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「101回目のプロポーズ」第1話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

今回、ご紹介したいドラマは、1991年7月に放送された『101回目のプロポーズ』です。
月9のラブコメといったら、美男と美女がなんやかんやあってくっつくというのが当たり前でした。
それが視聴者からも求められる時代に、どう考えても釣り合わないトレンディ女優とおじさんがくっつく話を、筆者憧れの脚本家、野島伸司さんは作られた。

ヒロインの浅野温子さんの相手役に抜擢されたのが、当時42歳だった武田鉄矢さん。
このドラマの話を受けたとき、武田さんは戸惑いを隠せなかったそうです。しかし台本を読んで思われた。
「俺が浅野さんを愛するんじゃないんだよ。俺みたいな男が、浅野さんみたいな女を、愛するんだよ。そう思ったら、この男の愛はなんて切ないんだろうって」

筆者は、このドラマを小学生のとき見ました。
そして、なぜかこのおじさんを見ると泣けてくるのです。
それがなんだかわからなかったのですが、改めて見てわかりました。
そのへんも含め、1話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れている。

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
これまで99回もお見合いし全部断られている。夢などもなく、結婚することだけが人生の目標になっている。

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
姉を好きな尚人に恋心を寄せる。

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
薫にプロポーズをし、達郎の恋のライバルとなる。

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。

第1話あらすじ(ネタバレあり)

オーケストラで演奏するチェリストの矢吹薫は会場から大喝采を浴びる。
片や、建設現場でペコペコしている星野達郎は、仕事先で99回目のお見合いを断られた。

薫と同じオーケストラのバイオリニストで好意を寄せる沢村尚人は、薫の妹の千恵に教えてほしいという。
3年前の式直前に事故死した、薫の忘れられない彼(真壁)のプロポーズの言葉を…
尚人はその彼の代わりでもいいから薫と一緒になりたい。だが尚人に好意を寄せる千恵は複雑だった。

達郎の弟、純平は99回目のお見合いを断られた兄を気遣う。
だが達郎は、なにをやっても調子よくいくイケメンの弟と比較してひがむ。
メソメソする兄に、「そんな調子だから、式直前に花嫁に逃げられちまうんだ」と達郎の古傷をえぐる一言を浴びせた。

薫はピアニストだった真壁を思い出しては泣く日々。
自分でもそれではダメだとわかっていて、変わろうとしているが、変われない。
そんな彼女を心配した母がお見合い話を持ってきた。

達郎は100回目のお見合いに出向く。
するとそこに薫がいた。
互いの第一印象は真逆。達郎にとっては最高で、薫にとっては最悪な出会いだった。
そこへ純平と千恵も合流する。

達郎は薫に気に入られたいあまり、万年係長を隠して、部長と嘘をついたり、100回目のお見合いを2回目といったり、42まで結婚できなかったのは仕事一筋だったからと必死。
一方の薫は断るため、達郎の好みのタイプの女性ではないことを猛アピール。

そしてすれ違ったまま、達郎は薫を送る帰り道で謝罪をする。
部長と嘘をついたこと、お見合いは100回目だということ…
手違いだろうが、きれいな薫とご一緒できたことに、彼は素直に感謝した。
達郎は、釣り合いが取れないことはわかっていたと諦めモードに。

ところが薫はそんな達郎に怒った。
薫「係長だってなんだっていいじゃない。別に仕事手抜きしてきたわけじゃないんでしょ? 出世だけが人生じゃない。お見合い100回断られたからたってどうだっていうの?」
達郎「いや、99回……」
薫「女たちに見る目がないってどうして思わないの。あたしとあなたが釣り合わない? 誰が決めたの?」
達郎「それは……」
薫「けっこうお似合いかもしれないじゃない!」
達郎の負け癖根性を叩き直すような言葉に、達郎は期待をいだき、薫にますます惹かれた。
薫は勘違いさせたことに慌てて訂正しようとしたが、達郎はそのまま走って帰っていった。

だが純平は、千恵から二人の結婚はないと聞く。
「100億積まれてもムリ」という一言に、兄思いの純平はブチ切れた。
その頃、尚人が薫にプロポーズをしていた。
「俺が忘れさせてやるよ」と強引にキスをするが、薫は真壁がちらつき、尚人のプロポーズを断る。

家に戻った薫は、達郎にも断りの連絡をする。
それを聞いた千恵は、尚人のプロポーズを受け入れるのかと尋ねたが、薫は泣きながら、
「誰ともしない。まだあの人のこと愛してる。これからもずっと」と答えた。
彼女は、変わらない、という選択をしたのだった。

ところがそんな苦しむ姉を間近で見てきた妹の千恵は、様々な思惑を抱えつつも達郎を呼び出した。
「たった一言でお姉ちゃんの気を引けるかも」
そして、薫が大切にしている真壁のプロポーズを達郎に教える。
事情は聞かされなかったが、達郎は薫のもとへと駆け出した。

感想とシナリオ分析

久々に見て驚いたことが第1話で、主題歌から始まることです。
連ドラで一番大切なのはやはり1話。
それも始めの10分(冒頭)が勝負です。
そこで視聴者であるお客さんを逃すと、残りの話がどんなによかろうがお客さんは戻ってきてくれません。

だから通常の1話は、冒頭で、フック(つかみ)を見せて関心を引きつける構成でシナリオを作ります。
そしてドラマの第一幕へ。ここでは主人公が直面する問題を設定し、視聴者の共感を得ます。
中盤で、問題が複雑化し、問題の解決が困難に見えてくる。
クライマックスで、冒頭を超える印象的なシーンで幕を閉じる。次回へ、というのが連ドラの基本的な作り方です。

そのセオリーを崩し、このドラマは、冒頭に主題歌をぶつけてくるあたりが、当時のドラマブームの勢いを感じさせます。
ちょっとこの発想は、今のドラマ業界ではないかもしれません。
ただ、主題歌であるCHAGE&ASKAさんの「SAY YES」は、1話のフックになっていると思います。
そのくらいこのドラマを支える素晴らしい楽曲でした。
しかもドラマで使用されたのは、2番の歌詞だったのも面白いです。

話はストーリーに戻ります。
上記のあらすじを見てわかると思いますが、フックが成功し、第1幕の主人公の直面する問題が提議され、ドラマの始まりとなる100回目のお見合いで二人が出会いました。それから中盤から終わりにかけて、さあこの二人はどうなるのか、結婚に至るのかというセントラル・クエスチョンで盛り上がりました。
ここまで基本的な1話の構成どおりです。生理的に合わない方以外は楽しめているはずです。
脚本というのは、観客が楽しめる型があるので、それから逸脱していなければ一般的に楽しめます。

しかし名作と凡作の差は、クライマックスです。
薫の元婚約者がいったプロポーズの言葉が一つの謎として引っ張ってきました。
このセリフが素晴らしかった。見ている人の期待にこたえる名ゼリフだったと思います。

そのセリフをいう達郎が涙を流すのですが、筆者も子供心に泣けてきたのを覚えています。
なぜ泣けたのか。
薫は愛した人の言葉を大切にしていますが、達郎は愛する人のために大切な行動をするんです。
それが心を震わせる。名ゼリフのかげに、主人公の努力の行動が胸を打つのだと思いました。

今後も達郎の行動に注目です!

素晴らしかったセリフ

もちろん、達郎が薫のもとへ走ってやってきて伝えた、薫が忘れられない彼のプロポーズの言葉です。

「僕は誓う。50年後の君を、今と変わらず愛している」