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「101回目のプロポーズ」第10話 ネタバレ感想 | 1991年・夏ドラマ

101回目のプロポーズ

前回薫は、達郎と藤井の間で何度も心が揺れ動きました。
そして薫の父の登場により、達郎との結婚に大きく気持ちが傾きます。
薫は、ついつい死んだ真壁を藤井に重ね、彼の幻影を追いかけてしまう。
それを断ち切るためにも、3年前彼が現れなかった教会へ、藤井を連れていきました。
藤井は真壁ではない、そうけじめをつけるためでした。

一方、達郎は一度は教会へ向かうのを躊躇しましたが、それでは今までの自分と同じになってしまう、負けたまま薫を手放してはいけない、取り戻すという強い気持ちで教会へ向かいます。
しかし駆けつけた教会で見た光景は残酷でした。
藤井が薫にプロポーズをしていました。
「君を食い止めるつもりでここへ来た。結婚して欲しい!」

薫は達郎が教会へ現れたことに気づきましたが、彼を引き止めようとしませんでした。
達郎は静かに去っていく、そんな悲しい場面で終わりました。
達郎もさすがに心が折れたでしょうか。
薫はこれで幸せをつかめるのでしょうか。
10話の感想と脚本を分析していきます。

「101回目のプロポーズ」は、FODでご覧いただけます。



登場人物

矢吹 薫 (30)――浅野温子
オーケストラのチェリスト。
結婚式当日に事故死した元婚約者の真壁を忘れられず、再び誰かを愛することを恐れていたのだが、達郎から命がけのプロポーズをされ婚約。
ところが元婚約者に瓜二つの藤井と出会い、プロポーズをされる…

星野 達郎(42)――武田鉄矢
建設管理会社の万年係長。
100回目のお見合いで恋をした薫に命がけのプロポーズをして受け入れられる。婚約指輪を渡し、結婚式へ向けて進んでいたのだが、薫が上司の藤井に惹かれていることを知る。さらにはプロポーズしている場面に遭遇し…

星野 純平(22)――江口洋介
達郎の弟。法学部の大学生。
両親亡き後、親代わりになって育ててくれた達郎を誰よりも心配し、応援する兄思いの一面がある。
涼子と両思いだと思っていたが、彼女は尚人に恋していると知り、尚人を好きな千恵と同盟を組む…

矢吹 千恵(20)――田中律子
薫の妹。純平と同じ大学に通い、サークルも同じ。
尚人に恋心を寄せるが振り向いてくれず諦めた…
純平と失恋同士でたわむれ、ふざけていると時々ドキッとすることもある。

沢村 尚人(28)――竹内力
オーケストラのバイオリニスト。
達郎と薫の婚約を知り、潔く負けを認めて二人の幸せを願う。
涼子に好意を持たれて困るのだが…

石毛 桃子(34)――浅田美代子
薫の親友。楽器店を経営しながらピアノ教室も主宰。
薫と達郎の恋模様を操るキーパーソン。

岡村 涼子(23)――石田ゆり子
達郎と同じ会社の受付嬢。
純平とは合コンで出会い、彼の片思いに気づかないおっとり天然娘。
尚人に恋をし、愛のレポートを提出すると…

渋谷 悟 (25)――前田真之輔
達郎の直属部下で慕っている。
恋愛は達郎と同様ダメらしい…

藤井 克巳(35)――長谷川初範
達郎の上司で課長。事故死した薫の元婚約者、真壁に顔も声も生き写し。
薫が達郎の婚約者と知りながらもプロポーズをする…

第10話あらすじ(ネタバレあり)

藤井が薫に教会でプロポーズをした。
達郎はそれを聞いてしまい、肩を落として立ち去る。
薫は達郎と目が合うが、複雑な思いで見送った……

達郎を教会へ行かせたのは桃子だった。
薫は藤井と別れるため教会へ行ったと知り、早とちりだったと反省する。
だが薫は首を横に振る。
結局藤井と真壁が重ねってしまい、思いを断ち切ることができなかった。
桃子は、薫と達郎に一波乱あったと思ったが、
「あの人怒ってなかった。ただ寂しそうな顔してた」と涙を流す薫だった。

藤井は達郎に「こんなことになるとは思わなかった。上司としてではなく一人の男として……」と謝罪する。
「彼女と僕は不釣り合いですから……」と情けなく笑う達郎。
そして薫と藤井は結婚するのかと尋ねた。
「(彼女は)望んでる」と答える藤井。
達郎は言葉を失いうつむいた……

薫は藤井とピアノバーで会う。
達郎は会社に辞表を出した。
薫は言葉を失った……
「気にすることない。同情はますます彼を惨めにするからね」という藤井にうなずく薫だが……

その頃、達郎は部下の渋谷を居酒屋に誘い、やけ酒。
合コン中の大学生の輪に飛び入り参加してからむ。
だが相手にされず、それでもしつこく追いかけ回すと、ぶん殴られてしまった。踏んだり蹴ったりの達郎……

純平と涼子は、達郎を家で待っていた。
純平はそわそわしている。
昼間に、同盟を組んだ千恵に告白の練習台になってもらい、心の準備はオーケーだ。
だが達郎が会社を辞めたと知って驚く。
純平はそんなこと聞いてない。そこへボコボコになった達郎が帰ってきた。
薫との婚約がダメになったというのだ……

千恵と尚人がいるところに、深刻な顔でやってくる薫。
達郎が会社を辞めたことを告げる。
千恵に「どうして?」と聞かれて、顔を背ける薫……

千恵が達郎に電話をしようとすると、純平からかかってきた。
薫に話したいというが、尚人とどっか行ったという。
千恵はまだ事情を聞いていなかった。婚約破棄になったと聞いて驚く。
「俺は許さねえからな。俺は許さねえぞ!」と電話を切る純平だった。

薫は尚人と話し、号泣している。
「他の人を不幸にしてまで自分だけ幸せになれるとは思えない。なろうとも……」と薫。
尚人は薫を抱き寄せて、
「幸せとか不幸とか、人の分まで背負うことないさ。そんなに人間偉くないぜ。行きたい方にいけよ。誰に何言われたっていいじゃないか」と。

朝、達郎は目を覚ます。全く記憶がない。
突然、純平に勉強しているのかと聞く。
法学部の彼は、死んだ父と同じ弁護士の道へ進むと考えていたがそのつもりはないという。
達郎もかつて法学部だったが、父亡きあと家族を支えるためサラリーマンになった。
達郎は純平に会社を辞めたことを言わず、会社へ行ってくるという。
純平はとっさに辞めたんじゃ……といいかけてやめた。兄のプライドを守ったのだ。

達郎は薫に電話をする。
会社辞めたことを薫が言うと、
「実は条件のいい会社から引き抜かれまして」と嘘をつく達郎。
薫も嘘とわかっていながら「そうですか」と答える……
そして二人は会うことに。
達郎はそのときに婚約指輪を持ってきてほしいと告げた。

千恵は桃子から、薫が藤井に惹かれていると聞いて怒った。
その場にいる純平も怒っている。
そのせいで達郎が会社を辞めたことを知って、桃子も焦った。
純平はバイクで立ち去る。その目から涙がこぼれていた。

達郎は薫に会った。
「私を恨んでらっしゃるでしょうね」と薫。
「僕もあの写真を見たとき驚きました。……どうしても、あなたを恨む気になれないんだなあ」
という達郎。
さらに恨むとしたら自分自身を恨むともいった。
そして婚約指輪を返してもらい、藤井は素敵な人と伝えて二人の幸せを願った。
「あの一つだけお願いがあります。どっかの酒場でマタニティ(マティーニ)を飲む時、僕を思い出してください」
わざとなのか間違えてそう言い、薫を笑顔にさせて去る。
しかしその達郎の顔は、「まだ泣くな、まだ泣くな」と言いながら泣きそうだった。

薫が帰宅すると、千恵が怒っている。
「最低。お姉ちゃん、最低だよ!」
「他に好きな人できちゃったんだもん……」と薫。
「いいかげんだよ。真壁さんだって喜んでないよ。お姉ちゃん、星野さんだけじゃなくて、真壁さんも裏切ったんだからね!」
「もっと言ってよ。そんなんじゃ全然足りないよ。もっとどんどん責めて」と泣いている薫。
千恵は言葉を失う。
「誰も責めてくれないんだもん。星野さんも。もっとむちゃくちゃ責めてよ。少し私の気持ち軽くして。お願い……」と号泣。
苦しむ姉に、千恵も涙を流した。

達郎は家に入る前、純平にさとられないよう演技をする。
ごちそうを用意して待っている純平。
「今朝、言い出せなかったんだけどさ。会社辞めたんだって?」
それでも嘘をつく達郎。
「婚約もダメになりそうなんだって?」
「もうダメになった」と婚約指輪を見せる。そして「俺が身を引いたんだよ!」と強がる。
純平は以前より強くなった兄を見直した。

桃子が達郎に頼みがあると会いに来る。
「薫をあきらめないでほしいの。薫を大きな心で受け止めてやってほしい」
だが達郎は失職した落ちぶれじじいに薫が戻るわけないと諦める。
桃子はそれでも彼を焚きつける。
「あなたの薫への気持ちってそんなもんだったんですか。あたしを幸せにしてって、あなた薫にそう頼まれたんでしょ。もう一度薫の目を覚ましてやってほしいんです」
「すみません。ダムに例えるなら、もう僕は干上がってしまいました。一滴の水も残っていません……」

そう話す彼らのそばで、純平が教えている野球チームが試合をしていた。
弱小チームが追い上げて同点になり、いかにもダメそうなメガネをかけた野球少年が代打で出る。
達郎はその彼を見て自分を重ねたのか鼻で笑う。
だがその少年にエールを送る純平やチーム、そして応援に来た千恵や涼子。

達郎はバッターボックスに立った少年をじっと見つめた。
するとカキーンという大きな音を立て、少年が打ったボールは外野の頭上を大きく超えた。
ホームベースを蹴る少年。
達郎の目に力が宿っていく。そして立ち上がり、少年を応援した。
少年はランニングホームラン。
奇跡の瞬間を見て、嬉しそうに笑う達郎。やがて意を決する表情に変わった…

藤井と薫は会った。
「婚約破棄されちゃった」と告げる薫。
「その分、僕が幸せにするつもりです」と藤井。
だがそこへ達郎が走ってやってきた。
「薫さん。昔、あなたに僕の夢はなんですかって聞かれたことがありましたよね。ええ。もうとっくに諦めたんですけど、僕の夢は弁護士になることです。もう一度やってみようと思うんです。司法試験目指して」
そして、夢も薫も諦めないと宣言した。
薫はドキドキした顔で彼を見つめる……

感想とシナリオ分析

薫は藤井との結婚を望んでいると聞き、諦めてしまった達郎。
どん底に突き落とされた彼は、暗闇を彷徨っています。
薫と出会う前の彼は魅力的ではありませんでした。
しかし薫と出会い、恋を諦めず、100回目のプロポーズをして、だんだん魅力的な男になっていきました。
でも今の彼は抜け殻。
桃子に焚きつけられても、薫に対する気持ちは干上がってしまったと逃げ腰で、すっかり以前の負け癖の達郎に戻ってしまいました。

けれど、奇跡を目の当たりにします。
いかにもダメそうな野球少年が一発逆転のホームランを達郎の目の前で打ちました。
達郎はその少年と自分を重ね、再び信じようと思うようになります。
ようやく彼は自分の問題(欠点)を解決する方法を思いついた瞬間でもありました。

達郎は自分の最大の問題を後回しにしていました。
それが薫の達郎に対するネックにもなっていました。
彼の最大の問題は、変われるのに変わろうとしないこと。
彼は失敗を恐れて夢を持つことを放棄して生きてきました。

しかし少年を見て、バッターボックスに立たなけば、どうなるか先のことはわからないことに気付かされました。
このまま見逃し三振で負けるより、バットを振って負けるほうがいいと考えたかもしれません。
もしくは、奇跡が自分の身にも起きると考えたかもしれない。
とにかく自分を変えるには、夢を持ち、成功に向けて前へ突き進む勇気だと気づいた。
それこそ薫がずっと自分に対して求めていたことだと思い出した。
まだ変わった達郎を見せていない。見せる前に諦めてはいけない。勝負しよう。
ようやく彼は変わる決断をし、薫の前に現れました。

夢も薫も諦めないと誓った彼ですが、まだまだ問題だらけ。
先は長そうですが、どんなふうに変わるのか、11話の展開がとても気になります。

素晴らしかったセリフ

今回の話はいいセリフがたくさんありました。
達郎と薫の別れが切なくて辛かった。
「私を恨んでらっしゃるでしょうね」という薫に、恨む気になれないという達郎。
どういうことかというと、彼はこう言った。

「恨むとしたらあなたの視界を埋められなかった自分自身を恨みます。たとえ一人でも、こんな僕と結婚しようと思ってくれたあなたをどうして恨めるんですか。もしもあなたが同情で僕のところに戻ってくるというんだったら、僕はそっちのほうを恨みます」

男の強がりなんですけど、本音でもあるんでしょうね。
達郎は純平にこうも言います。

「人を本当に好きになるとさ、どんな目にあったって、その人を憎んだり怒ったりそういう気持ちが全然湧いてこないんだよなあ」

そうして彼は、薫と藤井の幸せを願いました。
しかしやっぱりこれほど愛した人です。諦めきれず、達郎は薫のもとへやってきました。
「泣くんです。心が泣くんです。あなたに会えないと思うと、ピーピーピーピー心が泣くんです。これから秋が来て、冬が来て、春が来て、夏が来て、それでも僕の心はずっと泣いてると思います。だから、自分の夢も、あなたも、あきらめません」

「もう一度男として、あなたを取り返します」