ラブストーリー

「101回目のプロポーズ」第5話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回、薫を追って彼女の故郷へ訪れた達郎。
「不思議ね、なんとなくあなたが来てくれるような気がした」と薫。
1%も望みはないと言われていたのだが、その望みが出てきたところで終わりました。

静かにだがようやく二人の恋が動きそうな気配。
だがすんなり達郎がうまくいくとは思えない。
そもそも視聴者は二人がラブラブでイチャイチャするところを見たいわけではない。
倒れても倒れても立ち上がるボクサーのような達郎を見ていたい。
今回どんなパンチが達郎に飛んできたのか、5話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れている。
そんなとき、お見合いで達郎と出会い、何度断ってもしつこく求愛されて困るのだが次第に…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
これまで99回もお見合いし全部断られている。夢などもなく、結婚することだけが人生の目標になっている。
100回目のお見合いで恋をした薫に何度も振られてしまうのだが、どうしても諦めきれない…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子に恋をし、ついに電話番号をゲット。しかし二人の仲はどうもちぐはぐ…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
姉を好きな尚人に恋心を寄せる。
尚人はプロポーズに失敗しても姉のことが好きで、そんな彼をまだ追いかけるのだが…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
薫にプロポーズをし、達郎の恋のライバルとなる。
達郎が薫の実家まで迎えに行ったことを知り少し焦る…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
度々、星野家に訪れるわけは…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

裕太――(山崎裕太)
薫のピアノ教室の生徒。
両親が離婚しそうで元気がない。

裕太の母――(一柳みる)
離婚問題に揺れ、裕太の面倒を見られていない。
親権がかかっているときに余計なことをした薫に怒りをぶつける。

第5話あらすじ(ネタバレあり)

すっかり元気を取り戻した達郎。
薫も東京へ戻り、ピアノ教室を教えていた。
だが教え子の裕太が気になる薫。
裕太の家庭は離婚するしないで揉めているのだと桃子から聞く。
お金があっても愛のない結婚、そういう男を選んだ女の末路はこんなものだと彼女は言う。
薫はその言葉が少し引っかかった。
「愛のない結婚か……」

その後、達郎は薫と会っていなかった。
純平に今が押しどきだ、デートを誘え、と急かされ、達郎は電話をする。
その頃、薫の家に尚人がいた。真壁のことが少し吹っ切れたと聞き、嬉しい尚人。
千恵に多少俺にもチャンスが出てきたのではないかと尋ね、千恵は知らないと答えた。

電話を受け取った薫。
だが緊張してなかなか誘えない達郎。
しびれを切らし、「優柔不断の人って大嫌いです。デートの誘いですか?」と聞く。
「はい」と情けなく答える達郎。そしてデートの了承を得た。

デート当日。午前中はピアノの発表会があった。
気になっていた生徒の裕太のお母さんは来ない。
薫はますます裕太が気になり……

ピンクのセーターを肩からかけ、ずんぐりむっくりの達郎が原宿で待っていると、薫がやってきた。
その後ろに裕太がいる。
「この子もいいでしょうか」と言われ断れず、裕太が遊園地デートについてきた。
薫と裕太が乗り物で、待ちぼうけをくらう達郎。うらやましそうに睨んでしまう。

薫は観覧車を見て、高所恐怖症の真壁を思い出した。
少し吹っ切れたと言っていたが、また涙を流してしまう。
その頃、達郎は薫と二人きりになりたくて、裕太を買収。そして観覧車を乗ることになった。
やたらと薫と距離が近くて緊張する達郎。
ようやく地上につき、ホッとする。達郎も実は高所恐怖症だったのだ。薫は笑った。
その後は家族のように三人で遊園地を楽しむ。

一方、千恵は尚人を誘ってデートをしていた。
すっかり夜になり、そろそろ薫が帰ってるのではないかと尚人が気にすると、千恵は姉は達郎とデート中だと口を尖らせて言う。
表情が一変する尚人。なぜ黙っていたのかと千恵を責めた。
「諦めなよ。お姉ちゃんは尚人と結婚する気なんてない。弟みたいなもんだって言ってたもん」と肩を落とす千恵。
すると尚人は怒って帰ろうとした。しかし千恵はその背中に向かって、
「私だって妹なんかじゃない。私だって尚人が好きなんだから」と告白。
尚人はひどく動揺し、「ごめん」と謝り去っていく。

達郎の家では、涼子が純平のために料理を作っていた。
純平は涼子が積極的だなと思っていると、
「係長みたいな人好きだなぁ」としみじみ語る涼子。
純平は気づかず、やけどした手を涼子にフーフーされてニヤニヤしている。

薫と達郎のデートも終盤。食事を終えてそろそろ帰ろうというとき、薫は達郎の幼少期の話を聞き、諦める癖がそのとき染みついてしまったと知る。
それに対し、変わろうと思わないのかと尋ねた。
「人間ってなかなか変われないんじゃないですかねぇ」と答えてしまう達郎。
それに少しがっかりする薫だった。

薫に促され、裕太は母親に電話を掛けるもつながらない。
裕太が戻ってこないことに気づいた薫が探していると、裕太は万引きをして捕まる。
そこへ裕太の母親が駆けつけた。裕太を叱り、薫にも親権裁判をしているときに余計なことをしたと怒りをぶつける。
薫は謝り倒すが、達郎が謝ることはないと割って入る。
「この子は物が欲しくて盗んだわけじゃない。親に愛してほしいというSOSなんじゃないか」
だが母親には響かなかった様子で去っていく。

達郎はまた余計なことを言ってしまったと後悔し、翌日ピアノ教室を訪れる。
そこに母親がいて、裕太の演奏を聞いていた。
それを見て安心する達郎。
その夜、薫とディナーへ行くことになった。
ところがその場所に、以前、式直前に逃げられた花嫁を発見する……

駐車場を出たところで、達郎はその女性に声をかけられる。女性はすでに結婚をしていて夫も一緒だ。
まだ独身だと話してヘラヘラと笑う達郎。背後で薫が見ていてイライラしている。
ついに彼女の夫にも笑い者にされ、薫が見ていられずやってきた。
「今お付き合いさせていただいてます」
恋人のふりをする薫。
案の定、相手は驚きおののいた。そんな様子を見て、達郎は意を決して尋ねた。どうして結婚式に現れなかったのかと。
「星野さんと結婚しても幸せになれたと思います。でも将来が平凡に見えてしまって。怖くなったんです…」
そう達郎の元婚約者は言って、別れた。
達郎が情けない顔をしていると、薫はひどく怒った表情をした。

「あんなふうに言われて悔しくないんですか?」と涙を流す薫。
彼女は達郎の良さを知っているから悔しかったと伝える。
「星野さんの夢ってなんですか?」
きっと平凡ではない未来が彼にもあるはずだと期待したが、答えられない達郎だった……

感想とシナリオ分析

ようやく恋が動きそうな二人の間に割って入ったのが、裕太というピアノ教室の生徒でした。
正直、盛り上がりに欠ける回ではあった気がしますが、達郎のダメな部分が顔を出し、今後に不安を残す展開となりました。
連ドラの場合、どこかで弾を仕込む回は必ず必要になります。それがこの回なのだと感じました。

ドラマとは、主人公の変化を見る話、といっても過言ではありません。
ラブストーリーは、出会い、蜜月、別れ、再確認。
という軌道をたどるのが通常です。二人の結果に期待はするけど、驚きはないと思います。
驚きや感動するのは、やはり主人公が本物の愛を知り、どう変化したのか、それが理解できたときにそのドラマは面白いと思えるのです。

達郎は薫に恋しているのはわかります。頑張っているのもわかりますが、彼はまだ以前の情けない彼となんら変わっていません。
達郎の最大の欠点は、諦め癖。
それは幼少期の失敗体験、運の悪さや間の悪さをいつまでも引きずっているためだと彼自身分析しています。
そのせいか式直前に花嫁に逃げられるという壮絶な体験をし、その女性と再会して、バカにされても彼は感情をみせない。そんなものかと諦めてしまう。

薫はそんな彼の場面を何度も見てきたし、聞いてきた。
だけど自分に対しては何度もチャレンジする彼を知っている。
達郎は変化できる、変われる人なのに、なぜか変わろうとしない。
それが歯がゆいし、もう一歩彼の元へ入れない原因でもあると薫は気づきました。
彼女が誰かを愛するときに何を一番大事にしているのかがわかりました。

恋の障壁は、もはや達郎の外見、ライバルなどが問題ではなく、達郎自身の問題になりました。
これからどう彼は変われるのか。

だから薫は将来の夢はないのかと達郎に尋ねた。
夢はその人の生きる意欲を見るバロメーター。彼女はそれを一番大事にしている。

吉田松陰の言葉にあります。
『夢なき者に理想なし
 理想なき者に計画なし
 計画なき者に実行なし
 実行なき者に成功なし
 故に、夢なき者に成功なし』

薫の問いに答えられない達郎。
彼は失敗を恐れて夢を持つことを放棄している。
彼が変化をできるときは、夢を持ち、成功に向けて前へ突き進むシーン。
そんな場面が今後やってくるのでしょうか。6話に期待をしましょう。

素晴らしかったセリフ

達郎は初めてお見合いした相手に、式直前逃げられてしまった。
その後、99回お見合いを失敗。自分の何がダメだったのか参考程度に聞きたいと言うと、その女性は答えた。
あのまま達郎といれば幸せになれただろう。しかしその未来が見え透いてしまって逆に怖くなった。
つまらない平凡な男だと自覚してる達郎は妙に納得してしまう。

だが、達郎によって様々な体験をした薫はそう思わなかった。
だから達郎に夢が何なのかと尋ねた。
達郎は答えられない。諦めてばかりの人生。それに加え、正直で真面目な彼は口からでまかせができない。
そんな彼に薫は言う。

「女は時には嘘でも夢をみたいの。あなたは人は変わらないといったわ。そんなことは絶対ない。人は変われる。変われるのよ」