ラブストーリー

「101回目のプロポーズ」第4話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回、達郎は薫に「そんなに結婚したいの? だったらしてあげる。その代わり一つだけお願いがあるの。あの人ともう一度会わせて」と泣かれてしまった。
究極の無理難題を突きつけられた達郎はその後どうするのか、気になるところです。

今は一見、二人の関係は絶望的に見える。
だが一方で、視聴者の私たちにはなんだか二人の恋がようやく動きそうな予感がしなくはない。

恋愛は人の最高の部分と最低の部分を引き出す。
薫が怒りに任せて本音をぶつけた今、さらなる達郎の度量が試される。
ストーリーはどんな展開になるのか、4話の感想と脚本を分析していきます。

本気で恋をして、無謀なまでに一途な純情と、真面目しか取り柄のない達郎の行動に注目しながら、3話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れている。
そんなとき、お見合いで達郎と出会い、何度断ってもしつこく求愛されて困るのだが次第に…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
これまで99回もお見合いし全部断られている。夢などもなく、結婚することだけが人生の目標になっている。
ついに100回目のお見合い、その相手は薫。何度も薫に振られてしまうのだが、どうしても諦めきれない…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子に恋をし、ついに電話番号をゲット。しかし二人の仲はどうもちぐはぐ…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
姉を好きな尚人に恋心を寄せる。だが尚人は薫にプロポーズをし…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
薫にプロポーズをし、達郎の恋のライバルとなる。

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
度々、星野家に訪れるわけは…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

矢吹 孝夫――(小坂一也)
薫と千恵の父。印刷業を営む中小企業の社長。
いつまでも結婚をしない薫を浜松へ連れて帰ろうとする。
ところが薫の見合い相手の達郎と話すうちに…

第4話あらすじ(ネタバレあり)

「課長になれなかったのは残念ですけど、係長は人間としては、専務クラスのことしたんですから」
と、部下の渋谷は、元気のない達郎を慰める。
元気がないのは昇進できなかったことではなく、昨夜の薫のことで頭がいっぱいだったからだ。
そんな彼の手には鍵のついたキーホルダーが…。薫が落とした物だった。

達郎は涼子に、女性は昔の恋人のことが忘れらないものなのかと尋ねた。
すると彼女は達郎をまっすぐ見つめ、
「大丈夫ですよ。係長のことを好きになれば、きっとその人のこと忘れられます」と励ます。
達郎自身も諦めていないが、周りも応援してくれるので諦めがなかなかつかない。

その夜、達郎は薫が落とした鍵を返しにやってきた。
薫は不在で、千恵が家に彼を迎え入れる。
「星野さんもお姉ちゃんの過去をついに知ったか。亡くなった人には勝てないですね」と言われ、苦笑いを浮かべるしかない達郎。
すると急に晩ごはんの買い物をしたいからと留守番を頼まれる。そして、
「最後の晩餐にしましょう」と千恵に明るく言われ、崩れ落ちる達郎だった。

留守番中、チャイムが鳴り、達郎が出る。
初老男性が訪問し、互いに驚く。
達郎はしつこい新聞の勧誘のおじさんだと思い、「いらないって言ってるでしょ」とドアを閉めた。
だが閉める間際、「私、父親です!」と聞こえ、絶望的な顔で扉を開ける達郎…
そこへ薫が帰宅。明日来るはずの父親の孝夫が一日繰り上げて東京へ来たのだった。

薫と千恵に怒っている孝夫。
「なんだ、あのへんな男」と達郎に悪印象を抱く。
「私はね、あんな妙ちきりんな男と付き合わせるためにお前たちを大きくしたわけじゃないんだ!」と怒鳴った。

達郎は自分の人生を呪った。
「間が悪いんだよなあ。人の悪口なんてめったに叩かないのに、珍しく人の悪口言ってると、その人物が真後ろにいたりするんだよ。中学の時だってそうだ。珍しく体調悪くて、体育の時間サボって教室にいるときにかぎって給食袋が消えるようになってるんだ。そして俺が疑われるんだ」
呆れて聞いてる純平。話を変え、薫の元婚約者の話について尋ねた。兄はそれを聞いたときどう思ったのかと。
「薫さんには幸せになってほしいなって。幸せにしてあげたいなって」と語る達郎。
弟はそれを聞いて嬉しかった。そんな兄のためになにかできないかと考える純平だった。

父の孝夫は薫に、実家に帰ってこいと言う。
音楽なんてやってるからいつまでも彼のことが忘れられないんじゃないのか、と。
今回来たのはお前を連れて帰るため、といわれ驚く薫。

翌日、千恵と落語の寄せへいくはずが、断られた孝夫。
席につくと、隣に達郎がいる。
実は昨夜純平が千恵に頼み込み、仕組んだことだった。
寄せが終わると、二人は蕎麦屋へ行った。

孝夫ははっきりと薫の結婚相手に達郎はふさわしくないと拒絶、今回薫を浜松に連れて帰るつもりだと話す。
理由は、親の責任として、いつまでもフラフラさせておくわけにはいかないと言うのだ。
それを聞いた達郎は薫をかばった。
「薫さんはフラフラなんかしてませんよ」
大好きな人に先立たれ、その人のことが忘れられず、結婚のことが考えられない、他の男性に目がいかない、そんな薫のどこがフラフラしてるんだと、薫が好きゆえにムキになって言い過ぎてしまった。

達郎と別れた孝夫は娘の千恵と合流し、薫のリサイタルへ行く。
満員の観客の中で、堂々と演奏する娘の姿を見て思う父…
家に帰ると口も利かず、寝てしまった父の様子をいぶかしがる薫。
千恵が、達郎と父を会わせたと聞いて怒る。
浜松に連れて帰るのを諦めさせたかったのに、ますます娘を連れて帰ると思うんじゃないのかと…
達郎に対しても怒りがわいた。この期に及んで、まだ諦めてくれないのかと…

父は寝床で、薫に語りかけた。
父も昔、フルートを吹く子を好きになった。だがクラシックを聞くような裕福な家ではなく、その子とは何もなかった。
やがて大人になり、必死にがんばって印刷屋の社長になった。自分の娘には楽器のできる子にしたいと思い音楽教室へ通わせたのだ。
薫は初めて聞く話に少し驚く。
薫も子供の頃を思い出した。
「お父さんのインクのする大きな手が大好きだった」と伝える。
父は薫の小さい頃を懐かしみ、そして唐突に、浜松に帰ることは忘れてくれと言った。父はようやく子離れをしたのだった。

そのきっかけを作った達郎は何も知らずに寝ている。すると、薫が突然やってきた。
父が達郎に礼を言ってくれと、何を言ってくれたのか知らないが、おかげで田舎に帰らずに済んだと薫。
喜ぶ達郎だったが、薫に「次のお見合いしてください」と言われてしまい、肩を落とす。
前の彼が忘れられないからか、と達郎に聞かれ、それもあるが、
「しばらくしてもう一度誰かを好きなろうと思えたとしても、それはきっと星野さんではないと思います」
そうはっきりと断った。だが達郎は、
「……1%も可能性ありませんか」と、めげない。
笑って首を振るしかない薫。それでも達郎がしつこく問うと、
「フィーリングが合わない。だから二度と会いません。ごめんなさい、さようなら」と去っていった。

薫は父を駅のホームまで送る。そして父は娘に言った。
「もう真壁くんのことは忘れなさい。彼は約束を破ったんだから。絶対お前を幸せにするって約束したのに。お前を不幸にして許せないよ」
薫は涙を流す。父は優しい顔で娘をただ見つめた。

落ち込む達郎をよそに、ウキウキの純平。
ついに大好きな涼子から電話番号をゲットしたのだ。
涼子は純平が好きなのかと聞く兄。知らなかったの?と余裕の弟。
そこへ、薫が帰ってこないと千恵から電話がかかる。
薫が田舎に帰ったというのだ。

薫は一歩踏み出そうとしていた。
父の言葉でハッとなり、忘れられないかも知れないが、真壁を思い出にできるかもしれないと考え、故郷へ衝動的に帰ったのだ。
薫は海を見つめ、「絶対忘れないけど、さようなら」と言い、涙をこらえて笑顔を作る。
そこへなぜか達郎の声が響いた。
「薫さーん!」
振り返ると走ってやってくる達郎。呆れて笑っちゃう薫。
「不思議ね、なんとなくあなたが来てくれるような気がした」
「僕もあなたが待ってるような気がしたんです。そういうのひょっとして、フィーリングっていうんですかね?」
笑顔になる薫。
「1%くらいでも可能性出てきましたかね?」と尋ねる達郎。
「そうかもねー」と走ってくいく薫だった。

感想とシナリオ分析

薫と千恵の父親、孝夫が登場したことで、意外にも二人の恋が進む展開になりました。
父の登場は、過去にばかりとらわれる薫に変化を与えるきっかけになりました。
これはいつまでたっても達郎にはできないことです。
だから達郎と同じくらい、薫を愛するもう一人の力が必要だった。

父が突然娘たちのところへやってきた理由は、薫を田舎へ連れて帰ることでした。
婚約者を失った後、前へ進めない、愛する娘を心配してのことです。
しかし父が娘のことを知っているのは、東京へ出ていく前、つまり学生時代の子供の頃の薫。
娘が30を過ぎても、父は子離れができていませんでした。

そんな中、おっちょこちょいの達郎と出会ったのです。
得体の知れないこの男は、今の薫の素晴らしさを語ります。
それは父が知らないことだらけでした。
しかしその話は、娘の親として素直に嬉しかった。
娘を自分と同じように愛してくれる人が周りにいることを知ったのです。
娘は東京で一人、苦しんでいるだけなのかと思っていたが、実は幸せなのかもしれない。
達郎が薫のことを熱く語れば語るほど、父の表情は和らいでいった。

そして父は娘を連れて帰ることをやめます。
自分以外に娘を愛してくれる人がいることで安心したのでしょう。
ただ娘がパートナーに誰を選ぶかは邪魔したくないので、達郎に何を言われたのかは話さなかった。

父は子離れをし、遠くから娘の幸せを願うことを伝える。
薫はその言葉で、自分がいつまでも苦しんでいると、自分を今愛してくれる人が苦しむことになるのだと理解する。
過去にとらわれてばかりではいけない。変わらなければいけない。前へ一歩踏み出さなければ、と気分を一新させるため故郷へいったん戻りました。
すると、達郎が迎えにやってきたのです。顔中を汚して…

以前からなぜ汚れて達郎は来たのかと不思議でした。
車で来たのだから別に汚れる必要ないのに、と思っていたのですが、これは前フリがあったんですね。

父が薫に、子供の頃の話をしました。薫は、鳶が鷹を生んだと親戚にいわれるほど優秀で、自慢の娘だったと。
すると薫も子供の頃、父に対してどういう思いだったのか語りました。
「お父さんのインクのする大きな手が大好きだった」
なるほど、と。達郎と父を重ねたんですね。
インクのする手はインクで汚れた手。それは愛する者を守るために必死に働いた証。
その愛のバトンが達郎に渡ったのだと感じました。
だからラスト、薫は1%でも可能性が出てきたと達郎に伝えたのでした。

しかし、このまま達郎がすんなりうまくいくはずがありません。
間の悪い彼にどんな壁が待ち受けているのでしょうか。
5話も期待をしましょう。

素晴らしかったセリフ

達郎は、薫の父親と最悪な出会いをし、挽回するために無理やり再会するのですが、再び口論になってしまった。
父は娘の薫のことをまだ子供だと思っているふしがある。
婚約者に先立たれ、音楽をやり定職にもつかず、30過ぎて結婚しない娘が不憫で、実家につれて帰ると言った。

だが達郎は薫をかばう。
彼女はしっかりとした大人で、立派なチェリスト、愛した人を忘れられず、それでも必死に前を向こうとしている。
達郎にはそんな彼女が素敵な女性に見える。
薫のいいところなら何だって知ってる、何だって言えると、次々と言葉があふれる達郎を見て、父はこの男の愛が本物だと感じた。
しかし達郎はヒートアップして、孝夫に言ってしまったセリフ。その後、彼は冷や汗をかくことになるのですが…

「薫さんのことがそんなふうにしか見えないっていうなら、あなたの目も大したことないな」