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「101回目のプロポーズ」最終話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回、司法試験終了後に達郎は薫と会った。
そこで練習したピアノを披露し、薫を感動させる。
そして司法試験発表の日、合格していたら(薫と真壁が結婚式を挙げるはずだった)教会に指輪を置いておくと達郎は言う。
困る薫に、これで最後、ダメなら諦めると懇願した達郎でした。

司法試験はどうなったのか。
101回目のプロポーズは決まるのかどうか、最終回の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者の真壁に、瓜二つの藤井にプロポーズされる。婚約していた達郎と解消することになった。そのまま藤井と結婚するのかと思いきや心はまだ揺れ動き…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
100回目のプロポーズをした薫と婚約解消をし、会社も辞める。
夢だった弁護士になるため司法試験に挑戦した。そして合格し変わった自分で再度薫に101回目のプロポーズすることを誓うが…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子に片思いをしているがまったく気づいてもらえず、兄と同様に苦い思いばかりする…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
尚人に恋心を寄せるが振り向いてくれず諦めた。
純平と失恋同士でたわむれ、ふざけていると時々ドキッとすることがあり…

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。ドイツの楽団から誘い受ける。
涼子に好意を持たれて困るのだが、徐々にまんざらでもなくなり…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
尚人に恋をし、愛のレポートを提出すると…

藤井 克巳(35)――長谷川初範
達郎の元上司で課長。事故死した薫の元婚約者、真壁に顔も声も生き写し。
薫にプロポーズをして、二人は結婚へ突き進むのだが…

第12話あらすじ(ネタバレあり)

「司法試験に合格したら、あの教会に婚約指輪を置いておきます」と言った達郎を、薫はどう思ったのかと尋ねる桃子。
薫は達郎のところには戻れないと答える。なぜなら自分はふさわしくないと……
戻りたくてももう戻れないと薫は考えていた。

薫に嘘をついたことを謝罪する藤井。そして、
「一緒に暮らさないか? 僕の妻として」と言った。
薫は答えに窮する……

その頃、神社に来て兄の合格を祈る純平。千恵も一緒だ。
涼子の片思いの相手、尚人がドイツの楽団に行くと知り、さっそくご利益があると思う純平。
浮かれる純平の小銭を千恵が奪ううち、二人は偶然キスをしてしまう!?

達郎が工事現場でバイトをしていると、尚人が訪ねてきた。
「試験に落ちたら本当に諦めるんですか?」と尚人。
「資格試験だと思ってるんです。薫さんにもう一度名乗りを上げるための」と達郎。
「試験、受かるといいですね」
達郎は、ドイツの健闘を祈りますとかつてのライバルと笑顔で別れた。

尚人がドイツの楽団へ行くと知った涼子は大泣きする。
涼子を泣かしたと怒る達郎。
「俺だって泣きたいんだよ」と純平は最後まで涼子に告白ができなかった。

薫は悩んでいた。
千恵に、合格祈願のお守りを託す。
だが千恵は自分で渡せばいいじゃないと受け取らない。
すると薫はムキになり、お守りを持って出ていく。
嬉しそうな千恵。

外は雨。
薫がやってくるが、達郎と入れ違いになる。
達郎は神社でお百度参りをしていた。
その姿を見つけた薫は走って近づく。
真剣な様子に声をかけられず、彼をじっと見つめて涙する薫だった。

尚人がドイツへ旅立つ。
その見送りに来た桃子、千恵、そして薫。
そこへ純平と涼子がやってきた。
「レポート、もう渡すことはできないですね……」と涼子。
「今度は俺が向こうから提出するよ」と尚人。
本当ですか、と涼子の顔は明るくなった。
落ち込む純平を見つめる千恵。千恵は純平に恋をしている。

薫は尚人に最後の相談をした。すると尚人は、
「どうして藤井さんに惹かれたのか。思い出せばいいんじゃないか、真壁さんのプロポーズの言葉を。心まで同じ思いなのかを」
そういって別れた。

千恵は純平に、お人好しだと笑う。
純平は兄を見倣い、卑怯な真似はしたくなかったと話す。そして千恵が今誰を好きなのかと尋ねた。
「ひょっとしてあたしのこと好きなんじゃない?」と千恵。
「お前が俺のこと好きなんだろ?」と純平。
二人はいつものようにじゃれ合うが、もし達郎がダメだったらこうして会うのもまずいのかと心配になった。
だがもしダメでも、二人は今まで通りでいようと約束する。

薫は藤井とピアノバーで会った。
達郎が司法試験に落ちると決めつけている藤井。
受かってほしいと願っている薫。
ことごとく二人の意見は別れる。
そして『別れの曲』がかかった。
尚人のアドバイスを思い出した薫は藤井に聞いた。
「ねえ。50年後のあたしどう思う?」
「50年後の君? さあ、想像つかないな」と笑う。
「二人の間に長い時間が流れて……」
「先のことはいいじゃないか。今お互い引き合っていれば、それでいいんじゃないか。どうしてそんなことを?」
「……」
薫は真壁と藤井はまったく別物だとようやく気づき、目を覚ました。

「さっきの言葉、どんな意味があるの?」と尋ねる藤井。
亡くなった彼のプロポーズの言葉だと教える。
50年後の君を変わらず愛してる、と元婚約者の真壁は言ったという。
「言葉にするのは簡単なことさ」と藤井。
「それでも彼が私に残してくれたたった一つの言葉なの」と薫は涙を流した。
今まで藤井と真壁を重ねて見てきた。
「今さら気づくなんてバカみたいだけど、あなたはあの人じゃないのよね」
藤井は怒った。それでも惹かれたはずだと。
薫は藤井を魅力的な人だと思うが、一緒になる相手は自分じゃなくてもいいと結婚を断る。
だったら達郎のところへ行くのかと聞いたが、薫はできないと答える。
「あたしがバカだったから。愛してくれる人に精いっぱいこたえていくっていうもう一つの愛の形に気づかなかった……」

そして合格発表の日。
達郎は薫の合格祈願のお守りを手に掲示板を見つめた。
薫はコンサート中だ。
チェロを弾きながら、達郎との日々を思い出す。
演奏が終わると、コンサート会場を飛び出した薫。
教会へ向かった。

教会に駆けつけた薫。
ケースを見つける。
笑顔で近づく薫。だが中を開くと、指輪はなかった……

その頃、達郎は海にいた。
「達郎、男だろ」と指輪を見つめ語りかける。
そして、婚約指輪を海に投げ捨てた。
達郎の目に涙がにじむ。

日常に戻った達郎は、意外に元気だった。薫のこともきっぱり諦めるという。
純平は安心するが、それが強がりだとわかった。
アルバイトへ行く達郎を、ベランダから応援する純平。
「がんばれ、兄貴ー! フレーフレー達郎!」
小さくなっていく兄の背中に、がんばれよ、と声をかける弟の目は潤んでいた。

夜間の仕事に向かう達郎は電車の窓に映る自分を見て泣けてくる。
そして仕事でクタクタになりながら水筒の水を飲んでいると、何かがこちらに近づいてきた。
それは、走ってくるウェディングドレス姿の薫だった。
驚く達郎。涙の薫が目の前にいる。
「僕にはもう何もありませんよ。貯金はありませんし、会社もやめて、今はもうみっともない中年のしょぼくれオヤジです。試験に落ちて、あなたの言う通り、変われなかった。ダメな男なんですよ。それでも……」
「あたしを……、あたしをもらってください……!」
「……。指輪ももう海に捨てましたし……、新しいの買えませんよ?」
首を横に振る薫。
そして落ちているナットを拾う。
それを口づけて達郎に渡すと、二人は泣き笑い。
達郎が受け取り、指輪に見立てて、薫の左薬指へはめた。
薫がキスをして抱きついた。
達郎も強く薫を抱きしめた。

何度も言うよ 君は確かに 僕を愛している SAY YES♪

感想とシナリオ分析

いいドラマは、早く先を知りたいのに、終わってほしくないと思うものです。
101回目のプロポーズの最終回の視聴率は36.7%でした。
それだけ薫と達郎の行く末が気になったということです。
もっというと、ほとんどの人がこのドラマを見ている間は現実を忘れ、彼らに自分を重ねてワクワクドキドキして見ていたのです。

達郎のテーマとなり、壁となった、『なかなか人は変われない』という問題は、薫にも当てはまることでした。
いや、見ている視聴者全てが抱える問題でもあります。
だから人を好きになり、そのために必死に変わろうとした達郎に感情移入ができました。

変わった姿が司法試験に合格した達郎だと思った人がいたかもしれません。
けれどそれは本質ではありませんでした。
人が変わったかどうかを判断するのは外形的なことではなく、やはり内面なのです。

達郎はこれから先、どんなことがあってもがんばれるでしょう。
なぜなら、やればできることを知ったからです。
挑戦した者しか味わうことができません。
おそらく彼が今見ている世界は、かつてないほど素晴らしいものに見えているはずです。

1話の光景と反転した光景が最終話になるのがいい作品です。
大きく変化を遂げた達郎は本当に欲しかったものを手に入れた。
そしてそんな彼の前に薫がやってきたのはご褒美でした。

達郎、おめでとう。薫、よかったね。
そう思わず応援したくなるキャラクターを生んだことが、記憶に残る作品になった全てだと思います。

素晴らしかったセリフ

達郎は純平に、「今度生まれ変わってくるときはどうなりたい?」と尋ねた。
これまでは今の自分じゃない自分になりたい、つまり見かけも性格も正反対の自分になりたいと思っていた達郎が、今は生まれ変わってもまた星野達郎でもいいかなと思えると話す。
「薫さんを好きになれて、自分のことが少し好きになれた」のだと。
達郎はちゃんと恋をして学んだセリフがよかった。

「人を好きになるってことは、愛する人と一緒に、自分も変わろうと祈ることなんじゃないかな」