと気がついた。
「星野さんから連絡ないからおかしいなって思ったら……」と口走ると、桃子は作戦が成功したと喜ぶ。
薫は連絡がなくてどう思ったのか。しかし薫はどうでもいいといった口ぶり。
「ならよかったじゃない。これでもう会うこともないんだから永遠に」と桃子。
言葉を失う薫だった。

薫は星野家に電話をすると純平が出た。
達郎は毎晩やけ酒をかっくらっている。もううちに電話をするなと言われてしまった。
ピアノバーへ達郎を探しに行くが最近来ていないという。
千恵は、弟経由で誤解を解いてあげようかというが、薫は「そんな必要ない」と強がる。

深夜、フラフラで帰ってくる達郎。
ピアノを練習していると、電話が鳴る。だがすぐに切れる。
何かを思う達郎……

翌日、居眠りで事故を起こしそうになる達郎。
薫が達郎の会社へやってくる。
そして涼子に誤解だと話をした。
すると達郎も毎晩やけ酒を飲み歩いているわけではないらしいと伝える。
達郎は下請けに頼み、現場で朝方まで毎晩働いているのだという。

薫は向かった。
達郎は、赤ちゃんを育てるからお金がたくさんかかる、そう思い働いていた。
工事現場で働く達郎の姿を見つめる薫。
見つかり、苦笑いの達郎。
「現場の苦労がわかっていい勉強になります。それより、ダメですよ。夜は冷えますから」
優しい言葉をかけると、薫は思わず笑う。
「まいっちゃうな。星野さん、他人の子でも育てる気なんですか」
「そんなの当たり前じゃないですか。薫さんの子供だもん」
「バカだわ、あなた」と涙する薫。
そしてようやく達郎が嘘を真に受けていると伝えた。涙が止まらない薫。
「そうだと思ったんだよ……。嘘だったんだ」と、安堵する達郎。
そして薫は達郎をじっと見つめ、
「星野さん…。これは本当のことです。わたし、わたし、あなたのことが好きです」
「……」
「好きです」
達郎は呆然として何も答えられなかった。

薫は帰宅し、クローゼットにあるウェディングドレスを見つめた。
あの忌まわしい記憶がよみがえる……
今度こそ大丈夫だろうかといった不安な顔をする。

純平と千恵が会い、薫が好きって言ったようだと盛り上がる。
「結婚か?」と純平。
「それはどうかな。真壁さんのことがあるから」と渋い顔の千恵。
達郎は今どうしてるのかと聞き、ピアノのレッスンを涼子に習っていると話す。
涼子は自分の彼女だという純平に、本当なのかと疑う。
「あんたたち似てないようで似てるからさ」
千恵は純平のことがよくわかっている。

ピアノを習う達郎は、『別れの曲』を弾きたい。
別れの曲は、真壁がよく弾いてた曲。
薫は達郎が好きだが、結婚には躊躇している。
桃子に「怖いの」と言った。

薫は達郎を呼び出した。
だがどうも様子がおかしい。
達郎は嫌な予感がする。薫は正直に語り始めた。
好きだと言ったが、すぐに結婚という気持ちにはなれない。
落ち込む達郎。
やはり真壁のことを思い出してしまう薫。
教会で待っていたのに彼は来なかった。好きになった人をまた失うのが怖いと話すと、達郎は突然道路へ飛び出す。
間一髪、トラックは達郎の前で止まった。
そして薫に愛を叫ぶ。
互いに泣きながら幸せになろうと誓うのだった。

感想とシナリオ分析

第6話はストーリーの折り返し地点になります。
脚本的に、中盤のど真ん中は、主人公たちの『仮の成功』を見せるという技を使います。
ラブストーリーですと、障害を乗り越えて二人が結ばれることになります。
その通りの結果に、名シーン、名ゼリフと共になりました。

この仮の成功を加速させたのは、薫をよく知る親友、桃子の嘘でした。
行きずりの男の子供を薫が妊娠したと信じ込んだ達郎は、毎晩飲み歩き、やけ酒をしてるのかと思いきや、子供を育てるお金を稼ぐため朝まで働いていました。
誤解や勘違いから、人の本性が浮き彫りになるものです。

やはり、達郎は誠実で心から薫を愛していたのだとわかりました。
それに胸打たれて、薫はついに達郎が好きだと伝えました。

しかし彼女は新たな不安がある。
また誰かを失うのではないかという、あの忌まわしい記憶。
それを払拭するためにとった達郎の行動は、彼らしいキャラクターが導き出したシーンだと思います。
そして何十年も語り継がれる名ゼリフが生まれた。

あまりにも名シーンなので忘れがちですが、前回薫が言及した、達郎に変わってほしいという要求は何一つ解決されていません。
達郎は変わっていない。
変わっていないまま、本当に二人は結婚するのでしょうか。
どうも不安が残ります。7話で何もないといいのですが……。そうはいきませんよね笑
なぜならこれは、『仮の成功』ですから。
脚本家の腕の見せ所は二幕の後半からです。7話に期待しましょう。

素晴らしかったセリフ

問答無用にこのセリフでしょう。
何十年も語り継がれ、これから先も語り継がれるであろう名ゼリフです。

結婚は怖いと語る薫。
「また人を好きになって、とても好きになって、それでまた失うの怖いの。怖いんです。ねえ怖いの……」
それを後ろで聞いていた達郎は、突然道路に飛び出します。
そしてトラックがやってきた。
間一髪、彼の前で急ブレーキがかかり止まる。
驚いている薫に達郎は泣きながら愛を叫んだ。

「僕は死にません。僕は死にましぇん。あなたが好きだから僕は死にましぇん。僕が幸せにしますから!」